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摩擦力の基本|摩擦力の3パターンを理解する

  
   

「摩擦力」は物体と物体が接しているときに物体の動きを妨げる向きにはたらく力で,「抗力」の一種です.ですから,物体と物体が接していれば,「摩擦力」がはたらくかどうかは常に気にしたいところです.

また,どのような状況ではたらく「摩擦力」なのかによって,力の大きさの表し方は3種類に分かれます.

  1. 物体が静止しているときにはたらく摩擦力
  2. 物体がギリギリ動かないときにはたらく摩擦力
  3. 物体が動いているときにはたらく摩擦力

です.3を間違える人はあまりいませんが,1と2を混同する人がよくいます.実際には「1と3が基本で,2は特別な場合」と考える方が良いでしょう.

この記事で,この3つの「摩擦力」をしっかり区別してください.

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摩擦力

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以下では,下図のように「床に置いた物体に大きさ F[\mathrm{N}]の力を加える」という設定で話を進めます.

図では力F[\mathrm{N}]は指で押していますが,糸をひっつけて引っ張っても構いません.なんにせよ,物体に力F[\mathrm{N}]を加えます.

さて,このとき床と物体の間に「摩擦力」が働きますが,この「摩擦力」の「大きさ」と「向き」を考えます.

まずは「向き」ですが,「摩擦力」は「抗力」の一種で,変化を妨げる向きにはたらきます.つまり,動かされそうになると,動かないような「向き」に力がはたらきます.

したがって,次のようになることが分かります.

[摩擦力の向き] 摩擦力は「加える力と逆向き」にはたらく.

これはいつでも正しいです.

それでは,以下で3パターンに分けて,「摩擦力」の「大きさ」を考えます.

物体が静止しているとき

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たとえば,机をちょっと押しただけでは机は動きません.

このように,物体に力を加えても,その加える力が弱いと物体は動かず,静止し続けます.

ですから,ここでは物体がそれほど大きくない力F[\mathrm{N}]を受けているときを考えていることになります.

さて,この場合の「摩擦力」の「大きさ」は次の通りです.

[摩擦力の大きさ1] 物体が静止しているとき,大きさF[\mathrm{N}]の摩擦力がはたらく.

つまり,今考えている状況では,「摩擦力」の大きさはFです.ただF[\mathrm{N}]のみによって決まります.

これは「力のつりあい」を考えれば当然のことです.

どういうことかというと,「力のつりあい」について大切なことは,「静止している物体が静止し続けるなら,その物体にはたらく力の合力は0である」ということでした.

いま,物体は静止しているのですから,「加える力」と「摩擦力」はつりあっていなければなりません.つまり,動いていない限り「加える力」の方が大きかったり,「摩擦力」の方が大きかったりといったことは絶対にありません.

したがって,摩擦力の大きさはF[\mathrm{N}]となります.

【参考記事:力の基本2|力のつりあいとその例

物体が動くとき

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たとえば,机を強く押すと机は動きますが,少し抵抗も感じます.

このように,物体に強い力を加えると物体は運動をしますが,同時に摩擦力も働いています.

ですから,ここでは物体がそれなりに大きい力F[\mathrm{N}]を受けているときを考えていることになります.

さて,この場合の「摩擦力」の「大きさ」は次の通りです.

[摩擦力の大きさ2] 物体が運動しているとき,摩擦力の大きさは\mu'N[\mathrm{N}]と表される.ただし,\mu'動摩擦係数といい,物体と床の材質に固有の量である.

物体が床に接触しながら動くとき,力は常に\mu'N[\mathrm{N}]となります.どれだけ大きな力を加えても,動いているときの摩擦力は常に\mu'N[\mathrm{N}]です.

動摩擦係数についてですが,たとえば物体と床の材質がともにゴムだったとします.このとき,物体を動かそうとすると大きい力が必要,つまり摩擦力が大きいということは経験として分かるでしょう.

このように,物体を動かすのに必要な力が大きいほど動摩擦係数は大きくなります.

ですから,一方で物体と床がともに氷なら簡単に動かすことができますから,「動摩擦係数は小さい」ということになります.

物体がギリギリ動かないとき

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物体に「これ強い力を加えると物体は動く」というようなギリギリの力を加える場合を考えます.つまり,F[\mathrm{N}]が物体が動く場合と動かない場合の境目大きさの場合ですね.

これは動く直前という表現もできます.

この場合の「摩擦力」の「大きさ」は次の通りです.

[摩擦力の大きさ3] 物体がギリギリ動かないとき,摩擦力の大きさは\mu N[\mathrm{N}]と表される.ただし,\mu静止摩擦係数といい,物体と床の材質に固有である.

また,物体が静止していることに注意すると,[摩擦力の大きさ1]と同様に摩擦力の大きさはF[\mathrm{N}]でもある.

「静止摩擦係数」は「動摩擦係数」と同様に,接触している物体の材質に固有で,静止摩擦係数が大きいほど摩擦力が強いです.

ここで,注意しなければならないのが,この場合は「摩擦力」の大きさはF[\mathrm{N}]\mu N[\mathrm{N}]の2通りに表せることです.

物体が静止しているときは力がつりあっているので,摩擦力はF[\mathrm{N}]と表せます.そして,この動く直前の場合の摩擦力は\mu N[\mathrm{N}]とも表せるのです.

力Fと摩擦力のグラフ

上で書いた事を踏まえると,物体に加える力F[\mathrm{N}]の大きさと「摩擦力f[\mathrm{N}]」の大きさの関係は次のグラフのようになります.

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物体が静止しているとき

物体が静止していることから,力がつりあっているので,f=Fが成り立ちます.つまり,摩擦力の大きさはF[\mathrm{N}]となります.

ですから,これは原点を通る傾き1のグラフとして表せます.

物体が動いているとき

F[\mathrm{N}]がどれだけ大きくても,動いていればずっと摩擦力は\mu N[\mathrm{N}]です.

ですから,これは値が常に\mu'Nの定値関数のグラフとして表せます.

物体がギリギリ動かないとき

力Fが\mu N[\mathrm{N}]のときのみこの状態となります.グラフ上では1点(\mu N,\mu N)のときです.

このとき以外で摩擦力が\mu N[\mathrm{N}]となることはありません.

まとめ

「摩擦力」は「運動を妨げる向き」にはたらきます.これは上で説明したどの「摩擦力」のパターンでもこれは正しいです.ですから,3パターンの違いは力の「大きさ」の違いにあります.

これら3パターンの「摩擦力」は並列に学ぶことが多いです.

しかし,実際には「ギリギリ動かない場合」は特別な場合であり,基本的には物体が静止しているか,物体が運動しているかを考えます.

つまり,大きさF[\mathrm{N}]の力を物体に加えたとして,

  1. 物体が静止していれば,「摩擦力」の大きさはF[\mathrm{N}]
  2. 物体が運動していれば,「摩擦力」の大きさは\mu'N[\mathrm{N}]

というこの2パターンが基本です.ただし,この\mu'「動摩擦係数」です.

この1の中でも,大きさF[\mathrm{N}]の力が「物体が動かないギリギリ」のときのみ,「摩擦力」の大きさは\mu N[\mathrm{N}]とも表せます.ただし,この\mu「静止摩擦係数」です.

いつでも静止しているときの摩擦力を\mu N[\mathrm{N}]とする間違いがよくあります.

静止摩擦係数が使えるのは,特別な場合に限られることをしっかり押さえてください.

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