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解答例と考え方|2018年度|京都大学|理系数学問6

この記事では,2018年2月25日に行われた京都大学前期入試の「理系数学の問6」の考え方と解法を説明します.

この問題のポイントは,

  1. 証明すべきことを筋道を立てて考えられるか
  2. 誘導から図形の対称性に気付けるか

です.

(1)の誘導に気づくことができれば,解答自体は短く終えることができます.

ただ,受験ではなかなか使われない考え方なので,しっかり図が描けていても気付くのは少々難しいかもしれません.

発想力が差になる問題なので,この問題が解けなくてもそれほど心配する必要はないでしょう.

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問題

2018年京都大学前期入試の「理系数学の問6」は以下の通りです.

四面体ABCDは\mathrm{AC}=\mathrm{BD}\mathrm{AD}=\mathrm{BC}を満たすとし,辺ABの中点をP, 辺CDの中点をQとする.

(1) 辺ABと線分PQは垂直であることを示せ.
(2) 線分PQを含む平面\alphaで四面体ABCDを切って2つの部分に分ける.このとき,2つの部分の体積は等しいことを示せ.

(1)は誘導ですが,しっかり方針を立てて考えましょう.

また,(2)はあることに気付ければ一発の問題ですが,類問が少ないのでなかなか気付けないかもしれません.

(1)ではA,B,P,Qが登場するので,この4点を含む平面を考えると,線分AP,BPは自然に引けますね.

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このとき,直線PQは辺ABに垂直であることを示せというのが(1)で,同様に直線PQは辺CDに垂直であることになります.

直線PQが四面体ABCDの「真ん中」をグサッと垂直に貫いているイメージですね.

さて,平面ABQは正四面体ABCDを二等分にすることは容易に見て取れますが,実はこの平面ABQを直線PQを軸として回転させてもやはり正四面体ABCDを二等分します.

これを示せというのが(2)です.

例えば,この回転させた平面が辺AD,辺BCと交わるとき,これらの交点をそれぞれM,Nとすると,下図のようになります.

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この平面PMQNが四面体ABCDを二等分することになるわけですね.

解法と考え方1

(1)は点Pが辺ABの中点なので,\tri{ABQ}\mrm{AQ}=\mrm{BQ}の二等辺三角形であることを示せば勝ちです.

一方,(2)は少し気付きが必要な問題で,この年の問題の中では最難問でしょう.

対称性

以下のものは定理というほどでもなく,考えれば当たり前ですが,意外と抜けがちな考え方なのでしっかり意識しておいてください.

次は同値である.

  • 点Pが線分ABの中点である.
  • 点Aと点Bは点Pに関して対称である.

問題の条件から点Pは線分ABの中点なので,点Aと点Bは点Pに関して対称です.

(1)で直線PQと辺ABが垂直であったことと併せると,直線PQに関して点Aと点Bは線対称となります.

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言い換えれば,直線PQをくるくるっと180^\circ回すと点Aと点Bは互いに移り変わります.

ここで,私は

「この平面PMQNが四面体ABCDを二等分するとなると,四面体AMPQと四面体BNPQは対称性から合同になりそうやなあ」

と考えました.

(1)から直線PQが辺ABの垂直二等分線になっていることから,直線PQを軸に四面体ABCDをくるくるっと回して,四面体AMPQと四面体BNPQがピタッと合同になれば良いわけですが,まだ点Mと点Nが直線PQに関して線対称であるかどうかは分かっていません.

しかし,(1)と同様に点Cと点Dも直線PQに関して線対称ですから,線分ACと線分BDも線対称です.

このことから,点Mと点Nが直線PQに関して線対称であることが分かり,四面体AMPQと四面体BNPQの合同が得られます.

なお,ここでは暗に以下の事実を使いました.

空間上の2点A,B,C,Dと直線\ellについて,2点A,Cはそれぞれ直線\ellに関して2点B,Dと対称であるとする.このとき,線分ACと線分BDは直線\ellに関して線対称である.

ここまでくれば,別に四面体AMPQと四面体BNPQに注目しなくても,平面PMQNで分けられた2領域が直線PQを軸に四面体ABCDをくるくるっと回すことで移り合うことが分かりますね.

解答

以下,解答例です.

[解答]

(1) \tri{ABQ}\mrm{AQ}=\mrm{BQ}の二等辺三角形であることを示せば,点Pは線分ABの中点だから,辺ABと線分PQは垂直であることが分かる.

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仮定の\mathrm{AC}=\mathrm{BD}\mathrm{AD}=\mathrm{BC}と,自明な等式\mathrm{CD}=\mathrm{DC}から,\tri{ACD}\equiv\tri{BDC}が成り立つから,\ang{ADC}=\ang{BCD}を得る.

これと仮定の\mathrm{AD}=\mathrm{BC}\mrm{DQ}=\mrm{CQ}を併せて,\tri{ADQ}\equiv\tri{BCQ}が成り立つから,\mrm{AQ}=\mrm{BQ}を得る.

以上より,題意が従う.

(2) (1)と点Pが辺ABの中点であることより,点Aと点Bは直線PQに関して線対称である.

同様に,点Cと点Dは直線PQに関して線対称である.

また,直線PQは平面\alpha上の直線なので,平面\alphaによって分割された四面体ABCDの一方の領域上の点を直線PQに関して対称移動させると,
四面体ABCDの他方の領域に移ることが分かる.

したがって,平面\alphaによって分割された2つの領域は直線PQに関して線対称だから,合同で,体積が等しいことが従う.

[解答終]

回転させてピッタリ一致するという議論は高校数学では馴染みが薄く,なかなか思い付けないかもしれませんね.

もしかすると,図形をパズルのようにうまく変形して考える問題がよく出題される中学受験を経験した人には,少し思い付きやすい問題なのかもしれません.

