ひねられても応用できる数学の勉強法4|数学は暗記か?

「数学は暗記」と言う人がいます.一方で「数学は理解したら覚える必要はない」と言う人もいます.

これはどちらも正しいのですが,どちらも言葉足らずです.というのは,

  • 数学の問題を単に暗記するだけでも
  • 暗記なくしても

数学ができるようにはならないからです.

この記事では,「数学は暗記」の意味を考えて,数学を解くための応用力を養う勉強法を考えます.

数学で暗記するべきこと

過去問を解いていたA君は「数学は暗記するといいよ」と聞いて「そうか!暗記すればいいのか!」とその過去問を丸暗記したとします.

過去問でなくても構いません.問題集であったのなら,A君は問題集の問題を暗記していくでしょう.

しかし,実際の入試では類題が出ることはあるかもしれませんが,同じ問題はまず出ません.

ですから,問題を暗記しても労力の割には効果が薄く,実際の入試で未知の問題が出題されるとその時点でジ・エンドです.

そして,「基本問題は解けるのに応用できない」という理由がここにある場合も多いのです.

「数学は暗記」は「問題自体を暗記せよ」という意味ではなく,「定石を暗記せよ」という意味なのです.

証明問題では,[結論]からさかのぼって考える「逆算」が有効であることはこの一連の記事で書いている通りです.

その[結論]→B→C→……→[仮定]と条件の形が変わっていくわけですが,その「条件の形を変える」ために必要なものが「定石」です.

例えば,前回の記事では

  • 等式$A=B$の証明は$A-B=0$を示す
  • $pqr=0$が成り立つならば$p$, $q$, $r$の少なくとも1つは0である
  • 文字の数は少ない方が見やすくなることが多い

といったものを「定石(セオリー)」として扱いました.

これらは確かにどのように式変形するとうまくいくのか,という指針になる考え方ですね.

このように,「条件の形を変える」ことができる「定石(セオリー)」を覚えることが大切なわけです.

「数学は暗記」とは問題を丸暗記することではなく,「よく使われる定石(セオリー)を身につけよう」ということである.

暗記したものをどう使うか

そもそも応用問題とは何でしょうか?

応用問題は基本問題より複雑な構造になっていますが,ただそれだけです.

応用問題のベースにあるのはあくまで基本問題であり,新しい理論や考え方は必要ありません.むしろ,新しい理論や考え方が必要な問題は,入試では解けなくても構いません.

「応用問題」はあくまで「基本問題の応用」ということを肝に銘じておいてください.

そうなれば,基本問題でも応用問題でもやることは同じなのです.ちょっと構造が複雑になって見づらくなっているだけで根本的な考え方は同じなのです.

応用問題の考え方は基本問題から「定石(セオリー)」を経由するイメージで,「定石(セオリー)」が身についていれば応用問題は基本問題と同じように解けるわけです.

セオリー2

この考えをしっかり持っていると,基本問題を疎かにしたまま入試の応用問題を解こうとするのが無茶なことが納得できるでしょう.

問題集の問題を1問1問解いて「定石(セオリー)」を身につけないのは,基本問題と応用問題の距離が遠い状況をイメージすれば分かりやすいでしょう.

セオリー1

ですが,基本問題から定石(セオリー)を抽出できれば,応用問題の複雑な構造にも惑わされずに,その定石(セオリー)を使える部分が分かるようになるわけです.

いくつかの問題から「共通するポイント」を見つけるわけですね.

これができれば,同じ「共通するポイント」がある問題は見たことがなくても解けるようになります.

私が一連の記事で書いている「『その問題がなぜ解けたのか』を見つけることができれば,同じ『なぜ』が使える問題は解けるようになる」というのは「セオリーを身に付けよう」という意味だったわけです.

証明問題のほとんどは,「Aを言うにはBを示せばいい.Bを言うにはCを示せばいい.Cを言うには……」と続けていけば解けると書きました.

この「AからB,BからC,Cから……」と繋いでいく力はまさに「定石(セオリー)」に他なりません.

「定石(セオリー)」を覚えなければ基本問題だけでなく,応用問題も覚える羽目になってしまいます.

「数学は暗記」といっても,問題の暗記ではいけないことが分かりますね.

応用問題は構造複雑になっているだけで,本質的には基本問題と変わらないことが多い.いくつかの基本問題に共通するセオリーを抽出することができれば,それを応用問題に応用することができる.

最後までありがとうございました!

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コメント

  1. たかよし より:

    一連の記事、大変勉強になりました。
    私は中学時代から数学に苦手意識を持つようになり、大学は数学の必要がない文系を選択しました。
    それから時間が経ちましたが、数学に対する憧れ、興味、自分は数学から逃げたのではという罪悪感などのないまぜになったなんとも言えない感情を解消するために、学び直しを行いました。
    一度挫折し、最近になって再度取り組み始めた際、数学の論証の構築の思考プロセスの中には、多くの教師、参考書などが直接的に語っていないものがあることに気づきました。
    そしてそこを体得できていないことが、私が数学が苦手になってしまった根本的な原因だったのではと考えました。
    ネット上で参考になる記事はないかと探したところ、こちらのページにたどり着きました。
    非常に明快で、大変助かりました。
    一連の記事を念頭に置きながら、数学の学び直しを楽しく進めることができそうです。
    ありがとうございました。

    • 山本 拓人 より:

      私は社会人向けの数学教室でも数学を教えおり,そこでは
      「学生の頃は点数を取るために定義や公式を上辺だけで触っていたが,大人になって数学を学び直すと数学そのものというより,数学の本質が見えてくる」
      と仰る生徒さんによく出会います.
      たかよし様もそういった数学の「背景」の存在に気付いて,このページへお越しになったのではないかと思います.

      お気付きになられているように,数学は「やりたいこと」が先にあるのであって,数式が先にあるのではありません.
      「やりたいこと」は「直感」と言ってもよいですね.
      数学は直感が大切な学問で,直感を表現するために数式を使うだけのことです.
      このことが腑に落ちるようになれば数学の本質が見え,どんどん楽しくなっていくと思います.

      とても嬉しい感想を頂きました.
      これからもぜひ数学を楽しんでください.

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