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三角関数8|Asinθ+Bcosθの形は三角関数の合成!

前回の記事で三角関数の加法定理について説明しました.

さて,三角関数の加法定理を用いることで,A\sin{\theta}+B\cos{\theta}の形の式は

  • C\sin{(\theta+\alpha)}
  • C\cos{(\theta-\alpha)}

のように,1つの三角関数にまとめて表すことができます.

このように,A\sin{\theta}+B\cos{\theta}の形の式を1つの三角関数をまとめて表すことを[三角関数の合成]といいます.

多くの人は「三角関数の合成」と聞くと,C\sin{(\theta+\alpha)}\sinでまとめる方を思い浮かべますが,C\cos{(\theta+\alpha)}でまとめないと解けない問題もありますから,両方ともできるようになってください.

といっても,考え方はどちらも同じなので,単に丸覚えするのではなく考え方から身に付けてください.

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三角関数の合成

最初に[三角関数の合成]の公式を説明し,続いて考え方を説明します.

公式

以下の式変形を[三角関数の合成]といいます.

[三角関数の合成] 任意の実数A, B, \thetaに対して,次が成り立つ.

\begin{align*} A\sin{\theta}+B\cos{\theta}=C\sin{(\theta+\alpha)} \end{align*}

ただし,C=\sqrt{A^2+B^2}であり,\alpha0\le\alpha<2\pi, \sin{\alpha}=\dfrac{B}{C}, \cos{\alpha}=\dfrac{A}{C}を満たす実数である.

この公式は覚えるものではなく,考え方を理解して使うものです.実際,私は考え方から瞬時に導けるので,この公式を覚えていません.

このように,公式として覚えようとすると複雑ですが,考え方さえ分かっていれば当たり前に成り立つことが分かります.

特別な場合の考え方

まずはA^2+B^2=1が成り立つ場合について考えましょう.

もしもA^2+B^2=1であれば,xy平面上の点(A,B)は原点からの距離が1なので,単位円周上に存在することになります.

このときの点(A,B)x軸正方向からの偏角を\alphaとすると,三角関数の定義からA=\cos{\alpha}, B=\sin{\alpha}とおくことができます.

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よって,三角関数の加法定理より

\begin{align*} \sin{\theta}\cos{\alpha}+\sin{\alpha}\cos{\theta}=\sin{(\theta+\alpha)} \end{align*}

だから,

\begin{align*} &A\sin{\theta}+B\cos{\theta} \\=&\cos{\alpha}\sin{\theta}+\sin{\alpha}\cos{\theta} \\=&\sin{(\theta+\alpha)} \end{align*}

が成り立ちます.

よって,A^2+B^2=1の場合には,C=\sqrt{A^2+B^2}=1なので,確かに[三角関数の合成]が成り立っていることが分かりましたね.

証明

さて,A^2+B^2=1が成り立たない場合には,点(A,B)が単位円周上に存在しないので,A=\cos{\alpha}, B=\sin{\alpha}とおくことができません.

しかし,同様の考え方から[三角関数の合成]を導くことができます.

xy平面上の点(A,B)は原点からの距離は\sqrt{A^2+B^2}なので,原点中心,半径\sqrt{A^2+B^2}の円周上に存在することになります.

ここで,C=\sqrt{A^2+B^2}とおきましょう.

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よって,(A,B)を原点中心にC倍縮めた点\bra{\frac{A}{C},\frac{B}{C}}は単位円周上に存在しますね.

このときの点\bra{\frac{A}{C},\frac{B}{C}}x軸正方向からの偏角を\alphaとすると,三角関数の定義から\frac{A}{C}=\cos{\alpha}, \frac{B}{C}=\sin{\alpha}とおくことができます.

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よって,三角関数の加法定理より

\begin{align*} &A\sin{\theta}+B\cos{\theta} \\=&C\bra{\frac{A}{C}\sin{\theta}+\frac{B}{C}\cos{\theta}} \\=&C(\cos{\alpha}\sin{\theta}+\sin{\alpha}\cos{\theta}) \\=&C\sin{(\theta+\alpha)} \end{align*}

が成り立ちます.

