【SPONSORED LINK】

酸化還元反応4|半反応式から化学反応式をつくる

   
   

酸化還元反応3|酸性条件,中性・塩基性条件】の続きです.

この記事では,酸化剤と還元剤が与えられた時に,この2つの物質によって起こる酸化還元反応の化学反応式がどのようにかけるのかを説明します.

言葉を使って書けば,「酸化剤の半反応式」と「還元剤の半反応式」をうまく足し合わせて,半反応式中の電子\mathrm{e^-}が消すことで,酸化還元反応が得られます.

と言葉で言っても,これは意外とすぐにできるようにならないものです.ですから,必ず自分の手を動かしてアウトプットし,確実に自分のものにして下さい.

【参考記事:「やったのに解けない」をなくす勉強法

【SPONSORED LINK】

電子を式から消去する

「酸化剤の半反応式」と「還元剤の半反応式」には電子\mathrm{e^-}が式の中にあります.が,普通は化学反応式の中に電子\mathrm{e^-}があってはいけません.

酸化剤の半反応式,還元剤の半反応式を使った化学反応式の作り方を例を挙げて説明します.

どちらも結局は電子\mathrm{e^-}を消すことを目標にしていることに注目して読んでください.

電子の係数が等しいとき

熱濃硫酸\mathrm{H_2SO_4}とシュウ酸\mathrm{(COOH)^2}の酸化還元反応を考えます.

熱濃硫酸\mathrm{H_2SO_4}の半反応式は

\mathrm{H_2SO_4 + 2H^{+} + 2e^- \to SO_2 + 2H_2O}……(1)

シュウ酸\mathrm{(COOH)_2}の半反応式は

\mathrm{(COOH)_2 \to 2CO_2 + 2H^{+} + 2e^-}……(2)

です.電子\mathrm{e^-}の係数は(1)も(2)もともに2で等しいので,両辺をそのまま足すと\mathrm{e^-}が消えますね.

\begin{matrix} & \mathrm{H_2SO_4 + 2H^{+} + 2e^-} & \to & \mathrm{SO_2 + 2H_2O}\\ +) & \mathrm{(COOH)_2} & \to & \mathrm{2CO_2 + 2H^{+} + 2e^-}\\ \hline & \mathrm{H_2SO_4 + (COOH)_2} & \to & \mathrm{SO_2 + 2CO_2 + 2H_2O} \end{matrix}

ですから,酸化還元反応式

\mathrm{H_2SO_4 + (COOH)_2 \to SO_2 + 2CO_2 + 2H_2O}

が得られました.

電子の係数が異なるとき

二酸化硫黄\mathrm{SO_2}と硫化水素\mathrm{H_2S}の酸化還元反応を考えます.

二酸化硫黄\mathrm{SO_2}の半反応式は

\mathrm{SO_2 + 4H^{+} + 4e^- \to S + 2H_2O}……(1)

硫化水素\mathrm{H_2S}の半反応式は

\mathrm{H_2S \to S + 2H^{+} + 2e^-}……(2)

です.電子\mathrm{e^-}の係数は(1)は4で(2)は2と異なります.この場合は,連立方程式の消去法の要領で,(1)と(2)の両辺の両辺に2をかけたものを足すと\mathrm{e^-}が消えそうです.

実際に,

\begin{matrix} & \mathrm{SO_2 + 4H^{+} + 4e^-} & \to & \mathrm{S + 2H_2O} & (1)\\ +) & \mathrm{2H_2S} & \to & \mathrm{2S + 4H^{+} + 4e^-} & ((2) \times 2)\\ \hline & \mathrm{SO_2 + 2H_2S} & \to & \mathrm{3S + 2H_2O} & \end{matrix}

よって,酸化還元反応式

\mathrm{SO_2 + 2H_2S \to 3S + 2H_2O}

が得られました.

両辺を足したとき,(1)左辺の水素イオン2\mathrm{H^+}と(2)右辺の水素イオン2\mathrm{H^+}も一緒に消えていることに注意してください.

イオンを式から消去する

上の2つの例では,電子を消去した後の式にはイオンは残りませんでした.

しかし,場合によっては式中にイオンが残る場合があります.

右辺のみにイオンが生じるとき

希硝酸\mathrm{HNO_3}と二酸化硫黄\mathrm{SO_2}の酸化還元反応を考えます.

