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解答例と考え方|2017年度|京都大学|理系数学問5

この記事では,2017年2月25日に行われた京都大学前期入試の「理系数学の問5」の考え方と解法を説明します.

この問題のポイントは

  1. $a$によって場合分けできるか.
  2. 定積分を計算できるか.

です.

$a$によって状況が変わることに気付けば,場合分けにも気付くでしょう.

ほとんど一本道の計算で解けるので,確実にとっておきたい問題です.

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問題

2017年京都大学前期入試の「理系数学の問5」は以下の通りです.

問題

$a\geqq0$とする.$0\leqq x\leqq\sqrt{2}$の範囲で,曲線$y=xe^{-x}$,直線$y=ax$,直線$x=\sqrt{2}$によって囲まれた部分の面積を$S(a)$とする.このとき,$S(a)$の最小値を求めよ.

(ここで,「囲まれた部分」とは,上の曲線または直線のうち2つ以上で囲まれた部分を意味するものとする.)

求積問題です.

積分計算は大して難しくないので,きちんと場合分けできれば答えには辿り着けるでしょう.

問題のイメージ

曲線$y=xe^{-x}$と直線$x=\sqrt{2}$は以下の通りです.

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この二本の直線,曲線に加えて,直線$y=ax$で囲まれた図形の面積が$S(a)$ですね.

面積は定積分で表すことになりますが,$a$によって直線$y=ax$は$y=xe^{-x}$と交わったり交わらなかったりするため,$a$の値によって面積の表し方が変わります.

解法と考え方

$a$によって変化するきちんと状況を捉えて,立式します.

原点以外で交点を持つかどうか

曲線$y=xe^{-x}$と直線$y=ax$が,$0\leqq x\leqq\sqrt{2}$で交点を持つかどうかを考えます.

$y=xe^{-x}$と$y=ax$から,$y$を消去すると,

\begin{align*} xe^{-x}=ax\iff 0=x(a-e^{-x}) \end{align*}

となるので,$x=0$が常に解であることは分かります.問題は$a-e^{-x}$の方です.

$0\leqq x\leqq\sqrt{2}$であることから,$e^{-\sqrt{2}}\leqq a\leqq 1$の場合のみ$a-e^{-x}=0$となり得ます.

よって,$e^{-\sqrt{2}}\leqq a\leqq 1$の場合には,原点以外にも$0\leqq x\leqq\sqrt{2}$で交点を持つことが分かります.

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ここまでの考察から,$a=e^{-\sqrt{2}}$と$a=1$を境目として,場合分けすることは思い付くでしょう.

解答

$f(x)=xe^{-x}$, $g(x)=ax$とすると,

\begin{align*} f(x)-g(x)=xe^{-x}-ax=x(e^{-x}-a) \end{align*}

だから,$y=f(x)$のグラフと$y=g(x)$のグラフは$x=0,-\log{a}$で共有点を持つ.ここで,

\begin{align*} 0<-\log{a}<\sqrt{2} \iff& 0>\log{a}>-\sqrt{2} \\\iff& 1>a>e^{-\sqrt{2}} \end{align*}

である.以下,$\alpha=-\log{a}$とする.

[1] $0\leqq a<e^{-\sqrt{2}}$のとき

$0\leqq x\leqq\sqrt{2}$において$f(x)-g(x)\ge0$だから,$S(a)$は下図の灰色部分の面積である.

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このとき,図より明らかに$S\bra{e^{-\sqrt{2}}}\le S(a)$である.

[2] $1<a$のとき

$0\leqq x\leqq\sqrt{2}$において$f(x)-g(x)\leqq0$だから,$S(a)$は下図の灰色部分の面積である.

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このとき,図より明らかに$S(1)\le S(a)$である.

[1],[2]より,$S(a)$は$a$が$0\leqq a<e^{-\sqrt{2}}$のときに最小値をとる.

以下,$e^{-\sqrt{2}}\leqq a\leqq 1$のときを考える.

$0\leqq x\leqq\alpha$において$f(x)-g(x)\geqq0$で,$\alpha\leqq x\leqq \sqrt{2}$において$f(x)-g(x)\leqq0$だから,$S(a)$は下図の灰色部分の面積である.

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部分積分により,

\begin{align*} \int (f(x)-g(x))\,dx =&\int (xe^{-x}-ax)\,dx \\=&\int x(-e^{-x})'\,dx-\frac{ax^{2}}{2} \\=&-xe^{-x}+\int e^{-x}\,dx-\frac{ax^{2}}{2} \\=&-xe^{-x}-e^{-x}-\frac{ax^{2}}{2}+C \\=&-(x+1)e^{-x}-\frac{ax^{2}}{2}+C \end{align*}

である($C$は積分定数).$h(x)=-(x+1)e^{-x}-\dfrac{ax^{2}}{2}+C$とすると,

\begin{align*} &h(0)=-1+C, \\&h(\sqrt{2})=-(\sqrt{2}+1)e^{-\sqrt{2}}-a+C, \\&h(\alpha)=a(\log{a}-1)-\dfrac{a(\log{a})^{2}}{2}+C \end{align*}

