解答例と考え方|2021年度|京都大学|理系数学問1

この記事では,2021年2月25日に行われた京都大学前期入試の「理系数学の問1」の考え方と解法を説明します.

この問1は小問2問からなります.

1問目のポイントは

  • 平面と直線が垂直であることを言い換えられるか
  • 平面の方程式を求められるか

です.

一方,2問目はほとんど基本問題なので,ベン図からさっさと解いてしまいたい問題です.

問題

2021年度京都大学前期入試の「理系数学の問1」は以下の通りです.

問1 $xyz$空間の3点$\mrm{A}(1,0,0)$, $\mrm{B}(0,-1,0)$, $\mrm{C}(0,0,2)$を通る平面$\alpha$に関して点$\mrm{P}(1,1,1)$と対称な点Qの座標を求めよ.ただし,点Qが平面$\alpha$に関してPと対称であるとは,線分PQの中点Mが平面$\alpha$上にあり,直線PMがPから平面$\alpha$におろした垂線となることである.

問2 赤玉,白玉,青玉,黄玉が1個ずつ入った袋がある.よくかきまぜた後に袋から玉を1個取り出し,その玉の色を記録してから袋に戻す.この試行を繰り返すとき,$n$回目の試行で初めて赤玉が取り出されて4種類全ての色が記録済みとなる確率を求めよ.

(試験中補足:ただし,$n$は$n\geqq4$なる整数とする.)

小問集合で

  • 問1は空間ベクトル
  • 問2は確率

ですね.

考え方

2問ともそれほど難しくないので,さっさと解いて確実に得点したい問題です.

とくに問2は基本問題といってもよく,落とせない問題です.

空間上の平面と直線

空間上の平面と直線が垂直であることの定義は次の通りです.

空間上の平面$\alpha$と直線$\ell$が垂直である(または直交する)とは,直線$\ell$が平面$\alpha$上の全ての直線と垂直であることをいう.

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定義は以上の通りですが,実は直線$\ell$が平面$\alpha$上の「全ての」直線に垂直であることを確かめなくても,直線$\ell$と平面$\alpha$が垂直であることは確認できます.

実は,平面$\alpha$の上の2本の直線と垂直であれば平面$\alpha$と直線$\ell$は垂直となります.

つまり,次が成り立ちます.

空間上の平面$\alpha$と直線$\ell$について,次は同値である.

  • 平面$\alpha$と直線$\ell$は垂直である.
  • 平面$\alpha$上の2直線が直線$\ell$と垂直である.

よって,問1では平面$\alpha$上の2直線として直線ABと直線ACを考えれば,

  • 平面$\alpha$と直線PMが垂直であること
  • 直線ABが直線$\ell$が垂直かつ直線ACが直線$\ell$が垂直

は同値となりますね.

平面の方程式

$xyz$平面上の一般の平面の方程式は

\begin{align*} ax+by+cz+d=0\quad((a,b,c)\neq(0,0,0)) \end{align*}

の形で表されます.このことは$xy$平面上の一般の直線の方程式が$ax+by+c=0$と表されることの類推で理解できますね.

問1では平面$\alpha$が通る3点A, B, Cの座標が分かっているので,代入すれば平面の方程式は連立方程式を解くことで得られます.

しかし,平面と各軸の交点の座標が分かっていれば,以下のように簡単に求まることは知っておいて良いでしょう.

空間上の平面$\alpha$が3点$(k,0,0)$, $(0,\ell,0)$, $(0,0,m)$を通るとき,平面$\alpha$の方程式は

\begin{align*} \frac{x}{k}+\frac{y}{\ell}+\frac{z}{m}=1 \end{align*}

である.

確かに$(x,y,z)=(k,0,0),(0,\ell,0),(0,0,m)$の場合にこの方程式が満たされることはすぐに確認できますね.

このことも直線の場合の「平面上の直線が2点$(k,0)$, $(0,\ell)$を通るとき,方程式が$\dfrac{x}{k}+\dfrac{y}{\ell}=1$である」ということからの類推で理解できますね.

解答例

以下,解答例です.

