【SPONSORED LINK】

解答例と考え方|2019年度|京都大学|理系数学問1

この記事では,2019年2月25日に行われた京都大学前期入試の「理系数学の問1」の考え方と解法を説明します.

この問題のポイントは,問1は

  1. [2倍角の定理],[3倍角の定理]を使えるか
  2. 無理数と有理数の扱いができるか

で,問2は

  1. [部分積分の公式]を使えるか
  2. 部分分数分解からの積分ができるか

です.

どちらもそれほど難しい問題ではないので,しっかり解き切りたい問題です.

【SPONSORED LINK】

問題

2019年京都大学前期入試の「理系数学の問1」は以下の通りです.

次の問に答えよ.

問1 $0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$とする.$\cos{\theta}$は有理数ではないが,$\cos{2\theta}$と$\cos{3\theta}$がともに有理数となるような$\theta$の値を求めよ.

問2 次の定積分の値を求めよ.

\begin{align*} &(1)\quad\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{x}{\cos^2{x}}\,dx &(2)\quad\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{dx}{\cos{x}} \end{align*}

小問集合で,問1,問2は独立しており,

  • 問1は三角関数の問題に見えますが,メインは有理数と無理数の問題
  • 問2は積分の問題

です.

問1について,例えば$\theta=\dfrac{\pi}{6}$の場合は

\begin{align*} &\cos{\theta}=\cos{\frac{\pi}{6}}=\frac{\sqrt{3}}{2}, \\&\cos{2\theta}=\cos{\frac{\pi}{3}}=\frac{1}{2}, \\&\cos{3\theta}=\cos{\frac{\pi}{2}}=0 \end{align*}

なので条件を満たします.このような$\theta$を全て求めるのが問1ですね.

問2(1)は分母に$\cos^2{\theta}$があり,$(\tan{x})’=\dfrac{1}{\cos^2{x}}$が使えそうなことには,瞬時に気付いて欲しいところです.

また,問2(2)は解答を見ると少々テクニカルに見えるかもしれませんが,教科書に載っているレベルなので確実に解けて欲しいところです.

解法と考え方

問1も問2もサクッと解きたいところです.

2倍角の公式と3倍角の公式

$\cos$の[2倍角の公式]と[3倍角の公式]が

\begin{align*} \cos{2\theta}&=2\cos^2{\theta}-1 \\\cos{3\theta}&=4\cos^3{\theta}-3\cos{\theta} \end{align*}

であることは,瞬時に書けて欲しいところです.

(有理数)×(無理数)

$2\cos^2{\theta}=\cos{2\theta}+1$を$\cos{3\theta}=4\cos^3{\theta}-3\cos{\theta}$に代入することで,$\cos{2\theta}$と$\cos{3\theta}$の関係式

\begin{align*} \cos{3\theta}=(2\cos{2\theta}-1)\cos{\theta} \end{align*}

が得られます.ここで,条件からこの等式は(有理数)=(有理数)×(無理数)の形になっていることに注意しましょう.

これについて,以下の事実は当たり前にしておきたいところです.

有理数$r$と無理数$\alpha$について,$r\alpha$が有理数となるのは$r=0$の場合に限る.

[証明]

$r\alpha=c$とし,$c$は有理数であるとする.このとき,有理数の定義から

  • $r=\dfrac{q}{p}$ ($p$は0以外の整数,$q$は整数)
  • $c=\dfrac{b}{a}$ ($a$は0以外の整数,$b$は整数)

とおける.もし$b\neq0$なら$c\neq0$なので,

\begin{align*} \alpha =\frac{r}{c} =\frac{qa}{pb} \end{align*}

となり,$qa$, $pb$はともに整数だから,$\alpha$は有理数となって矛盾する.

よって,仮定$b\neq0$は誤りで,$b=0$を得る.したがって,$c=0$である.

[証明終]

言い換えれば,$r\alpha$はほとんど無理数になりますが,$r=0$の場合のみ$r\alpha$は有理数0になるというわけですね.

ただし,答案の中ではこの定理を黙って使うことは避け,簡単にでも説明しておく方がよいでしょう

この定理により,

\begin{align*} \cos{3\theta}=2\cos{2\theta}-1=0 \end{align*}

となることが分かります.

部分積分の公式

$f(x)$, $g(x)$が微分可能であれば,[部分積分の公式]

\begin{align*} \int f'(x)g(x)\,dx=f(x)g(x)-\int f(x)g'(x)\,dx \end{align*}

が成り立ちますね.$(\tan{x})’=\dfrac{1}{\cos^2{x}}$なので,

\begin{align*} \frac{x}{\cos^2{x}} =x(\tan{x})' \end{align*}

とみることで,$\dint\frac{x}{\cos^2{x}}\,dx$が計算できます.

部分分数分解

実数$a$, $b$, $x$に対して,部分分数分解

\begin{align*} \frac{1}{(x-a)(x-b)}=\frac{1}{a-b}\bra{\frac{1}{x-a}-\frac{1}{x-b}} \end{align*}

が成り立ちます.

