「勉強しているのに伸びない」という悩みを持つ人は多いようです.その原因は次の3つが多くを占めます.
- 勉強の方法を知らないために効率が悪い
- 自分を把握していない
- 反復が足りない
これらが原因だと分かっても,すぐに直せるようなものではありませんが,原因を知っているのと知っていないのとでは大きく違います.
この記事を読んだ上で,自分の考えはマズイのか,マズイならどう変えるべきか考えてみてください.
勉強の効率が悪い
いきなりですが,あなたは「勉強の仕方」を教えてもらったことはあるでしょうか?
私はほとんどありません.
量より質?質より量?
「ここからここまでの単語を覚えなさい」「この分野の問題を解いてきなさい」というように言われることはありますが,「どのように」勉強すればいいのかはほとんど言われたことがありません.
しかし,単に「単語を覚え」,「問題を解いく」だけでは,それが身に付かない可能性が高いです.「身につく勉強法」でないと,勉強をしても勉強した分の効果が得られません.
これは勉強だけではないはずです.スポーツでも良いコーチが良いメニューを作り,それに従って良い練習をすればどんどん上達します.「質より量!」とばかりに練習しても,質が悪ければ上達も遅くなります.スポーツなら最悪の場合,怪我をしてしまう場合もあるわけです.
しかし,勉強ではこの感覚がない人が非常に多いのが現状です.「とにかく勉強だ!詰め込み詰め込み!質より量!」という人が非常に多いのです.
誤解の無いように言っておきますが,私は「量」が悪いと言っているのではありません.スポーツの上達のためにも,勉強の実力を上げるためにも「量」はある程度必要です.私が言っているのは,「質」をおろそかにして「量」に走るのが良くないということです.
勉強の仕方
親や教師に「勉強しなさい」と言われることはあっても,「こういう勉強が良いよ」「この勉強は効率が悪い」ということはあまり教えてくれません.
「勉強しろ」というのなら「勉強の仕方」も一緒に教えるのがスジなわけですが,残念ながら多くの親や教師は「勉強の仕方」は教えてくれません.
たとえば,初めて家庭教師に入ったとき,生徒は勉強しているのに成績が良くないことはよくあります.
勉強していないわけではありません.それは見れば分かります.それなのに,「勉強量が足りないから成績が悪い」と平気で生徒のせいにする親がいます(本当に勉強してないこともありますが,それはまた別の話).
ただ,考えれば「勉強量が足りない」という親や教師がいるのは当然といえば当然です.多くの親や教師は「勉強の方法」など考えずに「ただ勉強すればいい」と信じて勉強してきた人が多いからです.
そして,そのような親や教師は私たちに「量」の勉強をするように教えます.
しかし,それで成績が伸びないと「成績が伸びないのは勉強量が少ないからだ」と生徒を責め,生徒は「自分には才能がないのか……」と落ち込んでしまいます.
しかし,実際にはそういう人の中には「勉強の方法が間違っているために伸びない」というパターンがとても多いのです.良い勉強法をすれば伸びますし,良い勉強法ができていなければ伸びません.
さっきのスポーツの例でも書きましたが,良いコーチがついて良い練習をするチームは強くなりますし,良いコーチがおらず良い練習ができていないチームは強くなりません.
では勉強は?勉強はスポーツと違って効率は関係ないのでしょうか?
そんなことは決してありません.だから,私はこのブログを書いています.
自分を把握していない
1つ引用します.
彼ヲ知リ己レヲ知レバ,百戦シテ殆ウカラズ.
彼ヲ知ラズシテ己レヲ知レバ,一勝一負ス.
彼ヲ知ラズ己レヲ知ラザレバ,戦ウゴトニ必ズ殆ウシ.
「孫子」
これは今から2000年以上前の春秋戦国時代の兵法家「孫武」が「孫子」という兵法書に書いた一節です.
この文章を知っている人も多いのではないかと思いますが,簡単に訳すと,次の通りです.