問1

平面$\alpha$が3点$\mrm{A}(1,0,0)$, $\mrm{B}(0,-1,0)$, $\mrm{C}(0,0,2)$を通ることから,平面$\alpha$の方程式は

\begin{align*} &\frac{x}{1}+\frac{y}{-1}+\frac{z}{2}=1 \\\iff&2x-2y+z=2 \end{align*}

である.

$(x,y,z)=(1,1,1)$はこの方程式を満たさないから点Pは平面$\alpha$上に存在しないので,$\Ve{PQ}$は零ベクトルでない.よって,線分PQの中点をMとするとき,$\Ve{PM}$も零ベクトルでない.

点Mが平面$\alpha$上にあることからMの座標は$(s,t,2-2s+2t)$ ($s$, $t$は実数)と表せる.

また,平面$\alpha$と直線PMは垂直だから平面$\alpha$上の直線AB,直線ACはともに直線PMと垂直だから

\begin{align*} &\Ve{AB}\cdot\Ve{PM}=\Ve{AB}\cdot\Ve{PM}=0 \\\iff&\pmat{-1\\-1\\0}\cdot\pmat{s-1\\t-1\\(2-2s+2t)-1} \\&\qquad=\pmat{-1\\0\\2}\cdot\pmat{s-1\\t-1\\(2-2s+2t)-1}=0 \\\iff&-(s-1)-(t-1)=-(s-1)+2(1-2s+2t)=0 \\\iff&2-s-t=3-5s+4t=0 \iff(s,t)=\bra{\frac{11}{9},\frac{7}{9}} \end{align*}

となる.

よって,$xyz$空間の原点をOとすると

\begin{align*} \Ve{OQ} =&\Ve{OP}+\Ve{PQ} =\Ve{OP}+2\Ve{PM} \\=&\pmat{1\\1\\1}+2\pmat{\frac{11}{9}-1\\\frac{7}{9}-1\\\bra{2-2\cdot\frac{11}{9}+2\cdot\frac{7}{9}}-1} =\pmat{\frac{13}{9}\\\frac{5}{9}\\\frac{11}{9}} \end{align*}

だから,Qの座標は$\bra{\dfrac{13}{9},\dfrac{5}{9},\dfrac{11}{9}}$である.

問2

$(n-1)$回目までの試行について

  • 「白玉,青玉,黄玉のみ取り出す事象」を$A$
  • 「白玉,青玉のみ取り出す事象」を$B$
  • 「白玉,黄玉のみ取り出す事象」を$C$
  • 「青玉,黄玉のみ取り出す事象」を$D$

とし,「事象$A$が起こり,事象$B$,事象$C$,事象$D$がいずれも起こらない事象」を$X$とする.

また,$n$回目の試行で「赤玉を取り出す事象」を$Y$とする.

このとき,$X$は$(n-1)$回目までの事象,$Y$は$n$回目までの事象なので,$X$と$Y$が独立であることに注意すると,求める確率は

\begin{align*} P(X\cap Y) =P(X)P(Y) \end{align*}

である.$P(Y)=\dfrac{1}{4}$だから,あとは$P(X)$を求めればよい.

事象$B$,事象$C$,事象$D$はいずれも事象$A$の部分なので

\begin{align*} P(X) =P(A)-P(B\cup C\cup D) \end{align*}

である.$B\cap C\cap D$は空事象だから

\begin{align*} P(B\cup C\cup D) =P(B)+P(C)+P(D)-P(B\cup C)-P(C\cup D)-P(D\cup B) \end{align*}

であり

\begin{align*} &P(A) =\bra{\frac{3}{4}}^{n-1}, \\&P(B)=P(C)=P(D)=\bra{\frac{2}{4}}^{n-1}, \\&P(B\cup C)=P(C\cup D)=P(D\cup B)=\bra{\frac{1}{4}}^{n-1}, \\&P(B\cap C\cap D)=0 \end{align*}

だから,求める確率は

\begin{align*} \frac{1}{4}\brb{\frac{3^{n-1}}{4^{n-1}}-\bra{\frac{3\cdot 2^{n-1}}{4^{n-1}}-\frac{3\cdot 1}{4^{n-1}}+0}} =\frac{3^{n-1}-3\cdot2^{n-1}+3}{4^{n}} \end{align*}

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