これで[三角関数の合成]が成り立つことが示されました.

つまり,(A,B)が単位円上になければ,(A,B)が単位円上にくるように拡大縮小すればいい,というわけですね.

(A,B)の原点からの距離は\sqrt{A^2+B^2}だから,点\bra{\frac{A}{\sqrt{A^2+B^2}},\frac{B}{\sqrt{A^2+B^2}}}は単位円上に存在し,\frac{A}{\sqrt{A^2+B^2}}=\cos{\alpha}, \frac{B}{\sqrt{A^2+B^2}}=\sin{\alpha}とおける.これにより,加法定理から三角関数の合成ができる.

三角関数の合成の例

それでは,三角関数の合成の例を考えます.

三角関数の合成はA\sin{\theta}+B\cos{\theta}の形の場合にのみ使えることに注意してください.

いずれも公式に当てはめるのではなく,考え方から導いています.

慣れればこれでも十分速いですし,何より暗記ミスによる間違いがおきません.

例1

-\sin{\theta}+\cos{\theta}C\sin{(\theta+\alpha)}の形に合成しましょう.

座標上の点(-1,1)(-1)^2+1^2=\sqrt{2}より原点との距離が\sqrt{2}なので,\bra{-\dfrac{1}{\sqrt{2}},\dfrac{1}{\sqrt{2}}}が単位円周上に存在します.

よって,-\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\cos{\alpha}, \dfrac{1}{\sqrt{2}}=\sin{\alpha} (0\le<\alpha\le2\pi)とおくことができるので,

\begin{align*} &-\sin{\theta}+\cos{\theta} \\=&\sqrt{2}\bra{-\frac{1}{\sqrt{2}}\sin{\theta}+\frac{1}{\sqrt{2}}\sin{\theta}} \\=&\sqrt{2}\bra{\cos{\alpha}\sin{\theta}+\sin{\alpha}\sin{\theta}} \\=&\sqrt{2}\sin{(\theta+\alpha)} \end{align*}

となります.いま,-\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\cos{\alpha}, \dfrac{1}{\sqrt{2}}=\sin{\alpha}を満たす\alpha\alpha=\dfrac{3\pi}{4}と具体的に分かるので,

\begin{align*} -\sin{\theta}+\cos{\theta}=\sqrt{2}\sin{\bra{\theta+\frac{3\pi}{4}}} \end{align*}

となりますね.

たまたま\alphaが有名角で分かりましたが,係数が綺麗でない場合には分からないことも多いです.

しかし,この例のように\alphaの値が分かる場合には,実際に\alphaを求めた方が良いでしょう.

例2

3\sin{\theta}+4\cos{\theta}C\sin{(\theta+\alpha)}の形に合成しましょう.

座標上の点(3,4)3^2+4^2=5より原点との距離が5なので,\bra{\dfrac{3}{5},\dfrac{4}{5}}が単位円周上に存在します.

よって,\dfrac{3}{5}=\cos{\alpha}, \dfrac{4}{5}=\sin{\alpha} (0\le<\alpha\le2\pi)とおくことができるので,

\begin{align*} &3\sin{\theta}+4\cos{\theta} \\=&5\bra{\frac{3}{5}\sin{\theta}+\frac{4}{5}\cos{\theta}} \\=&5\bra{\cos{\alpha}\sin{\theta}+\sin{\alpha}\cos{\theta}} \\=&5\sin{(\theta+\alpha)} \end{align*}

となります.

\sqrt{A^2+B^2}でくくることによって,\sin{\alpha}, \cos{\alpha}に置き換えることができる.

三角関数の合成の別パターン

上ではC\sin{(\theta+\alpha)}の形への合成を考えましたが,同様に考えることでC\sin{(\theta+\alpha)}の形への合成も成り立つことが分かります.

三角関数の合成

以下の式変形も[三角関数の合成]といいます.

