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アルカリ金属の性質,製法,反応に関する7つの基本事項

周期表において,同じ族に属する元素の性質は類似したものが多く,元素の性質は族で理解することが大切です.

価電子数が1の原子は「1族元素」と呼ばれ,周期表では一番左の列に並べて書かれていますね.

そして,水素H以外の1族元素は全て金属であり,この水素以外の1族元素を「アルカリ金属」といいます.

さて,アルカリ金属は反応性に富み,水$\ce{H2O}$や空気中の酸素$\ce{O2}$などと様々な反応をします.

この記事では,

  1. アルカリ金属の性質
  2. アルカリ金属の製法
  3. アルカリ金属の反応

について解説します.

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アルカリ金属とは

「1族元素」は原子量の小さい順に,

1族元素
元素名 元素記号
水素 H
リチウム $\mrm{Li}$
ナトリウム $\mrm{Na}$
カリウム $\mrm{K}$
ルビジウム $\mrm{Rb}$
セシウム $\mrm{Cs}$
フランシウム $\mrm{Fr}$

となっています.

このうち,水素$\ce{H2}$以外の6元素を「アルカリ金属」といいます.

特に,高校化学ではナトリウム$\mrm{Na}$とカリウム$\mrm{K}$がよく取り上げられ,たまにリチウム$\mrm{Li}$が扱われる程度です.

なお,フランシウム$\mrm{Fr}$は放射性元素で,半減期が22分と短く,性質はよく分かっていません.

余談ですが,「1族元素では,なぜ水素だけ金属ではないのか?」といった疑問を持つ人もいるかもしれません.

これについては,まだ実際に確認されてはいませんが,水素$\ce{H2}$も極めて強い圧力を加えれば,金属のような振る舞いをするという理論があります.

例えば,木星の中心は極めて強い圧力がかかっており,木星の内部には金属水素が存在するとも言われています.

このように,水素も潜在的には金属になり得るが,地球上ではそのような状況にない,といったところなのかもしれません.

アルカリ金属の性質

アルカリ金属の性質について,

  1. イオン化エネルギー
  2. 炎色反応

を解説します.

イオン化エネルギー

「アルカリ金属」は価電子数が1なので,最外殻にある1個の電子を放出して,1価の陽イオン$\mrm{Na^+}$となります.

この最外殻にある1個の電子を手放すのに必要なエネルギーを「第一イオン化エネルギー」といいます.

少し詳しく説明します.電子は負の電荷を持っており,正の電荷をもつ原子核に引きつけられています.そのため,電子を原子核から引き剥がそうとしても,タダでは引き剥がせず,ある程度のエネルギーが必要となります.

このエネルギーのことを「イオン化エネルギー」といい,とくに引き剥がす電子の個数が$n$個のときに必要なエネルギーを「第$n$イオン化エネルギー」というのです.

原子から価電子を1個取り去るために必要なエネルギーを「第一イオン化エネルギー」という.

炎色反応

アルカリ金属を火にかけると,火の色が変化します.この火の色が変化することを「炎色反応」といいます.

高温にさらされることで金属が得たエネルギーは,何らかの形で外へ放出されます.

その際,可視光線としてエネルギーを放出する金属があり,その場合に火の色が変化します.これが「炎色反応」の仕組みです.

さて,「炎色反応」の色は元素によって固有です.例えば,ナトリウム$\mrm{Na}$の炎色反応の色はいつでも黄色であり,変わることはありません.

アルカリ金属の「炎色反応」は次の通りです.

アルカリ金属の炎色反応
元素 炎色反応の色
リチウム$\mrm{Li}$  赤
ナトリウム$\mrm{Na}$  黄
カリウム$\mrm{K}$  赤紫
ルビジウム$\mrm{Rb}$  深赤
セシウム$\mrm{Cs}$  青紫

「炎色反応」は単体に対してだけ起こるのではなく,化合物に対しても起こります.

例えば,食塩(塩化ナトリウム)$\ce{NaCl}$を火にかけると,ナトリウム$\mrm{Na}$の「炎色反応」として,火は黄色になります.具体的には,浜辺でバーベキューしていて,海水を少し火にまくとその部分の火は黄色くなります.

この「炎色反応」が化合物に対しても有効であることによって,「炎色反応」をアルカリ金属の識別に用いることができます.

元素分析では「水に溶けるか溶けないか」や「沈殿を生じるか」といったことを手がかりにすることが多いです.

しかし,アルカリ金属の化合物ははいずれも水に可溶で沈殿を生じません.そのため,炎色反応を用いて元素分析をすることで,どのアルカリ金属の化合物であるかが分かるのです.

