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古文形容詞の基本|ク活用,シク活用,本活用,補助活用

前の記事「古文動詞の基本2|紛らわしいア行動詞,ワ行動詞の判別」の続きです.

古文において,形容詞は文法的にはそこまで難しいものではなく,問題になるのは「意味」と「活用」です.

このうち,「意味」は古文単語帳などで覚えてください.この記事では,形容詞の「活用」について説明します.

現代語の形容詞の活用は1種類しかありませんが,古文の形容詞の活用には「ク活用」と「シク活用」の2種類があります.しかし,活用を2種類に分けているのは便宜上の理由で,活用が2種類あっても本質的に両者にほとんど違いはありません.

ですから,「ク活用」と「シク活用」は共に大切で活用を覚える必要はありますが,一方を覚えてしまえば他方は比較的簡単に覚えることができます.

また,形容詞の活用では,「ク活用」と「シク活用」のそれぞれに「本活用」と「補助活用」があります.以下でも説明していますが,「補助活用」を用いるのは「命令形を使うとき」と「助動詞が続くとき」で,それ以外は本活用を用いるのが基本です.

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形容詞の特徴

形容詞の特徴は次の通りです.

  1. 物事の状態などを表す.
  2. 活用し,終止形の活用語尾が「し」または「じ」である

1は現代語の形容詞と同じなので説明はよいでしょう.

2は「やすし」,「せんかたなし」,「うつくし」,「すさまじ」のように,終止形が「〜し」や「〜じ」の形になっています.

形容詞の活用の種類

冒頭でも述べたように,形容詞の活用は「ク活用」と「シク活用」の2種類あり,「ク活用」,「シク活用」のそれぞれに「本活用」と「補助活用(カリ活用)」があります.つまり,

  • ク活用
    • 本活用
    • 補助活用(カリ活用)
  • シク活用
    • 本活用
    • 補助活用(カリ活用)

と活用は全部で4つあることになります.ここで,本活用は形容詞独特の活用ですが,補助活用(カリ活用)は「ラ変型(ら/り/り/る/れ/れ)」の活用をすることに注意してください.

また,「補助活用」と「カリ活用」は同じものを指しますが,以降この記事では「補助活用」という言葉を用います.

なお,その形容動詞が「ナリ活用」なのか,「タリ活用」なのかは単語ごとに決まっています.

ク活用

たとえば,形容詞「やすし」,「せむかたなし」はク活用です.これらを例にとると,「本活用」と「補助活用」は次の通りです.

どちらも語幹が異なるだけで,活用語尾は同じです.

本活用

本活用に命令形はありません.

語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
やすし やす けれ ---
せむかたなし せむかたな けれ ---
補助活用

補助活用に終止形,已然形はありません.「ら,り,り,る,れ,れ」の「ラ変型」の活用になっていることに注意すれば覚えやすいでしょう.

語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
やすし やす から かり --- かる --- かれ
せむかたなし せむかたな から かり --- かる --- かれ

シク活用

たとえば,形容詞「うつくし」,「すさまじ」はシク活用です.これらを例にとると,「本活用」と「補助活用」は次の通りです.

どちらも語幹が異なるだけで,活用語尾は同じです.

本活用

本活用に命令形はありません.

語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
うつくし うつく しく しく しき しけれ ---
すさまじ すさま じく じく じき じけれ ---
補助活用

補助活用に終止形,已然形はありません.「ら,り,り,る,れ,れ」の「ラ変型」の活用になっていることに注意すれば覚えやすいでしょう.

語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
うつくし うつく しから しかり --- しかる --- しかれ
すさまじ すさま じから じかり --- じかる --- じかれ

ク活用とシク活用の類似点

たとえば,ク活用形容詞「やすし」とシク活用形容詞「うつくし」を並べて書くと,

語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
やすし やす けれ ---
うつくし うつく しく しく しき しけれ ---

です.「ク活用」も「シク活用」も終止形の活用語尾は同じく「し」で,それ以外は「ク活用」の活用語尾に「し」をつけたものになっています.ですから,終止形以外の「シク活用」では「うつくし」までが語幹になっているようなイメージがあります.

したがって,「ク活用」を覚えてしまえば,「シク活用」はその類似として簡単に覚えることができます.

ク活用とシク活用の判別

それぞれの形容詞が「ク活用」なのか「シク活用」なのかの判別法を説明します.と言っても,判別法というほどのものではないのですが,「ク活用」と「シク活用」では連用形が異なることを利用します.

  1. その形容詞に動詞「なる」を接続させる
  2. 「〜しくなる」となれば「シク活用」,そうでない時「ク活用」

というステップで判別ができます.

連用形というのは,後ろに用言(例えば,動詞)を接続させた時に用いられる活用形です.したがって,動詞「なる」を接続させると,形容詞は連用形になるので,このときの形容詞の形で「ク活用」と「シク活用」を判別できます.

たとえば,

  1. 「なつかし」に動詞「なる」を接続させると「なつかしくなる」となるので「シク活用」
  2. 「すきずきし」に動詞「なる」を接続させると「すきずきしくなる」となるので「シク活用」
  3. 「つらし」に動詞「なる」を接続させると「つらなる」となるので「ク活用」
  4. 「ところせし」に動詞「なる」を接続させると「ところせなる」となるので「ク活用」

というように判別できます.

ただ,「ところせしくなる」ではなく,「ところせくなる」なのか,というのは「そういう単語だから」という説明しかできません.

また,直感的な話になりますが,語感的にも「ところせし」は「ところせくなる」とする方がしっくりきます.

古文には現代文の活用とやや異なるものがあることには注意してください.

本活用と補助活用の使い分け

本活用と補助活用の使い分けですが,「補助活用」を用いるのは

  1. 形容詞を命令形で使いたいとき
  2. 助動詞を接続させるとき

の2通りです.

たとえば,形容詞「はげし」を命令形で使うときには,補助活用の命令形「はげしかれ」を用います.これで「激しくなれ」という訳になります.

また,形容詞「たかし」に助動詞を接続させると,「たからず」,「たかりけり」,「たかしかるべし」などとなります.

それ以外では,本活用を用います.

次の記事「古文形容動詞の基本|ナリ活用,タリ活用」に続きます.

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