[三角関数の合成] 任意の実数A, B, \thetaに対して,次が成り立つ.

\begin{align*} A\sin{\theta}+B\cos{\theta}=C\cos{(\theta-\alpha)} \end{align*}

ただし,C=\sqrt{A^2+B^2}であり,\alpha0\le\alpha<2\pi, \sin{\alpha}=\dfrac{A}{C}, \cos{\alpha}=\dfrac{B}{C}を満たす実数である.

C\sin{(\theta+\alpha)}の形への合成を考えたい場合には,加法定理

\begin{align*} \sin{\theta}\cos{\alpha}+\sin{\alpha}\cos{\theta}=\sin{(\theta+\alpha)} \end{align*}

を使うので,A\sin{\theta}+B\cos{\theta}について,A\cos{\alpha}で表し,B\sin{\alpha}で表すのが良かったのでした.

一方,C\sin{(\theta+\alpha)}の形への合成を考えたい場合には,加法定理

\begin{align*} \cos{\alpha}\cos{\theta}+\sin{\theta}\sin{\alpha}=\cos{(\theta-\alpha)} \end{align*}

を使うことになるので,A\sin{\theta}+B\cos{\theta}について,A\sin{\alpha}で表し,B\cos{\alpha}で表すと良さそうですね.

実際,C=\sqrt{A^2+B^2}, \dfrac{A}{C}=\sin{\alpha}, \dfrac{B}{C}=\cos{\alpha}とすると

\begin{align*} &A\sin{\theta}+B\cos{\theta} \\=&C\bra{\frac{A}{C}\sin{\theta}+\frac{B}{C}\cos{\theta}} \\=&C(\sin{\alpha}\sin{\theta}+\cos{\alpha}\cos{\theta}) \\=&C\cos{(\theta-\alpha)} \end{align*}

となって,確かにC\cos{(\theta-\alpha)}へ合成できることが分かりました.

それでは,C\cos{(\theta+\alpha)}への合成で扱った2つの例で,C\cos{(\theta-\alpha)}へも合成してみましょう.

例1

-\sin{\theta}+\cos{\theta}C\cos{(\theta-\alpha)}の形に合成しましょう.

座標上の点(1,-1)1^2+(-1)^2=\sqrt{2}より原点との距離が\sqrt{2}なので,\bra{\dfrac{1}{\sqrt{2}},-\dfrac{1}{\sqrt{2}}}が単位円周上に存在します.

よって,\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\cos{\alpha}, -\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\sin{\alpha} (0\le<\alpha\le2\pi)とおくことができ,このとき\alpha=\dfrac{7\pi}{4}なので,

\begin{align*} &-\sin{\theta}+\cos{\theta} \\=&\sqrt{2}\bra{-\frac{1}{\sqrt{2}}\sin{\theta}+\frac{1}{\sqrt{2}}\sin{\theta}} \\=&\sqrt{2}\bra{\sin{\dfrac{7\pi}{4}}\sin{\theta}+\cos{\dfrac{7\pi}{4}}\sin{\theta}} \\=&\sqrt{2}\bra{\sin{\dfrac{7\pi}{4}}\sin{\theta}+\cos{\dfrac{7\pi}{4}}\sin{\theta}} \\=&\sqrt{2}\cos{\bra{\theta-\dfrac{7\pi}{4}}} \end{align*}

となります.

例2

3\sin{\theta}+4\cos{\theta}C\cos{(\theta-\alpha)}の形に合成しましょう.

座標上の点(4,3)4^2+3^2=5より原点との距離が5なので,\bra{\dfrac{4}{5},\dfrac{3}{5}}が単位円周上に存在します.

よって,\dfrac{4}{5}=\cos{\alpha}, \dfrac{3}{5}=\sin{\alpha} (0\le<\alpha\le2\pi)とおくことができるので,

\begin{align*} &3\sin{\theta}+4\cos{\theta} \\=&5\bra{\frac{3}{5}\sin{\theta}+\frac{4}{5}\cos{\theta}} \\=&5\bra{\sin{\alpha}\sin{\theta}+\cos{\alpha}\cos{\theta}} \\=&5\cos{(\theta-\alpha)} \end{align*}

となります.