そのような背景があるため,「金属の炎色反応の色」は元素分析の試験などでよく問われます.

炎色反応は化合物に対しても起こる.そのため,元素分析に利用される.

軽金属

アルカリ金属は軽い金属であり,リチウム$\mrm{Li}$,ナトリウム$\mrm{Na}$,カリウム$\mrm{K}$はいずれも水より密度が小さいです.そのため,これらは水に浮きます.

アルカリ金属の密度の具体的な数値は以下のようになります.

アルカリ金属の密度
元素 単体の密度
リチウム$\mrm{Li}$ $0.53\mrm{g/cm^3}$
ナトリウム$\mrm{Na}$ $0.97\mrm{g/cm^3}$
カリウム$\mrm{K}$ $0.86\mrm{g/cm^3}$
ルビジウム$\mrm{Rb}$ $1.53\mrm{g/cm^3}$
セシウム$\mrm{Cs}$ $1.87\mrm{g/cm^3}$

リチウム$\mrm{Li}$は水の半分程度の密度なのは少し驚きですね.

なお,金属中で最も密度の小さい金属はリチウム$\mrm{Li}$で,2番目に密度の小さい金属はカリウム$\mrm{K}$です.

このように,密度が4〜$5\mrm{g/cm^3}$以下の金属を「軽金属」といいます.したがって,アルカリ金属はいずれも「軽金属」です.

アルカリ金属以外の軽金属としては,アルミニウム$\mrm{Al}$($2.70\mrm{g/cm^3}$),マグネシウム$\mrm{Mg}$($1.74\mrm{g/cm^3}$),チタン$\mrm{Ti}$($4.50\mrm{g/cm^3}$)などがあります.

アルカリ金属は軽金属である.

アルカリ金属の製法

アルカリ金属の単体は「アルカリ金属の塩化物の融解塩電解ゆうかいえんでんかい)」によって得られます.

「塩化物」とは,簡単にえばClが結合した化合物で,例えば塩化ナトリウム$\ce{NaCl}$などの化合物を指します.

「融解塩電解」とは,その名の通り「融解した(溶けた)えんを電気分解すること」を言います.なお,「電解」=「電気分解」であることに注意してください.

例えば,水$\mrm{H_20}$に電流を通すと,陽極付近に$\mrm{OH^-}$が陰極付近に$\ce{H+}$が偏り,酸素$\ce{O2}$と水素$\ce{H2}$に電解(=電気分解)されますね.

これと同様にしてアルカリ金属を電気分解で得ることを考えます.具体的に,アルカリ金属としてナトリウム$\mrm{Na}$を考えます.

まず,塩化ナトリウム$\ce{NaCl}$を用意します.これがナトリウム$\mrm{Na}$のえんですね.

ただし,この塩化ナトリウム$\ce{NaCl}$にザクッと電極をさして電気を通しても,液体ではないので水の電気分解のようには分解されません.

ですから,塩化ナトリウム$\ce{NaCl}$をガンガン加熱することで,塩化ナトリウム$\ce{NaCl}$を融解させて液体にします.

なお,塩化ナトリウム$\ce{NaCl}$の融点は約800°Cなので,かなり加熱する必要があります.実験室ではガスバーナーを複数個使って加熱しますから,かなり激しい加熱であることが分かりますね.

ほとんどの化学の資料集には融解塩電解の写真が載っているはずなので,一度確認してみてください.

融解した塩化ナトリウム$\ce{NaCl}$は電気を通せば,陽極付近に$\mrm{Cl^-}$が陰極付近に$\mrm{Na^+}$が偏り,塩素$\ce{Cl2}$とナトリウム$\mrm{Na}$に電解(=電気分解)されます.

ナトリウム$\mrm{Na}$は「塩化ナトリウム$\ce{NaCl}$の融解塩電解」により得られる.

アルカリ金属の反応

アルカリ金属の反応性は非常に大きく

  1. 空気中の酸素$\ce{O2}$
  2. 水$\ce{H2O}$

と反応します.

空気酸化

アルカリ金属の反応性の高さから,乾燥した空気中にアルカリ金属を放置するだけで,表面はすぐに酸化物になります.

例えば,リチウム$\mrm{Li}$,ナトリウム$\mrm{Na}$,カリウム$\mrm{K}$は,次のように反応してそれぞれ酸化リチウム$\mrm{Li_2O}$,酸化ナトリウム$\mrm{Na_O}$,酸化カリウム$\mrm{K_2O}$となります.

