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解答例と考え方|2018年度|京都大学|理系数学問5

前問の問4はこちら【解答例と考え方|2018年度|京都大学|理系数学問4

この記事では,2018年2月25日に行われた京都大学前期入試の「理系数学の問5」の考え方と解法を説明します.

この問題のポイントは,

  1. 法線ベクトルが求められるか
  2. 曲線の長さを求める公式を適用できるか
  3. \dfrac{1}{1+t^2}の積分を求められるか

です.

1つ1つはノータイムで出来て欲しい内容ですが,計算に慣れていないと少々時間をとるかもしれません.

数学IIIの計算は安定感を持って素早く出来たいところです.

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問題

2018年京都大学前期入試の「理系数学の問5」は以下の通りです.

問題

曲線y=\log{x}上の点A(t,\log{t})における法線上に,点Bを\mathrm{AB}=1となるようにとる.ただしBのx座標はtより大きいとする.

(1) 点Bの座標(u(t),v(t))を求めよ.また\bra{\dfrac{du}{dt},\dfrac{dv}{dt}}を求めよ.
(2) 実数r0<r<1を満たすとし,trから1まで動くときに点Aと点Bが描く曲線の長さをそれぞれL_{1}(r), L_{2}(r)とする.このとき,極限\lim\limits_{r\to+0}(L_{1}(r)-L_{2}(r))を求めよ.

ベクトルはオマケで,メインは数IIIの微分計算と積分計算です.

公式を知ってさえいれば難しい問題ではありません.

問題のイメージ

曲線y=\log{x}上を点Aが動くとき,点Bは曲線y=\log{x}からやや離れた位置に曲線を描きます.

とくに,点Aのx座標がrから1の間を動くとき,点Bが描く曲線は下図のようになります.

Rendered by QuickLaTeX.com

このAの動く曲線の長さL_{1}(r)と少しBの描く曲線L_{2}(r)の長さは,r0に近くなるほど曲線y=\log{x}は「まっすぐ」になるので,r0に近いところでその差はほとんどなくなるように思えます.

実際,r0に近付けて曲線を伸ばしていっても,この長さの差L_{1}(r)-L_{2}(r)は無限に発散することなく,有限の値に収束します.

この差の極限を求めるのが(2)というわけですね.

解法と考え方

法線ベクトルは接線ベクトルからすぐに求められます.

また,弧長を求める公式も当然のように支えて欲しいところです.

法線ベクトル

関数f(x)が微分可能なら,\ve{n}=(f'(t),-1)が曲線y=f(x)x=tでの法線ベクトルの1つとなります.

実際,\ve{d}=(1,f'(t))は曲線y=f(x)x=tでの接線ベクトルの1つで,\ve{d}\ve{n}は内積を考えれば0なので,\ve{d}\perp\ve{n}と分かります.

よって,\ve{n}は法線ベクトルの1つです.

本問では,\bra{1,\dfrac{1}{t}}は接線ベクトルの1つなので,\bra{\dfrac{1}{t},-1}は法線ベクトルの1つです.

ただし,伸縮させても法線ベクトルなので,t倍したベクトル(1,-t)を法線ベクトルの1つと考えれば,成分に分数がなくなって少し計算が楽になりますね.

いま,|\Ve{AB}|=1でBのx座標はtより大きいので,法線ベクトル(1,-t)をその長さ\sqrt{1+t^2}で割ったものが\Ve{AB}となります.

曲線の長さ1

媒介変数tで表された点(x(t),y(t))の描く曲線の長さ(弧長)は,x(t)y(t)が共に微分可能なら以下のように積分で求めることができます.

[弧長(媒介変数で表された曲線)] 関数x(t)y(t)が微分可能なら,ta\leqq t\leqq bを動くときに点(x(t),y(t))の描く曲線の長さは

\dint_{a}^{b}\sqrt{\bra{\od{x}{t}}^2+\bra{\od{y}{t}}^2}\,dt

で求まる.

大雑把には以下のように考えられます.

ttからt+\varDelta{t}まで増加するとき,\varDelta{t}が微小ならx(t)の増加\varDelta{x}y(t)の増加\varDelta{y}も微小なので,この間に点(x(t),y(t))が描く曲線の長さ\varDelta{\ell}\sqrt{(\varDelta{x})^2+(\varDelta{y})^2}に近似することができます.

Rendered by QuickLaTeX.com

よって,

\varDelta{\ell}\approx\sqrt{(\varDelta{x})^2+(\varDelta{y})^2}
=\sqrt{\bra{\dfrac{\varDelta{x}}{\varDelta{t}}}^2+\bra{\dfrac{\varDelta{y}}{\varDelta{t}}}^2}\varDelta{t}

なので,

d\ell=\sqrt{\bra{\dfrac{dx}{dt}}^2+\bra{\dfrac{dy}{dt}}^2}\,dt

となり,ta\leqq t\leqq bを動くときの弧長\ell

\ell=\dint_{a}^{b}\,d\ell=\dint_{a}^{b}\sqrt{\bra{\dfrac{dx}{dt}}^2+\bra{\dfrac{dy}{dt}}^2}\,dt

となります.

なので,弧長の公式の根底に「三平方の定理」があることを理解していれば,間違えることはないでしょう.

曲線の長さ2

曲線y=f(x)f(x)が微分可能であれば,曲線の長さは積分により求めることができます.

[弧長(曲線y=f(x))] 関数f(x)が微分可能なら,a\leqq x\leqq bの範囲の曲線の長さは

\dint_{a}^{b}\sqrt{1+(f'(x))^2}\,dx

で求まる.

