$xy$平面上の単位円周上の点Pの偏角が$\theta$であるとき,点Pの$x$座標を$\cos{\theta}$,点Pの$y$座標を$\sin{\theta}$と定義するのでした.
さらに,単位円の点$(1,0)$での接線と直線OPの交点の$y$座標が$\tan{\theta}$となるのでした.
前回の記事では,単位円上の点が1周する間に,三角関数$\sin{\theta}$, $\cos{\theta}$, $\tan{\theta}$がどのように増減するのかを考えました.
このそれぞれの三角関数の増減が理解できていれば,
- $\sin{\theta}$のグラフ
- $\cos{\theta}$のグラフ
- $\tan{\theta}$のグラフ
を描くことができます.
一連の記事はこちら
【三角関数1|三角関数/三角比の違いは?三角関数を定義しよう!】
【三角関数2|偏角の変換公式は覚えるな!簡単に導く方法!】
【三角関数3|「ラジアン」の考え方,公式はシンプル!】
【三角関数4|有名角の三角関数は覚えるな!図で判断するコツ】
【三角関数5|三角関数のグラフは縦や横から見るべし!】←今の記事
【三角関数6|三角関数の方程式や不等式は,点をグルグル回せ!】
【三角関数7|三角関数の加法定理の周辺を総まとめ】
【三角関数8|Asinθ+Bcosθの形は三角関数の合成!】
sin(θ)のグラフ
$xy$平面上の単位円周上の点Pの偏角が$\theta$であるとき,点Pの$y$座標を$\sin{\theta}$と定義するのでした.
前回の記事でも見たように,$\sin{\theta}$は$0\leqq\theta\leqq2\pi$の範囲で以下のように増減するのでした.
$\theta$ | 0 | $\dots$ | $\dfrac{\pi}{2}$ | $\dots$ | $\dfrac{3\pi}{2}$ | $\dots$ | $2\pi$ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
$\sin{\theta}$ | 0 | $\nearrow$ | 1 | $\searrow$ | $-1$ | $\nearrow$ | 0 |
このことから,$\theta$の関数$y=\sin{\theta}$のグラフは以下のようにプロットできます.
[1] $\theta=\dfrac{\pi}{6}$のとき
[2] $\theta=\dfrac{\pi}{4}$のとき
[3] $\theta=\dfrac{\pi}{3}$のとき
[4] $\theta=\dfrac{\pi}{2}$のとき
[5] $\theta=\dfrac{2\pi}{3}$のとき
[6] $\theta=\dfrac{3\pi}{4}$のとき
このように点Pを単位円上で動かすと,$\sin{\theta}$のグラフが以下のように描けることが分かります.
グラフを見ても,上の表で見たのと同様に
- $0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2}$で単調増加
- $\dfrac{\pi}{2}\leqq\theta\leqq\dfrac{3\pi}{2}$で単調減少
- $\dfrac{3\pi}{2}\leqq\theta\leqq2\pi$で単調増加
となっていることを確認してください.
cos(θ)のグラフ
$xy$平面上の単位円周上の点Pの偏角が$\theta$であるとき,点Pの$x$座標を$\cos{\theta}$と定義するのでした.
前回の記事でも見たように,$\cos{\theta}$は$0\leqq\theta\leqq2\pi$の範囲で以下のように増減するのでした.
$\theta$ | 0 | $\dots$ | $\pi$ | $\dots$ | $2\pi$ |
---|---|---|---|---|---|
$\cos{\theta}$ | 1 | $\searrow$ | $-1$ | $\nearrow$ | 1 |
このことから,$\sin{\theta}$の場合と同様に,$\theta$の関数$\cos{\theta}$のグラフは以下のようにプロットできます.
[1] $\theta=\dfrac{\pi}{6}$のとき
[2] $\theta=\dfrac{\pi}{4}$のとき
[3] $\theta=\dfrac{\pi}{3}$のとき
[4] $\theta=\dfrac{\pi}{2}$のとき
[5] $\theta=\dfrac{2\pi}{3}$のとき
[6] $\theta=\dfrac{3\pi}{4}$のとき
このように点Pを単位円上で動かすと,$y=\cos{\theta}$のグラフが以下のように描けることが分かります.
グラフを見ても,上の表で見た通り
- $0\leqq\theta\leqq\pi$で単調減少
- $\pi\leqq\theta\leqq2\pi$で単調増加
となっていることを確認してください.
tan(θ)のグラフ
$xy$平面上の単位円周上の点Pの偏角が$\theta$であるとき,単位円の点$(1,0)$での接線と直線OPの交点の$y$座標が$\tan{\theta}$となるのでした.
前回の記事でも見たように,$\tan{\theta}$は$0\leqq\theta\leqq2\pi$の範囲で以下のように増減するのでした.
$\theta$ | 0 | $\dots$ | $\dfrac{\pi}{2}$ | $\dots$ | $\dfrac{3\pi}{2}$ | $\dots$ | $2\pi$ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
$\sin{\theta}$ | 0 | $\nearrow$ | × | $\nearrow$ | × | $\nearrow$ | 0 |
このことから,$\sin{\theta}$や$\cos{\theta}$の場合と同様に,$\tan{\theta}$のグラフは以下のようにプロットできます.
[1] $\theta=\dfrac{\pi}{6}$のとき
[2] $\theta=\dfrac{\pi}{4}$のとき
[3] $\theta=\dfrac{\pi}{3}$のとき
[4] $\theta=\dfrac{2\pi}{3}$のとき
[5] $\theta=\dfrac{3\pi}{4}$のとき
[6] $\theta=\dfrac{5\pi}{6}$のとき
このように点Pを単位円上で動かすと,$\tan{\theta}$のグラフが以下のように描けることが分かります.
グラフを見ても,上の表で見た通り「常に単調増加」となっていることを確認してください.
ただし,点Pが$y$軸上にあるとき$\tan{\theta}$を定義できず,このため直線$x=\dfrac{\pi}{2}$や直線$x=\dfrac{3\pi}{2}$など,整数$n$を用いて
で表される直線は漸近線となります.
【次の記事:三角関数6|三角関数の方程式や不等式は,点をグルグル回せ!】
三角関数が絡む基本的な方程式や不等式
- $\sin{\theta}=\dfrac{1}{2}$ ($0<\theta\leqq2\pi$)
- $\cos{\theta}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$ ($-\pi<\theta<\pi$)
- $\tan{\bra{\theta-\dfrac{3\pi}{4}}}>-\sqrt{3}$ ($0<\theta<\pi$)
などは単位円上に点$(\cos{\theta},\sin{\theta})$を回して考えることで解くことができます.