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場合の数の基本9|二項係数の性質とパスカルの三角形

  
   

場合の数の基本8|多項定理の考え方と公式】の続きです.

前回の記事では[多項定理]について解説しました.

この記事では,前々回の記事で解説した(a+b)^nの展開公式である[二項定理]に関して,「パスカルの三角形」について解説します.

なお,この「パスカル」は,「人間は考える葦である」で有名なBlaise Pascalのことです.

【参考記事:場合の数の基本7|二項定理の考え方と公式

[二項定理]は単に(a+b)^nがどう展開されるのかということを表す定理です.「パスカルの三角形」は(a+b)^nの展開と(a+b)^{n-1}の間の関係を表すもので,[二項定理]と併せて非常に便利です.

[二項定理]の記事ではせっせと二項係数{}_{n}\mrm{C}_{r}を計算しましたが,「パスカルの三角形」を使えば二項係数{}_{n}\mrm{C}_{r}は簡単に求まります.

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二項係数の性質

まず,「パスカルの三角形」を考えるのに必要な二項係数{}_{n}\mrm{C}_{r}に関する性質をみます.

[二項係数の性質] 二項係数{}_{n}\mrm{C}_{r}について,次の性質が成り立つ.

  1. (n+1){}_{n}\mrm{C}_{r}=(n-r+1){}_{n+1}\mrm{C}_{r}
  2. (n-r){}_{n}\mrm{C}_{r}=(r+1){}_{n}\mrm{C}_{r+1}
  3. {}_{n}\mrm{C}_{r}+{}_{n}\mrm{C}_{r+1}={}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}

[証明]

1.二項係数を階乗で表して,

(n+1){}_{n}\mrm{C}_{r}
=(n+1)\times\f{n!}{(n-r)!r!}
=\f{(n+1)!}{(n-r)!r!}
=(n-r+1)\times\f{(n+1)!}{(n-r+1)!r!}
=(n-r+1){}_{n+1}\mrm{C}_{r}

が従う.

2.二項係数を階乗で表して,

(n-r){}_{n}\mrm{C}_{r}
=(n-r)\times\f{n!}{(n-r)!r!}
=\f{n!}{(n-r-1)!r!}
=(r+1)\times\f{n!}{(n-r-1)!(r+1)!}
=(r+1){}_{n}\mrm{C}_{r+1}

が従う.

3.1と2を用いると,

{}_{n}\mrm{C}_{r}+{}_{n}\mrm{C}_{r+1}
=\f{n-r+1}{n+1}\times{}_{n+1}\mrm{C}_{r}+\f{n-r}{n+1}\times{}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}
=\f{n-r+1}{n+1}\times\f{r+1}{n-r+1}\times{}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}+\f{n-r}{n+1}\times{}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}
=\f{r+1}{n+1}\times{}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}+\f{n-r}{n+1}\times{}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}
=\f{n+1}{n+1}\times{}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}
={}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}

が従う.

[証明終]

「パスカルの三角形」を理解するために大切なのは3ですが,1と2も二項係数に関する大切な性質なのでここで証明しておきました.

1の(n+1){}_{n}\mrm{C}_{r}=(n-r+1){}_{n+1}\mrm{C}_{r}{}_{n}\mrm{C}_{r}{}_{n+1}\mrm{C}_{r}の関係なので,\mrm{C}の左添え字を1ずらすときに用います.

一方,2の(n-r){}_{n}\mrm{C}_{r}=(r+1){}_{n}\mrm{C}_{r+1}{}_{n}\mrm{C}_{r}{}_{n}\mrm{C}_{r+1}の関係なので,\mrm{C}の右添え字を1ずらすときに用います.

パスカルの三角形

それでは,パスカルの三角形について説明します.

パスカルの三角形とは,次のように定まる無限に続く整数の並びを「パスカルの三角形」という.

  • 上からn段目にはn+1個の整数が並ぶ.
  • どの段も両端は1である.
  • n+1段目の左からr+1番目の整数は,n段目の左からr番目の整数とr+1番目の整数の和に一致する.(r=1,2,\dots,n)

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次に,(a+b)^nの係数を観察します.

(a+b)^1=a+bですから,n=1のときの係数は

1,1

(a+b)^2=a^2+2ab+b^2ですから,n=2のときの係数は

1,2,1

(a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3ですから,n=3のときの係数は

1,3,3,1

(a+b)^4=a^4+4a^3b+6a^2b^2+4ab^3+b^4ですから,n=4のときの係数は

1,4,6,4,1

n=4まで書き並べましたが,これはパスカルの三角形の上から4段目までの整数の並びと一致していますね!

それもそのはずで,[二項定理]と上でみた[二項係数の性質]の3から

  • (a+b)^na^na^{n-1}b,……,b^nn+1項に展開される.
  • (a+b)^na^nの係数,b^nの係数はともに1である.
  • (a+b)^{n+1}a^{n-r}b^{r+1}の係数{}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}は,(a+b)^na^{n-r}n^{r}の係数{}_{n}\mrm{C}_{r}a^{n-r-1}n^{r+1}の係数{}_{n}\mrm{C}_{r+1}の和に一致する.(r=1,2,\dots,n)

が成り立ちます.

これは「パスカルの三角形」の定義に完全に対応しています.

実際に確認したのはn=4までですが,以上の理由から「パスカルの三角形」と二項展開の係数の並びが一致するのです.

パスカルの三角形のn段目は,(a+b)^nの二項展開のa^na^{n-1}b,……,b^nの係数の並びに一致する.

[二項係数の性質]の3の等式{}_{n}\mrm{C}_{r}+{}_{n}\mrm{C}_{r+1}={}_{n+1}\mrm{C}_{r+1}が,「パスカルの三角形」に現れているのがポイントですね.

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場合の数の基本7|二項定理の考え方と公式】では,(a+b)^7を[二項定理]を用いて展開しましたが,パスカルの三角形を使って7段目まで書いても係数がどうなるのか分かるのです.

当然のことながら,[二項定理]が分からないまま「パスカルの三角形」を使うのは好ましくありません.[二項定理]をきちんと理解しつつ「パスカルの三角形」を使えるようにしてください.

パスカルの三角形から,二項展開の係数が求められる.

最後までお読み頂き,ありがとうございました!

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