解答例と考え方|2021年度|京都大学|理系数学問5

この記事では,2021年2月25日に行われた京都大学前期入試の「理系数学の問5」の考え方と解法を説明します.

この問5のポイントは

  • Aの位置によらず外心が変化しないことに気付くか
  • 軌跡で$y$の範囲を見極められるか

です.

素直に解き進めればそれほど難しくない問題でしょうが,実際の試験場では軌跡の$y$の範囲を落ち着いて判断できるかどうかが分かれ目になるかもしれません.

なお,(2)はあることに気付けば答えはほとんど計算せずに分かります.

問題

2021年度京都大学前期入試の「理系数学の問5」は以下の通りです.

$xy$平面において,2点$\mrm{B}(-\sqrt{3},-1)$, $\mrm{C}(\sqrt{3},-1)$に対し,点Aは次の条件($*$)を満たすとする.

($*$) $\ang{BAC}=\dfrac{\pi}{3}$かつ点Aの$y$座標は正.

次の各問に答えよ.

(1) $\tri{ABC}$の外心の座標を求めよ.

(2) 点Aが条件($*$)を満たしながら動くとき,$\tri{ABC}$の垂心の軌跡を求めよ.

3点A, B, Cは下図のようになっていますね.

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(1)では$\tri{ABC}$の外心つまり外接円の中心を求めることになるわけですね.

$\ang{BAC}=\dfrac{\pi}{3}$より,例えば$\mrm{A}(\sqrt{3},1)$となることがあります.

このとき,$\tri{ABC}$は$\ang{C}=90^\circ$の直角三角形であり,辺ABの中点は原点$(0,0)$に一致するので,$\tri{ABC}$の外心は原点$(0,0)$となります.

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このように$\mrm{A}(\sqrt{3},1)$の場合にはすぐに分かりますが,他の場合にどうなっているかを考える必要がありますね.

(2)は辺BCが$x$軸に平行であることから,垂心の$x$座標は点Aの$x$座標に一致しますね.

よって,あとは頂点Bまたは頂点Cを通り対辺に垂直な直線を考えれば,$\tri{ABC}$の垂心が得られますね.

のちの補足で説明するように,あることに気付けば(2)の答えは簡単に求まります.

考え方

まずは基本に忠実に解きましょう.

角度が一定

角度が一定であるときに考えたいのが円周角の定理(とその逆)です.

本問では2点B, Cが決まっていて,$\ang{BAC}=\dfrac{\pi}{3}$が固定されているので,円周角の定理の逆から点Aはある円の周上を動くことになります.

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このことから,点Aを動かしても3点A, B, Cを通る円は動きません.つまり,$\tri{ABC}$の外接円は点Aの位置によって変化しません.

よって,$\mrm{A}(\sqrt{3},1)$の場合に$\tri{ABC}$の外心は原点$(0,0)$となったことを思い出すと,点Aがどこにあっても$\tri{ABC}$の外心は原点$(0,0)$ということになりますね.

答案では,先にこの外接円を用意してから,外接円になることを示す方が書きやすいでしょう.

(邪道ですがメタ的に考えるなら,点Aが動いて外心も動くなら点Aの座標などによって外心を表すことになりそうですが,問題では点Aの位置を表す情報が与えられていないので「点Aを動かしても外心は動かないのではないか」と推理することもできます.)

軌跡

(2)の軌跡も「垂心の座標を$(X,Y)$とおいて$X$と$Y$の関係式を求める」という基本に忠実な考え方で解けます.

ただし,奇跡で重要なことは「軌跡は動かないところは除外して答えなければならない」というところです.

ただ$X$と$Y$の関係式を求めるだけではなく,その関係式を満たす点$(X,Y)$が確かに垂心になっていなければなりません.

つまり,本問の「垂心の軌跡を求めよ」とは,「点$(X,Y)$が垂心であるための必要十分条件を求めよ」ということであることに注意してください.

具体的には,本問では$Y=\sqrt{4-X^2}-2$という関係式が得られますが,これは$-2$を移項して2乗して得られる$(Y+2)^2=4-X^2$と必要十分ではありません.

正しくは$Y=\sqrt{4-X^2}-2$は「$(Y+2)^2=4-X^2$かつ$Y\geqq-2$」と必要十分です.

もし$Y\geqq-2$がなければ$(Y+2)^2=4-X^2$からは$Y=\pm\sqrt{4-X^2}-2$とマイナスの方の式も得られてしまうからですね.

このように,軌跡の問題では最終的な答えが必要十分性であるかを確認することはとても大切です.

解答例

以下,解答例です.

