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物理の基本|物理におけるベクトルの扱い方

  
   

高校物理において,力学は最も基本的かつ重要な分野です.

力学は高校に入って最初に習う分野であり,他の分野でも頻繁に登場します.ですから,力学が苦手な人はずるずると物理が分からなくなっていきます.

力学を理解するには,はたらいている力や速度などを記述できるようになることが重要で,これらを記述するために「ベクトル」を用います.

「ベクトル」とは平たく言えば「矢印」のことで,物理現象の多くは「ベクトル」を用いて記述します.この記事では,高校物理における「ベクトル」の扱い方を簡単に説明します.

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ベクトルの基本

ベクトルは数Bで習う概念ですが,物理では初っ端に登場します.というのも,力の「向き」,「大きさ」,「作用点」を表すには矢印(ベクトル)を用いることが非常に自然だからです.

しかし,ベクトルと言っても,高校物理で用いるベクトルは数Bで習うほどのことを必要としません.高校物理でのベクトルの扱いは「ベクトルの和」,「ベクトルの分解」を理解していれば十分です.

ベクトル

%e5%8a%9b%e5%ad%a6%e3%81%ae%e5%9f%ba%e6%9c%ac1向きを指定した線分のことを「有向線分」と言いますが,有向線分は「向き」,「大きさ(長さ)」,「位置」の3つにより定まります.

このうち,「位置」を無視したものを「ベクトル」と言います.すなわち,「ベクトル」とは「向き」と「大きさ」により定まる量のことを言います.

高校の範囲では,ベクトルは\ve{a}のように上に矢印をつけて表すことが多いです.

また,「ベクトル」の”後ろ側”を「始点」,”先の側”を「終点」と言います.

気持ちとして,「ベクトル」とは「平行移動させてもよい矢印」だと思ってほとんど差し支えありません.「平行移動させてもよい」とは「位置を無視した」ということに相当します.

この「平行移動はさせてもよい」という部分がネックになります.

ベクトルは「平行移動させても良い矢印」である.

ベクトルの和

ベクトル\ve{a},\ve{b}の合成を考えます.

\ve{a}の終点に\ve{b}の始点を”貼り付け”たとき,「『\ve{a}の始点』を始点,『\ve{a}の終点』を終点」とするベクトル\ve{c}を考えることができます.

この\ve{c}を「\ve{a}\ve{b}の和」といい,\ve{a}+\ve{b}で表します.

Rendered by QuickLaTeX.com

ベクトルの和に関しては,\ve{a}+\ve{b}=\ve{b}+\ve{a}が成り立ちます.

つまり,「ベクトルの和」を考えるときには,「\ve{a}の終点に\ve{b}の始点を”貼り付け”」考えても,「\ve{b}の終点に\ve{a}の始点を”貼り付け”」て考えても同じものになります.

また,\ve{a}と大きさが等しく,向きが逆のベクトルを-\ve{a}で表し,「\ve{a}-\ve{b}の和」は\ve{a}-\ve{b}と表します.

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ベクトル\ve{a},\ve{b}を「つなぎ合わせる」ことを「ベクトルの和」という.また,ベクトル\ve{a}と逆向きのベクトルを-\ve{a}と表す.

ベクトルの分解

「ベクトルの分解」とは「ベクトルの和」の逆の操作のようなもので,1つのベクトルを2つ以上のベクトルに分解することをいいます.

例えば,ベクトル\ve{c}を考え,\ve{c}=\ve{a}+\ve{b}となるような\ve{a},\ve{b}に分解することは「ベクトルの分解」です.

ただし,図の四角形は平行四辺形で,\ve{b}の始点が\ve{a}の終点に一致するように\ve{b}を並行移動させれば,\ve{c}\ve{a}+\ve{b}と分解できることが分かります.

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「ベクトルの分解」は1通りではなく,いくつも考えられるます.したがって,「ベクトルの分解」は扱いやすいようにうまく分解することが必要ですが,そこまで技巧的な分解が必要な場面はまずありません.

1つのベクトルを2つ(以上)のベクトルの和で表すことができる.これを「ベクトルの分解」という.

ベクトルの例

「で?物理でベクトルはどう使われてんの?」ということですが,その簡単な例としては「力」,「速度」が挙げられます.

力は[向き],[大きさ],[作用点]が大切で,この3つを併せて「力の三要素」と言います.つまり,力を知ろうとすると,「どの点」に「どれくらいの大きさ」の力が「どの向き」にはたらいているのかを知らなければなりません.

[作用点]がどこであるかは大切で,力の場合は「ベクトル」と言いつつも「位置」を気にすることも多いです.[作用点]を気にする場合には,ベクトルの始点を[作用点]にとって表します.

しかし,「力のつりあい」を考えるときなどは,単純に「ベクトルの和」を考えます.

基本的に,物体が”大きさを持つ”剛体であるときには,「作用点」がどこであるのかは大切な問題です.いずれにせよ,力は「矢印」を用いて考えるのが一般的です.

【参考記事:剛体の運動の基本1|力のモーメント

「力」では「力の三要素」である[向き],[大きさ],[作用点]が大切である.このうち,[向き]と[大きさ]はベクトルで表し,[作用点]をベクトルの始点で表す.

速度

「(瞬間の)速さ」と「向き」を併せて「速度」と言います.

「え?『速さ』と『速度』って同じちゃうの?」

と思うかも知れませんが,「速さ」と「速度」は違います.「速さ」は単に「時間当たりの移動距離」のことで「向き」は考えていません.

ですから,「速度」をベクトルとすると,「速さ」がベクトルの大きさに相当します.

例えば,「時速3km」や「秒速2m」などは「速さ」ですが,そこに「向き」の情報を加えた「東向きに時速3km」や「右向きに秒速2m」となって初めて「速度」です.

【参考記事:運動の基本1|等速直線運動,「速さ」と「速度」の違い

「速度」は「速さ」と「向き」を合わせたものである.「速さ」,「向き」をそれぞれベクトルの「大きさ 」,「向き」で表す.

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