「私は暗記力がないのですが,どうすればいいですか?」という質問は本当によく頂きます.
おそらくこのような質問の背景には「他の人は自分より記憶力がいい」という思いがあるからだと思います.
しかし,私の見解は「覚えられないのが普通なのであって,多くの人の記憶力に大差はない」です.
というより,
- 人間の記憶力は大したことがない
- むしろ忘れるのが得意
くらいに思っておくべきです.
ですから,覚えるべきことは一度で覚えようとしてもそれは不可能で,「何度も繰り返して思い出す」という暗記法が定着への近道です.
この記事では,
- 英単語はどのレベルまで覚えるべきか
- 英単語の覚え方
を順に説明します.
英単語はどのレベルまで覚えるべきか
まずは
- 能動的に覚えるべき英単語
- 英単語の暗記レベル
を説明します.
能動的に覚えるべき英単語
基本的に英単語は知っていれば知っているほど強いです.
逆に英単語を知らなければ知っている人に簡単に差をつけられてしまうと言うこともできます.
しかし,これは基本的な単語の話であって,難単語になればなるほど出現頻度は下がりますから,一年で全国で数回しか出題されないような単語までを覚える必要はもちろんありません.
大学受験という競争の中では,同じ時間の中でどれだけ仕上げたかで勝負が決まるわけですから,効率を良くすることは大切です.
時間をかけて重箱の隅をつつくような英単語まで覚えたとしても,試験で出る可能性は非常に低いのですから勉強効率が低くなってしまいます.
また,大切なことは「そもそも大学側は受験生が難単語を知っていることを期待していない」ということです.
特に難関私立大ではあえて難単語を含んだ英文を出題する傾向にあるのですが,大学側が期待していることは「知らない英単語を推測して読む力があるかどうか」です.
私たちが日本語の文章を読んでいて知らない言葉が出てきたとしても,「だいたいこんな意味だろう」と推測して読むことができます.
大学入試で試されているのはこれが英文でもできるかどうかです.
では,どのあたりが覚える/覚えないのラインなのかというと,標準的な市販の英単語帳(システム英単語,ターゲットなど)のレベルです.
しかし,難関大以上を狙うのであれば,英文読解で出会う英単語でよく見かけるものをその都度覚えるようにすることも大切です.
英単語の暗記レベル
「頑張って思い出せるレベル」では不十分だということは意識しておきましょう.
「語呂暗記をしていて数秒程度かけないと思い出せない」という人がいますが,あくまで目標は英文を読むことですから英文を読むときにその調子では困りますね.
単語を見てパッと意味が思い浮かぶ程度のスラスラ感がないと使い物になりません.
覚え始めは語呂暗記などで印象付けることは方法のひとつかも知れませんが,いつかは語呂などを経由せずに単語から直接意味に繋がっている状態になることが大切です.
一個一個順に覚えるのは良くない
次に英単語の覚え方を紹介します.
非効率な覚え方
1つ1つの単語に時間をかけて覚えるのは,よほど上手くやらないと効率が悪いものになってしまうことが多いのでやめましょう.
この「順番記憶法」は労力がかかる割に,効果はそれほど高くありません.
多くの人が「『今日は30個覚えよう!』と意気揚々に初めて,1時間かけて1個1個覚えたあと『初めに戻ってみるとあまり覚えていない……』とがっくりした」という経験をしたことがあるのでないでしょうか?
このように「順番記憶法」では最後の英単語を終えたころには最初のほうの単語を忘れていることが多いですね.
効率的な覚え方
そもそも,モノを覚えるいうのは実際に何も見ずに自分の脳から引き出せるようになるということです.
ただ目から脳にインプットするだけではなく,実際に自分の脳から口にアウトプットすることで,「覚えたはずなのに出てこない」といったことを減らすことができます.
「やったのにできない」というのは,アウトプット不足によるものが大きいです.
では,どのような覚え方が良いのかというと,何周も繰り返して覚えるのです.例えば,今日覚える英単語が30個なら30個を,何周も繰り返して覚えるのです.
この暗記法を「反復記憶法」ということにしましょう.
このとき同時に音読をすることで更なる効果が期待できます.むしろ,音読できる環境なら絶対に音読してください.
また,言い方が変ですが,耳は記憶力がいいです.
文字で読むだけでは覚えていない英単語でも,実際に音で聞いてみると「あー,それ聞いたことある」となることが多いです.
自分で音読して覚えると,耳はけっこう覚えていてくれています.この耳の記憶力を使わない手はありません.
声が出せる状況なら,必ず声を出して「反復記憶法」を使ってください.
「反復記憶法」が有効な5つの理由と注意点
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