曲線y=f(x)(t,f(t))と敢えて媒介変数表示すると,

\od{x}{t}=1\od{y}{t}=f'(t)

なので,前の公式[弧長(媒介変数で表された曲線)]から,この公式[弧長(曲線y=f(x))]が得られます.

特殊置換

弧長の公式を用いれば,L_1(r)L_2(r)を定積分を用いて表せますが,それぞれ単独で求めるのではなく,L_{1}(r)-L_{2}(r)\dfrac{1}{1+t^{2}}の積分となることにより求めることができます.

\dfrac{1}{1+t^{2}}の積分で,t=\tan{\theta}と置換することはノータイムで出来てください.何度もやっていれば

\dint_{0}^{1}\dfrac{dx}{1+x^2}=\dfrac{\pi}{4}

となることは自然に覚えてきますが,意識的に知っておくと良いでしょう.

なお,本問ではL_1(r)L_2(r)を計算するのは難しいので,これらを単独で求めて差をとるという方針では詰まってしまいます.

このように,L_1(r)単独,L_2(r)単独では難しくても,求められているL_{1}(r)-L_{2}(r)は計算できる」といったことはよくあるので注意してください.

解答

以下,解答例です.

[解答]

原点をOとする.

(1) y=\log{x}xで微分するとy'=\dfrac{1}{x}なので,ベクトル\bra{t,\dfrac{1}{t}}は曲線y=\log{x}の点\mrm{A}(t,\log{t})での接線ベクトルの1つである.

よって,ベクトル(1,-t)はベクトル\bra{t,\dfrac{1}{t}}に垂直だから,\Ve{AB}(1,-t)に平行である.

よって,条件|\Ve{AB}|=1と併せて

\Ve{AB}=\pm\bra{\dfrac{1}{\sqrt{1+t^{2}}},-\dfrac{t}{\sqrt{1+t^{2}}}}

と分かる.したがって,

(u(t),v(t))
=\Ve{OB}
=\Ve{OA}+\Ve{AB}
=\bra{t+\dfrac{1}{\sqrt{1+t^{2}}},\log{t}-\dfrac{t}{\sqrt{1+t^{2}}}}

を得る.また,これより

\dfrac{du}{dt}
=1-\dfrac{2t}{2\sqrt{(1+t^{2})^{3}}}
=1-\dfrac{t}{(1+t^{2})\sqrt{1+t^{2}}}
\dfrac{dv}{dt}
=\dfrac{1}{t}-\dfrac{1\cdot\sqrt{1+t^{2}}-t\cdot\frac{2t}{2\sqrt{1+t^{2}}}}{1+t^{2}}
=\dfrac{1}{t}-\dfrac{1\cdot(1+t^{2})-t^{2}}{(1+t^{2})\sqrt{1+t^{2}}}
=\dfrac{1}{t}-\dfrac{1}{(1+t^{2})\sqrt{1+t^{2}}}

だから,

\bra{\dfrac{du}{dt},\dfrac{dv}{dt}}=\bra{1-\dfrac{t}{(1+t^{2})\sqrt{1+t^{2}}},\dfrac{1}{t}-\dfrac{1}{(1+t^{2})\sqrt{1+t^{2}}}}

を得る.

(2) \dfrac{du}{dt}=t\cdot\dfrac{dv}{dt}に注意すると,ベクトル\bra{\dfrac{du}{dt},\dfrac{dv}{dt}}の大きさは

\sqrt{\bra{\dfrac{du}{dt}}^{2}+\bra{\dfrac{dv}{dt}}^{2}}
=\sqrt{(1+t^{2})\bra{\dfrac{dv}{dt}}^{2}}
=\dfrac{dv}{dt}\sqrt{1+t^{2}}
=\dfrac{\sqrt{1+t^{2}}}{t}-\dfrac{1}{1+t^{2}}

である.よって,

L_{1}(r)-L_{2}(r)
=\dint_{r}^{1}\sqrt{1+\bra{\dfrac{1}{t^{2}}}^{2}}\,dt-\dint_{r}^{1}\bra{\dfrac{\sqrt{1+t^{2}}}{t}-\dfrac{1}{1+t^{2}}}\,dt
=\dint_{r}^{1}\dfrac{\sqrt{1+t^{2}}}{t}\,dt-\dint_{r}^{1}\bra{\dfrac{\sqrt{1+t^{2}}}{t}-\dfrac{1}{1+t^{2}}}\,dt
=\dint_{r}^{1}\dfrac{1}{1+t^{2}}\,dt

である.ここで,t=\tan{\theta} \bra{0\leqq\theta<\dfrac{\pi}{2}}とすると,

\od{t}{\theta}=\dfrac{1}{\cos^{2}{\theta}}\begin{array}{c||ccc}t&r&\to&1\\\hline \theta&\alpha&\to&\frac{\pi}{4}\end{array}

となる.ただし,\alphar=\tan{\alpha} \bra{0\leqq\alpha<\dfrac{\pi}{2}}を満たす実数である.

r\to+0のとき\alpha\to+0であることに注意すれば,

L_{1}(r)-L_{2}(r)
=\dint_{\alpha}^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{1+\tan^{2}{\theta}}\cdot\frac{d\theta}{\cos^{2}{\theta}}
=\dint_{\alpha}^{\frac{\pi}{4}}\,d\theta=\dfrac{\pi}{4}-\alpha
\xrightarrow[]{r\to+0}\frac{\pi}{4}

を得る.

[解答終]

基本事項を押さえていれば,それほど難しい問題ではないですね.

次問の問6はこちら【解答例と考え方|2018年度|京都大学|理系数学問6

 

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