解法と考え方2

(1)の「垂直」という言葉を見て,「ベクトルの内積が0」という考え方も思い付きたいところです.

(2)は[カヴァリエリの原理]を用いても解けます.

空間ベクトル

平面ベクトルでは「1次独立な2つのベクトルを中心に考える」というのが基本的な考え方でした.

同様に,空間ベクトルでは「同一平面上にない3つのベクトルを中心に考える」というのが基本的な考え方です.

同一平面上になければどの3つを選んでも良いですが,\Ve{AB}\Ve{AC}\Ve{AD}を中心に考えることにしましょう.

\Ve{PQ}をこの3つのベクトルで表し,条件\mathrm{AC}=\mathrm{BD}\mathrm{AD}=\mathrm{BC}を使うことで,\Ve{AB}\cdot\Ve{PQ}=0を示すことができます.

幾何的な短いエレガントな解法ではないものの,機械的に計算すれば答えが求まることが多いのは,ベクトルを使うメリットの1つですね.

カヴァリエリの原理

[カヴァリエリ(Cavalieri)の原理]という言葉には馴染みのない人は多いと思いますが,主張はいたってシンプルで直感的にも容易に納得できます.

[カヴァリエリの原理] 高さが等しい2つの立体V,Uについて,同じ高さでの立体V,Uの断面積が常に等しいとき,立体V,Uの体積は等しい.

数学IIIの知識を使えば,水平面に垂直上向きにt軸を取り,高さがTの2つの立体V,Uの断面積をそれぞれf(t)g(t)とすると,

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条件からf(t)=g(t)なので

\begin{align*} V=\dint_{0}^{T}f(t)\,dt=\dint_{0}^{T}g(t)\,dt=U \end{align*}

となって,両者の体積が等しいことが分かりました.

[カヴァリエリの原理]の良いところは,立体全体を考えなくても断面を考えるだけで立体が等しいことが分かる点です.

解答

以下,解答例です.

[解答]

(1) \ve{b}=\Ve{AB}\ve{c}=\Ve{AC}\ve{d}=\Ve{AD}とする.

\begin{align*} \Ve{PQ}\cdot\Ve{AB} =&(\Ve{AQ}-\Ve{AP})\cdot\Ve{AB} \\=&\bra{\dfrac{\ve{c}+\ve{d}}{2}-\dfrac{1}{2}\ve{b}}\cdot\ve{b} \\=&\dfrac{1}{2}(\ve{b}\cdot\ve{c}+\ve{b}\cdot\ve{d}-|\ve{b}|^2) \end{align*}

である.条件\mathrm{AC}=\mathrm{BD}\mathrm{AD}=\mathrm{BC}から,

\begin{align*} &|\ve{c}|^2=|\ve{d}-\ve{b}|^2 \\\iff&|\ve{c}|^2=|\ve{d}|^2-2\ve{d}\cdot\ve{b}+|\ve{b}|^2\dots(*), \\&|\ve{d}|^2=|\ve{c}-\ve{b}|^2 \\\iff&|\ve{d}|^2=|\ve{c}|^2-2\ve{c}\cdot\ve{b}+|\ve{b}|^2\dots(\star) \end{align*}

が成り立つ.2式(*)(\star)の辺々加えて

\begin{align*} &0=-2\ve{d}\cdot\ve{b}-2\ve{c}\cdot\ve{b}+2|\ve{b}|^2 \\\iff& \ve{b}\cdot\ve{c}+\ve{b}\cdot\ve{d}-|\ve{b}|^2=0 \end{align*}

となるから,\Ve{PQ}\cdot\Ve{AB}=0が従う.よって,辺ABと線分PQは垂直である.

(2) 線分PQに垂直で線分PQ(両端を除く)と交わる平面による四面体ABCDのこの断面\betaを考える.

この断面と辺AC,AD,BD,BCとの交点をそれぞれR,S,T,Uとすると,辺ABと辺CDは共に線分PQに垂直だから,断面RSTUは辺ABと辺CDと平行である.

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このとき,\mrm{CD}//\mrm{RS}より\mrm{AC}:\mrm{RC}=\mrm{AD}:\mrm{SD}であり,\mrm{AB}//\mrm{RU}より\mrm{AB}:\mrm{RU}=\mrm{AC}:\mrm{RC}であり,\mrm{AB}//\mrm{ST}より\mrm{AB}:\mrm{ST}=\mrm{AD}:\mrm{SD}だから,

\begin{align*} \mrm{AB}:\mrm{RU}=\mrm{AB}:\mrm{ST} \end{align*}

となって,\mrm{RU}=\mrm{ST}を得る.同様に,\mrm{RS}=\mrm{UT}である.よって,四角形RSTUは平行四辺形である.

いま,線分AQは線分RSを,線分BQは線分TUを1:1に分割するから,平面ABQと四角形RSTUの交線\ell_1\ell_1//\mrm{ST}(//\mrm{RU})を満たす.

同様に,平面CDPと四角形RSTUの交線\ell_2\ell_2//\mrm{RS}(//\mrm{UT})を満たす.

平面ABQと平面CDPの交線は直線PQだから,\ell_1\ell_2の交点Xは直線PQ上に存在するので,平面\alphaは点Xを通る.

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四角形RSTUは平行四辺形だったから,四角形RSTUは点Xに関して点対称なので,点Xを通る平面\alphaは四角形RSTUを合同な2領域に分割する.

いま,四面体ABCDの断面は任意のものを考えたから,カヴァリエリの原理より\alphaにより分割される2領域の体積は等しい.

[解答終]

このカヴァリエリの原理を用いた解答も,分割された領域が線対称になっていることが本質ですね.

最後まで読んで下さってありがとうございました!

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