(1) 原点$(0,0)$中心,半径$2$の円を$D$とする:$D:x^2+y^2=4$.

$(x,y)=(\pm\sqrt{3},-1)$は円$D$の方程式を満たすから,2点B, Cは円$D$上に存在する.

また,点Xを$(\sqrt{3},1)$とすると,同様に点Xは円$D$上に存在する.

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このとき,$\mrm{BC}:\mrm{CX}=2\sqrt{3}:2=\sqrt{3}:1$かつ$\ang{BCX}=\dfrac{\pi}{2}$なので,$\ang{BXC}=\dfrac{\pi}{3}$である.

よって,弦BCに関する円周角の定理とその逆より点Aは円$D$の周上に存在するから,円$D$は$\tri{ABC}$の外接円なので,$\tri{ABC}$の外心は円$D$の中心$(0,0)$である.

(2) $\tri{ABC}$の垂心を$\mrm{H}(X,Y)$とおく.(1)より点Aの座標は$(a,\sqrt{4-a^2})$ ($-2<a<2$)と表せる.

辺BCは$x$軸に平行だから,垂心Hの$x$座標は点Aの$x$座標に一致するから$X=a$である.

$\Ve{AC}=\pmat{\sqrt{3}-a\\-1-\sqrt{4-a^2}}$だから,ベクトル$\pmat{1+\sqrt{4-a^2}\\\sqrt{3}-a}$は辺ACに垂直なので

\begin{align*} \Ve{OH}=\Ve{OB}+k\pmat{1+\sqrt{4-a^2}\\\sqrt{3}-a} \end{align*}

なる実数$k$が存在する.この等式の$x$成分から

\begin{align*} a=-\sqrt{3}+k(1+\sqrt{4-a^2}) \iff k=\frac{a+\sqrt{3}}{1+\sqrt{4-a^2}} \end{align*}

である.また,$y$成分から

\begin{align*} Y=&-1+\frac{a+\sqrt{3}}{1+\sqrt{4-a^2}}\cdot(\sqrt{3}-a) \\=&-1+\frac{3-a^2}{1+\sqrt{4-a^2}} \\=&-1+\frac{(3-a^2)(\sqrt{4-a^2}-1)}{(\sqrt{4-a^2}+1)(\sqrt{4-a^2}-1)} \\=&-1+\frac{(3-a^2)(\sqrt{4-a^2}-1)}{(4-a^2)-1} \\=&-1+(\sqrt{4-a^2}-1) \\=&\sqrt{4-a^2}-2 \end{align*}

である.よって,$-2<a<2$と併せると$-2<Y$であり

\begin{align*} X^2+(Y+2)^2=4 \end{align*}

である.以上より,Hは中心$(0,-2)$,半径$2$の上半円$x^2+(y+2)^2=4$ ($-2<y$)上を動く.

逆に,この曲線上の任意の点に対して今の議論を辿ることができ,$\tri{ABC}$の垂心となることが分かるから,この上半円が求めるHの軌跡である.

(2)はほぼ計算なく解ける

なお,先ほども書いたように,(2)の答えが円の一部であることはほとんど計算なしに分かります.

まず垂心Hは$\tri{ABC}$の内部にあるとし,各頂点B, Cから対辺に下ろした垂線の足をB’, C’とします.

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このとき,四角形AC’HB’の内角の和が$180^\circ$であることから

\begin{align*} \ang{BHC} =&\ang{B'HC'} \\=&180^\circ-90^\circ-90^\circ-60^\circ \\=&120^\circ \end{align*}

なので,Hの位置が変わっても$\ang{BHC}$は変わりません.よって,円周角の定理とその逆よりHはある円周上に存在します.

また円周角の定理より$\ang{BOC}=2\ang{BAC}=120^\circ$なのでHは原点Oを通り,Hは$\tri{OBC}$の外接円上を動くことが分かります.

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この$\tri{OBC}$の外接円が中心$(0,-2)$,半径$2$の円$x^2+(y+2)^2=4$であることは,2つの円が$y=-1$に関して対称であることからすぐに分かりますね.

また,垂心Hが$\tri{ABC}$の周または外部に存在するときも同様にHが$\tri{OBC}$の周上を動くことも(ちゃんと考えれば)分かります.

さらに,点Aが端点$(0,2)$に近付くと垂心Hは$(2,-2)$に近付き,端点$(0,-2)$に近付くと垂心Hは$(-2,-2)$に近付くので,結局Hは$x^2+(y+2)^2=4$の$-2<y$の部分を動くことが分かります.

しかし,答案できっちり書くには場合分けや書き方が面倒なので,時間があれば上の解答のように書くのが無難でしょう.

最後までありがとうございました!

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