$\mrm{4Li+O_2\to 2Li_2O}$,
$\mrm{4Na+O_2\to 2Na_2O}$,
$\mrm{4K+O_2\to 2K_2O}$

また,酸化ナトリウム$\mrm{Na_2O}$は白色の固体なので,空気酸化の過程でナトリウム$\mrm{Na}$の金属光沢は失われ,白く変化していきます.

なお,アルカリ金属は柔らかいため,カッターなどで切断することができます.

表面が酸化して酸化ナトリウム$\mrm{Na_2O}$に変化した後に切断することで,内部はナトリウム$\mrm{Na}$のまま酸化せず金属光沢を保ったままになっていることが確認できます.

アルカリ金属は空気中の酸素と容易に反応して酸化物になる.

水との反応

アルカリ金属は常温の水とも反応し,水素$\ce{H2}$を発生して水酸化物になります.

例えば,リチウム$\mrm{Li}$,ナトリウム$\mrm{Na}$,カリウム$\mrm{K}$は,次のように反応してそれぞれ水酸化リチウム$\mrm{LiOH}$,水酸化ナトリウム$\mrm{NaOH}$,水酸化カリウム$\mrm{KOH}$となります.

$\mrm{2Li+2H_2O\to2LiOH+H_2}$
$\mrm{2Na+2H_2O\to2NaOH+H_2}$
$\mrm{2K+2H_2O\to2KOH+H_2}$

水$\ce{H2}$にナトリウム$\mrm{Na}$を投げ込むと爆発することは,化学を学んでいない人でも知っている人は多いようです.その爆発に関係するのがこの反応です.

以下,このことについて説明します.

反応熱の違い

上の3つのいずれの反応も発熱反応です.

リチウム$\mrm{Li}$,ナトリウム$\mrm{Na}$,カリウム$\mrm{K}$は,同じように水$\ce{H2O}$と反応するものの,その反応熱に違いがあります.

最も反応熱が大きいのはカリウム$\mrm{K}$,続いてナトリウム$\mrm{Na}$,もっとも穏やかなのがリチウム$\mrm{Li}$です.

爆発について

水素$\ce{H2}$が空気中で燃焼すると,水$\ce{H2O}$を生成するのでした.このとき,水素$\ce{H2}$の量が多いと,この燃焼の規模が大きくなり水素爆発となります.

さて,アルカリ金属と水$\ce{H2}$が反応すると,水素$\ce{H2}$が発生します.この水素が空気中で燃焼すると,爆発に繋がるわけです.

しかし,リチウム$\mrm{Li}$の場合には爆発しません.

というのは,リチウム$\mrm{Li}$の反応熱はそれほど大きくないため,発生した水素$\ce{H2}$と空気中の酸素$\ce{O2}$を燃焼させるだけの熱量を生み出せないので,爆発には繋がらないのです.

しかし,ナトリウム$\mrm{Na}$やカリウム$\mrm{K}$は発生した水素$\ce{H2}$と空気中の酸素$\ce{O2}$を燃焼させるに十分な反応熱があるので,爆発に繋がるのです.

なお,先ほど書いたようにナトリウム$\mrm{Na}$やカリウム$\mrm{K}$は水$\ce{H2O}$に浮くため,$\mrm{Na}$を水中に沈めても浮かんでくるので,ナトリウム$\mrm{Na}$やカリウム$\mrm{K}$が水中で反応しきる前に水面に達してしまうと,やはり爆発することになります.

ナトリウム$\mrm{Na}$と水$\ce{H2O}$の反応について,,化学工場が火災になって消防車が放水したところ,ナトリウム$\mrm{Na}$と反応して爆発したという事故があります.

ただし,爆発につながるのは大量にナトリウム$\mrm{Na}$がある場合で,少量のナトリウム$\mrm{Na}$の場合には,「シュー!ポン!」と少し発火する程度です.

アルカリ金属は水$\ce{H2}$と反応して水酸化物となる.ナトリウム$\mrm{Na}$やカリウム$\mrm{K}$は激しく反応するので,注意が必要である.

 保存方法

このように,アルカリ金属は非常に反応性に富むため,保存方法には気をつける必要があり,アルカリ金属は石油中に保存することになっています.

石油中に保存していれば,水とも空気中の酸素とも反応することはありません.

このアルカリ金属の保存方法とよく間違えられるのが,黄リンSの保存方法です.黄リンSは空気中で自然発火することがあるので,水中保存することになります.

丸暗記するのではなく,理由をつけて覚えるようにしてください.

アルカリ金属は石油中に保存する.

最後までありがとうございました!

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