この部分分数分解は覚えていなくても瞬時に導くことができるのでした.

詳しくは以下の記事で説明しているので,参照してください.

解答

以下,解答例です.

問1の解答

$\cos$の2倍角の公式より

\begin{align*} &\cos{2\theta}=2\cos^2{\theta}-1 \\\iff&2\cos^2{\theta}=\cos{2\theta}+1 \end{align*}

なので,$\cos$の3倍角の公式と併せて

\begin{align*} \cos{3\theta} =&2\cos^3-3\cos{\theta} \\=&2(\cos{2\theta}+1)\cos{\theta}-3\cos{\theta} \\=&\{(2\cos{2\theta}+2)-3\}\cos{\theta} \\=&(2\cos{2\theta}-1)\cos{\theta} \end{align*}

を得る.ここで,もし$2\cos{2\theta}-1\neq0$なら,

\begin{align*} \cos{\theta}=\frac{\cos{3\theta}}{2\cos{2\theta}-1} \end{align*}

となり,条件から$\cos{2\theta}$, $\cos{3\theta}$はともに有理数だから,右辺は有理数である.これは条件から左辺$\cos{\theta}$が無理数であることに矛盾する.

よって,$2\cos{2\theta}-1=0$を得る.$0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$より$0<2\theta<\pi$だから,

\begin{align*} 2\cos{2\theta}-1=0 \iff&\cos{2\theta}=\frac{1}{2} \\\iff&\theta=\frac{\pi}{6} \end{align*}

となる.逆に,$\theta=\dfrac{\pi}{6}$のときは,

\begin{align*} &\cos{\theta}=\cos{\frac{\pi}{6}}=\frac{\sqrt{3}}{2}, \\&\cos{2\theta}=\cos{\frac{\pi}{3}}=\frac{1}{2}, \\&\cos{3\theta}=\cos{\frac{\pi}{2}}=0 \end{align*}

なので条件を満たす.よって,求める$\theta$は$\theta=\dfrac{\pi}{6}$である.

問2の解答

(1) 部分積分の公式より

\begin{align*} \int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{x}{\cos^2{x}}\,dx =&\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}x(\tan{x})'\,dx \\=&[x\tan{x}]_{0}^{\frac{\pi}{4}}-\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}(x)'\tan{x}\,dx \\=&\bra{\frac{\pi}{4}\tan{\frac{\pi}{4}}-0\tan{0}}-\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{\sin{x}}{\cos{x}}\,dx \\=&\frac{\pi}{4}-[-\log|\cos{x}|]_{0}^{\frac{\pi}{4}} \\=&\frac{\pi}{4}+\bra{\log\abs{\cos\frac{\pi}{4}}-\log|\cos{0}|} \\=&\frac{\pi}{4}+\bra{\log{\frac{1}{\sqrt{2}}}-\log1} \\=&\frac{\pi}{4}-\frac{1}{2}\log{2} \end{align*}

である.

(2) 被積分関数は

\begin{align*} \frac{1}{\cos{x}} =&\frac{\cos{x}}{\cos^2{x}} \\=&\frac{\cos{x}}{1-\sin^2{x}} \\=&\frac{\cos{x}}{(1-\sin{x})(1+\sin{x})} \\=&\frac{1}{2}\bra{\frac{\cos{x}}{1-\sin{x}}+\frac{\cos{x}}{1+\sin{x}}} \end{align*}

となるから,

\begin{align*} \int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{dx}{\cos{x}} =&\frac{1}{2}\int_{0}^{\pi}{4}\bra{\frac{\cos{x}}{1-\sin{x}}+\frac{\cos{x}}{1+\sin{x}}}\,dx \\=&\frac{1}{2}\brc{-\log|1-\sin{x}|+\log|1+\sin{x}|}_{0}^{\frac{\pi}{4}} \\=&\frac{1}{2}\left\{\bra{-\log\abs{1-\sin{\frac{\pi}{4}}}+\log\abs{1+\sin{\frac{\pi}{4}}}}\right. \\&\left.-\bra{-\log|1-\sin{0}|+\log|1+\sin{0}|}\right\} \\=&\frac{1}{2}\log\frac{1+\frac{1}{\sqrt{2}}}{1-\frac{1}{\sqrt{2}}} =\frac{1}{2}\log\frac{\sqrt{2}+1}{\sqrt{2}-1} \\=&\frac{1}{2}\log\frac{(\sqrt{2}+1)^2}{(\sqrt{2}-1)(\sqrt{2}+1)} \\=&\frac{1}{2}\log\bra{3+2\sqrt{2}} =\log{\sqrt{(1+\sqrt{2})^2}} \\=&\log{\abs{1+\sqrt{2}}} =\log{\bra{1+\sqrt{2}}} \end{align*}

最後までありがとうございました!

参考になった方は是非シェアをお願いします!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

以下の関連記事もいかがですか?

SPONSORED LINK
関連記事

記事一覧はこちらからどうぞ!

記事

一覧へ

Twitterを

フォロー

TouTube

を見る

オススメ

参考書

大学数学の

姉妹ブログ