である.よって,

\begin{align*} S(a) =&\int_{0}^{\alpha}(f(x)-g(x))\,dx+\int_{\alpha}^{\sqrt{2}}(g(x)-f(x))\,dx \\=&\int_{0}^{\alpha}(f(x)-g(x))\,dx-\int_{\alpha}^{\sqrt{2}}(f(x)-g(x))\,dx \\=&(h(\alpha)-h(0))-(h(\sqrt2)-h(\alpha)) \\=&2h(\alpha)-h(0)-h(\sqrt{2}) \\=&2\brb{a(\log{a}-1)-\frac{a(\log{a})^{2}}{2}}-(-1)-\brb{-(\sqrt{2}+1)e^{-\sqrt{2}}-a} \\=&2a\log{a}-a(\log{a})^{2}+(\sqrt{2}+1)e^{-\sqrt{2}}+1-a \end{align*}

なので,

\begin{align*} \frac{dS}{da}(a) =&2\log{a}+2a\cdot\frac{1}{a}-(\log{a})^{2}-2a(\log{a})\cdot\frac{1}{a}-1 \\=&1-(\log{a})^{2} \\=&(1-\log{a})(1+\log{a}) \end{align*}

となる.$e^{-\sqrt{2}}\leqq a\leqq 1$から$-\sqrt{2}\leqq\log{a}\leqq0$なので,

\begin{align*} \frac{dS}{da}(a)=0 \iff&\log{a}=-1 \\\iff& a=e^{-1} \end{align*}

である.よって,$e^{-\sqrt{2}}\leqq a\leqq 1$における$S(a)$の増減表は

$\begin{array}{c||c|c|c|c|c}
a & e^{-\sqrt{2}} & \dots & e^{-1} & \dots & \sqrt{2} \\ \hline
S'(a) & – & – & 0 & + & + \\ \hline
S(a) & S\bra{e^{-\sqrt{2}}} & \searrow & S\bra{e^{-1}} & \nearrow & S\bra{\sqrt{2}}
\end{array}$

となるから,$S(a)$は$a=e^{-1}$のときに最小値$S(e^{-1})$をとる.

$a=e^{-1}$のとき$\alpha=1$だから,

\begin{align*} S(e^{-1}) =&2h(1)-h(0)-h(\sqrt{2}) \\=&2\brb{-(1+1)e^{-1}-\frac{e^{-1}\cdot1^{2}}{2}}-(-1)-\brb{-(\sqrt{2}+1)e^{-\sqrt{2}}-e^{-1}} \\=&1-4e^{-1}+(\sqrt{2}+1)e^{-\sqrt{2}} \end{align*}

となる.よって,$S(a)$の最小値は$1-4e^{-1}+(\sqrt{2}+1)e^{-\sqrt{2}}$である.

解答の補足

解答について補足します.

直感的に求める

$S(a)$が最小値をとる$a=e^{-1}$は,「直感的には」次のようにも求められます.

$a=c$で$S(a)$が最小値をとるとします.

このとき,$a=c$で$a$を$c$から大きくすると右側の面積の増加の方が大きく,一方$a$を$c$から小さくすると左側の面積の増加の方が大きくなります.

つまり,$a=c$は右側の面積の増加(減少)と,左側の面積の減少(増加)が釣り合うところと解釈できます.

このとき,$a$を$c$から小さくすると,下図の赤色部分の面積だけ増加し,青色部分の面積だけ減少します.

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気持ちとしては,(赤の面積):(青の面積)$=1:1$となっていて欲しいので,近似的に

Rendered by QuickLaTeX.com

と見ることで,相似から辺の長さの比が$1:\sqrt{2}$となります.また,$a$を$c$から大きくした場合にも同様です.

よって,$c:\sqrt{2}=1:\sqrt{2}$となって$c=1$が得られます.これは上の解答と一致していますね.

近似的にみるという少し高度な考え方です(物理ではよくやります)が,これにより直感的にはいつ最小になるのかが分かりますね.

なお,厳密に書くのは難しいので,検算に留めておくのが良いでしょう.

微分での間違い

$\alpha=-\log{a}$で,$h(\alpha)$の$a$に関する微分$\dfrac{dh}{da}(\alpha)$を求める際,合成関数の微分と見て

\begin{align*} \dfrac{dh}{da}(\alpha)=h'(\alpha)\cdot(-\dfrac{1}{a}) \end{align*}

とするのは間違いです.

一見,これで良さそうにも見えますが,$h$はもともと$f(x)-g(x)$の原始関数でした.そして,$g(x)=ax$なので,$h(x)$には元から$a$が含まれています.

なので,$\dfrac{dh}{da}(\alpha)$を微分するときには,$h(x)$のなかの$a$を無視してはいけないので,単に合成関数の微分と見ることはできないというわけですね.

最後までありがとうございました!

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