【SPONSORED LINK】

運動の基本5|向きの決め方,向きを変えるとどうなるか

   
   

運動の基本4|等加速度直線運動の3つの公式の具体例】の続きです.

前の記事では具体例として「自由落下」,「鉛直投げ下ろし」,「鉛直投げ上げ」を扱いました.そのとき,私は「全て向きは『鉛直下向き』で考える」という断り書きをしました.

この記事では,

  1. なぜ最初に向きを決めるのか
  2. 異なる向きで考えるとどうなるのか

について書きます.

【SPONSORED LINK】

最初に向きを決める理由

物理において,「速度」とは「速さ」と「向き」を併せた概念でした.つまり,「速度」は矢印で表すことができます.数学的に言えば,「速度」はベクトルです.

「速度の矢印」を表現するためには「向き」を表現しなければなりません.そして,「向き」を表現するためには何らかの基準がなければなりません.

ただ,何もないところにぽんっと「矢印」を置かれても,その「矢印」の向きは表現できません.しかし,ぽんっと「矢印」を置いたところに「座標」が書かれていれば,「矢印」の「向き」を表現できるはずです.

力学の基本5_1

したがって,最初に向きを決めておくと,「速度」の「向き」を表現でき,話を進めるのが楽になるのです.

向きを変えるとどうなるか

最初に「向き」を決める理由は,その最初に決めた「向き」を使って速度などを表現するためでした.

あくまで,速度などを表現するために「向き」を決めるので,初めに決める「向き」は「鉛直上向き」だろうが,「鉛直下向き」だろうが,斜めを向いていようが構いません.

しかし,以下で「鉛直投げ上げ」を例に話を進めますが,初めに決める向きは「鉛直上向き」か「鉛直下向き」とするのが自然でしょう.

もちろん,斜めに向きをとってもなにも間違ってはいないのですが,「斜めに向きをとってしまうと議論が複雑になりそうなので,鉛直方向に向きを定めたい」というわけです.

さて,前回の記事の「鉛直投げ上げ」の例をもう一度考えてみます.

重力加速度は9.8\mathrm{m/s^2}であるとし,空気抵抗は無視する.ある高さから小球Cを初速19.6\mathrm{m/s}で鉛直上向きに投げ,小球Cを落下させると地面に到達したとき小球Cの速さは98\mathrm{m/s}であることが観測された.このとき,

  1. 小球Cを投げ上げた高さを求めよ.
  2. 地面に小球Cが到達するのは,投げ上げてから何秒後か求めよ.

「鉛直下向き」で考えた場合

全ての向きを「鉛直下向き」で考える.

[解答]

力学の基本5_2

1. 状況は右の図のようになっています.(当然,小球Cは鉛直線上を運動していますが,分かりやすいように少しずらしています.)

地面の位置xを求めます.

分かっている条件は時刻0での速さ19.6\mathrm{m/s}と小球Cが地面に到達した時の速さ98\mathrm{m}です.

いま,初速は「鉛直上向き」で初めに決めた「鉛直下向き」と逆ですから,v_0=-19.6,地面についた時の速度は「鉛直下向き」で初めに決めた「鉛直下向き」と同じですからv=98となります.

さらに,重力加速度の向きは「鉛直下向き」で初めに決めた「鉛直下向き」と同じですからa=9.8です.

よって,公式v^2-{v_0}^2=2axより,

98^2-(-19.6)^2=2\times 9.8\times x \quad \therefore x=470.4

を得ます.よって,地面の位置は470.4です.もともと,地面が0\mathrm{m}なので,小球Cを投げ上げた高さは470.4\mathrm{m}です.

2. 小球Cが到達する時刻tを求めます.

分かっている条件は時刻v_0=-19.6v=98なので,公式v=v_0+atから,

98=19.6+9.8\times t\quad \therefore t=12

を得ます.よって,手を離して12秒後に小球Cは地面に到達することが分かります.

「鉛直上向き」で考えた場合

全ての向きを「鉛直上向き」で考える.

[解答]

1. 状況は右の図のようになっています.(上の図と変わったのは,考える向きだけです)

地面の位置xを求めます.

分かっている条件は時刻0での速さ19.6\mathrm{m/s}と小球Cが地面に到達した時の速さ98\mathrm{m}です.

いま,初速は「鉛直上向き」で初めに決めた「鉛直上向き」と同じですから,v_0=19.6,地面についた時の速度は「鉛直下向き」で初めに決めた「鉛直上向き」と逆ですからv=-98となります.

さらに,今は重力加速度が「鉛直下向き」なのでa=-9.8となることにも注意しなければなりません!

よって,公式v^2-{v_0}^2=2axより,

(-98)^2-19.6^2=2\times (-9.8)\times x \quad \therefore x=-470.4

を得ます.よって,地面の位置は-470.4です.(いま,考える向きは「鉛直上向き」ですから,地面が負の位置になっているのは図から当たり前ですね!)もともと,地面が0\mathrm{m}なので,小球Cを投げ上げた高さは470.4\mathrm{m}です.

2. 小球Cが到達する時刻tを求めます.

分かっている条件は時刻v_0=19.6v=-98なので,公式v=v_0+atから,

-98=19.6+(-9.8)\times t\quad \therefore t=12

を得ます.よって,手を離して12秒後に小球Cは地面に到達することが分かります.

まとめ

「鉛直下向き」で考えた場合と,「鉛直上向き」で考えた場合をよく見比べると,「速度」,「位置」,「加速度」が正になったり負になったりしているだけです.

しかし,当然のことながら結局は同じ答えが出てきます.ですから,結論として

初めに決めた「考える向き」の決め方によって「速度」,「位置」,「加速度」が変わるが,どの場合で解いても結果は全て同じである.

といえます.向きを曖昧にして問題を解いてしまうと,プラスマイナスを混同してしまい,誤った答えになることがよくあります.最初に「どの向きで考えるか」ということを明確にしておくことが重要です.

関連記事

以下,関連記事です.

【良いと思ったらシェアを!】

SNSでもご購読できます。