希硝酸\mathrm{HNO_3}の半反応式は

\mathrm{HNO_3 + 3H^{+} + 3e^-} \to \mathrm{NO + 2H_2O}……(1)

二酸化硫黄\mathrm{SO_2}の半反応式は

\mathrm{SO_2 + 2H_2O} \to \mathrm{{SO_4}^{2-} + 4H^{+} + 2e^-}……(2)

です.電子\mathrm{e^-}の係数は(1)は3で(2)は2と異なりますから,(1)の両辺に2をかけたものと(2)の両辺に3をかけたものを足すと,

\begin{matrix} & 2\mathrm{HNO_3 + 6H^{+} + 6e^-} & \to & \mathrm{2NO + 4H_2O} & ((1) \times 2)\\ +) & \mathrm{3SO_2 + 6H_2O} & \to & \mathrm{3{SO_4}^{2-} + 12H^{+} + 6e^-} & ((2) \times 3)\\ \hline & \mathrm{2HNO_3 + 3SO_2 + 2H_2O} & \to & \mathrm{2NO + 3{SO_4}^{2-} + 6H^+} & \end{matrix}

よって,酸化還元反応式

\mathrm{2HNO_3 + 3SO_2 + 2H_2O \to 2NO + 3{SO_4}^{2-} + 6H^+}

が得られました.

しかし,反応後の右辺には硫酸イオン\mathrm{{SO_4}^{2-}}と水素イオン\mathrm{H^+}が残っています.原則として,化学反応式中にイオンがあってはいけないので,このイオンを消す必要があります.

いま,硫酸イオン\mathrm{{SO_4}^{2-}}1個と水素イオン\mathrm{H^+}2個を合わせて硫酸\mathrm{H_2SO_4}とすることができるので,次のようになって酸化還元反応式が完成です.

\mathrm{2HNO_3 + 3SO_2 + 2H_2O \to 2NO + 3H_2SO_4}

左辺にイオンが生じるとき

この場合は自動的に右辺にもイオンが生じているはずです.

硫酸酸性下での過マンガン酸カリウム\mathrm{KMnO_4}と硫化水素\mathrm{H_2S}の酸化還元反応を考えます.

過マンガン酸カリウム\mathrm{KMnO_4}の半反応式は

\mathrm{{MnO_4}^{-} + 8H^{+} + 5e^- \to Mn^{2+} + 4H_2O}……(1)

硫化水素\mathrm{H_2S}の半反応式は

\mathrm{H_2S \to S + 2H^{+} + 2e^-}……(2)

です.電子\mathrm{e^-}の係数は(1)は5で(2)は2と異なりますから,(1)の両辺に2をかけたものと(2)の両辺に5をかけたものを足すと,

\begin{matrix} & \mathrm{2{MnO_4}^{-} + 16H^{+} + 10e^-} & \to & \mathrm{2Mn^{2+} + 8H_2O} & ((1) \times 2)\\ +) & \mathrm{2H_2S} & \to & \mathrm{5S + 10H^{+} + 10e^-} & ((2) \times 5)\\ \hline & \mathrm{2{MnO_4}^{-} + 5H_2S + 6H^+} & \to & \mathrm{2Mn^{2+} + 5S + 8H_2O} & \end{matrix}

よって,酸化還元反応式

\mathrm{2{MnO_4}^{-} + 5H_2S + 6H^+ \to 2Mn^{2+} + 5S + 8H_2O}

が得られました.

しかし,反応前の左辺には過マンガン酸イオン\mathrm{{MnO_4}^-}と水素イオン\mathrm{H^+}が,反応後の右辺にはマンガン(II)イオン\mathrm{Mn^{2+}}が残っていますから,これらを消さなければなりません.

ここで思い出したいのは,(1)の半反応式は過マンガン酸カリウム\mathrm{KMnO_4}の半反応式でした.ですから,実は溶液中にはカリウムイオン\mathrm{K^+}が存在しているはずです.

そこで,カリウムイオン\mathrm{K^+}1個と過マンガン酸イオン\mathrm{{MnO_4}^-}1個を合わせて過マンガン酸カリウム\mathrm{KMnO_4}とすることができるので,両辺にカリウムイオン\mathrm{K^+}を2個加えれば次のようになります.

\mathrm{2KMnO_4 + 5H_2S + 6H^+ \to 2K^{+} + 2Mn^{2+} + 5S + 8H_2O}

次に思い出したいのは,今は硫酸酸性下での反応だということです.つまり,溶液中には硫酸イオン\mathrm{{SO_4}^{2-}}が存在しています.両辺に硫酸イオン\mathrm{{SO_4}^{2-}}を3個加えれば次のようになって酸化還元反応が完成します.

\mathrm{2KMnO_4 + 5H_2S + 3H_2SO_4 \to K_2SO_4 + 2MnSO_4 + 5S + 8H_2O}

半反応式では直接的に出てこなかった硫酸イオン\mathrm{{SO_4}^{2-}}ですが,反応式ではこのように必要になります.

次の記事【酸化還元反応5|酸化数8つの原則と2つの例外】に続きます.

関連記事

以下,関連記事です.

【良いと思ったらシェアを!】

SNSでもご購読できます。