C\cos{(\theta-\alpha)}の形に合成するときは,\cos{\theta}\cos{\alpha}+\sin{\theta}\sin{\alpha}の形が現れるように,\sin{\alpha}, \cos{\alpha}をおけばよい.

三角関数の合成でできること

それでは最後に,三角関数の合成によってどういうことができるのかを例を挙げて説明します.

値域が求まる

\thetaが実数全体を動くとき,f(\theta)=2\sin{\theta}+3\cos{\theta}のとりうる値の範囲を求めましょう.

\begin{align*} \bra{\frac{2}{\sqrt{13}}}^2+\bra{\frac{3}{\sqrt{13}}}^2 =\frac{4}{13}+\frac{9}{13} =1 \end{align*}

なので,\dfrac{2}{\sqrt{13}}=\cos{\alpha}, \dfrac{3}{\sqrt{13}}=\sin{\alpha}とおけるから,f(\theta)

\begin{align*} f(\theta) =&\sqrt{13}\bra{\frac{2}{\sqrt{13}}\sin{\theta}+\frac{3}{\sqrt{13}}\cos{\theta}} \\=&\sqrt{13}\bra{\cos{\alpha}\sin{\theta}+\sin{\alpha}\cos{\theta}} \\=&\sqrt{13}\sin{(\theta+\alpha)} \end{align*}

と合成できます.

\thetaは実数全体を動くので,\theta+\alphaも実数全体を動き,\sin{(\theta+\alpha)}-1から1を連続的に往復しますね.

よって,\sin{(\theta+\alpha)}のとりうる値の範囲は-1\le\sin{(\theta+\alpha)}\le1だから,f(\theta)のとりうる値の範囲は

\begin{align*} -\sqrt{13}\le f(\theta)\le\sqrt{13} \end{align*}

となります.

方程式を解く

\thetaの方程式\sin{\theta}-\sqrt{3}\cos{\theta}=-1 (0\le\theta<2\pi)を解きましょう.

左辺は

\begin{align*} &\sin{\theta}-\sqrt{3}\cos{\theta} \\=&2\bra{\frac{1}{2}\sin{\theta}-\frac{\sqrt{3}}{2}\cos{\theta}} \\=&2\bra{\cos{\frac{\pi}{3}}\sin{\theta}-\sin{\frac{\pi}{3}}\cos{\theta}} \\=&2\sin{\bra{\theta-\frac{\pi}{3}}} \end{align*}

と合成できるので,方程式は

\begin{align*} &\sin{\theta}-\sqrt{3}\cos{\theta}=-1 \\\iff&2\sin{\bra{\theta-\frac{\pi}{3}}}=-1 \\\iff&\sin{\bra{\theta-\frac{\pi}{3}}}=-\frac{1}{2} \end{align*}

となります.ここで,A=\theta-\dfrac{\pi}{3}とおくと,方程式は

\begin{align*} \sin{\bra{\theta-\frac{\pi}{3}}}=-\frac{1}{2} \end{align*}

となり,0\le\theta<2\piからAのとりうる値の範囲は-\dfrac{\pi}{3}\le A<\dfrac{5\pi}{3}となります.

これを解くとA=-\dfrac{\pi}{6},\dfrac{7\pi}{6}なので,\theta=A+\dfrac{\pi}{3}から求める解は\theta=\dfrac{\pi}{6},\dfrac{3\pi}{2}となります.

三角関数を含んだ基本的な方程式の解法は以下の記事を参照してください.

三角関数の合成を用いることで,A\sin{\theta}+B\cos{\theta}の形の関数の値の範囲を求めたり,A\sin{\theta}+B\cos{\theta}=Cの形の方程式を解くことができる.

最後まで読んで下さってありがとうございました!

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