敵を知って自分を知っていれば,百戦しても負けることはない.敵を知らないが自分を知っている場合には,負けるか勝つか分からない.敵を知らず自分のことも知らなければ,必ず負ける.
「戦いに勝つためには,敵のことも自分のこともよく知らねばならない」というわけですね.これを勉強に活かします.
多くの受験生は過去問を集めて,志望校の入試の傾向を知ろうとします.
これが間違っているとは言いません.なぜなら,これは孫子の言うところの「彼ヲ知リ」に当たるからです.志望校(相手)の情報を集めることは入試においては大変有効です.
しかし,問題は「己レヲ知レバ」です.これができていない人が多いのです.できていても,活かせていない人が多いです.
つまり,「自分はこれが得意でこれが苦手」といった自分のことが分かっていないことが多い.分かっていても,克服しようと動かない,逃げる人が多いのです.
自分の弱さが分かっていなければ,苦手を克服しようがありません.また,分かっていても克服しようとしなければ克服できません.それでは伸びるはずもありません.
「点数を伸ばす」という観点に立てば,できないところの方が伸びしろがあるのですから,できるところよりできないところを重点的に勉強するべきなのは明らかでしょう.
結局,勉強はこの「できないことの克服」に全て集約されていると言っても過言ではありません.初めは皆できません.そこから徐々にできないことを減らしていくのが勉強です.
苦手から逃げてはいけません.
反復が足りない
初めに「勉強の効率が悪い」では「効率の良い勉強をすれば確実に伸びる」と説明しました.しかし,一方でちょっと勉強してすぐに点数が取れるようになるということもあまりありません.
量「も」足りない?
つまり,「量」が足りない場合です.
「え?勉強は『質』なんちゃうの?」
いいえ.上でも書きましたが,「量」もある程度必要です.「量」が足りない,または「質」が足りないというのが問題なのです.
【勉強の効果が出る時期|「実力」と「成績」の差は何か】でも書きましたが,実力がついて自分の脳の知識をちゃんと使えるようになるにはそれなりに時間がかかります.
当たり前の話ですが,1回やったことを忘れずに確実に記憶できる人はほとんどいません.たまに「1度勉強したことをすぐ忘れる」という親がいますが,それは当たり前です.
全ての漢字を1回で覚えられましたか?かけ算の九九を1回で覚えられましたか?二次方程式の解の公式が1回で覚えられましたか?
勉強だけではありません.自転車に1回で乗れましたか?2次方程式の解の公式を1回で覚えられましたか?麻雀の役を1回で覚えられましたか?
人間は忘れるのが得意な生き物
人間は忘れます.「人間は忘れるのが得意な生き物」くらいに思っておいてちょうど良いでしょう.
1回やっただけでは身につかないことが多いのです.今できることは,おそらく何回も,場合によっては何十回,何百回も反復してできるようになったのではないですか?
ですから,「勉強し始めたけど,伸びない!」ということは誰にでもあることで,これは才能がどうこうという話ではありません.単に,実力が付くほどの反復量に達していないだけ,ということもあるのです.
もし,「勉強を初めてすぐに結果が出る」と思っているのなら,それは勉強をなめています.
しかし,単に反復量が足りていないだけなのに,「伸びないからやってもしょうがない」と諦める人が本当に多いのです.いまやっている勉強がすぐに結果に反映されるという意識ならば,それは変える必要があるでしょう.
しかし,そこで腐ってはいけません.
いま勉強ができている人はすぐに結果が出なくても,勉強が結果に結びつくことを信じて目の前の課題をひとつひとつ何度も繰り返してこなしてきた人です.彼らはちょっと勉強してぱっと理解,応用ができるようになったわけではありません.
その意識で今取り組む課題に臨むべきです.
正しい向き合い方で勉強を続ければ,必ず実力は付きます.「継続は力なり」という言葉が身にしみるようになれば,それは正しい勉強に対する態度であると言えます.
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