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場合の数の基本8|多項定理の考え方と公式

  
   

場合の数の基本7|二項定理の考え方と公式】の続きです.

前回の記事では[二項定理]について解説しました.

[二項定理]は(a+b)^nの展開公式で,場合の数を用いて導出するのでした.

また,[二項定理]の拡張として(a_1+a_2+\dots+a_k)^nの展開公式である[多項定理]があります.そして,[多項定理]も[二項定理]と同じく,場合の数を用いて導出することができます.

考え方も[二項定理]とほとんど同じですが,これまでに見てきた場合の数を理解できていなければ難しいでしょう.その意味で,[多項定理]を理解できていることは,一定の理解がある証拠でもあります.

この記事では,[多項定理]について解説します.

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二項定理

最初に[多項定理]がどのような定理かを説明し,後から考え方を説明します.

多項定理の内容

[多項定理]は次のような展開公式です.

[多項定理] k個の実数(複素数)a_1a_2,……,a_kと正の整数nに対して,(a_1+a_2+\dots+a_k)^{n}a_{1}^{n_1}a_{2}^{n_2}\dots a_{k}^{n_k} (n=n_1+n_2+\dots+n_k)の係数は

\f{n!}{n_{1}!n_{2}!\dots n_{k}!}

である.

abは実数でも複素数でも構いません.

最初に書いたように,[多項定理]は[二項定理]の拡張で,[多項定理]でk=2とすると[二項定理]となります.

実際に,k=2の場合の[多項定理]によると,「(a_1+a_2)^na_{1}^{n_1}a_{2}^{n_2} (n=n_1+n_2)の係数が\f{n!}{n_{1}!n_{2}!}である」ということになります.

これを,n=n_1+n_2に注意して言い換えれば,「(a_1+a_2)^na_{1}^{n-n_1}a_{n_1} (n=n_1+n_2)の係数が\f{n!}{n_{1}!(n-n_1)!}である」ということになります.\f{n!}{n_{1}!(n-n_1)!}={}_{n}\mrm{C}_{n_1}ですから,確かに[二項定理]が出てきました.

なお,前回の記事では「(a+b)^nを展開したときのa^{n-k}b^{k}の係数は{}_{n}\mrm{C}_{k}」と書きました.文字は違いますが,aa_1ba_2n_1kが対応していると考えると,同じことを言っているのが分かりますね.

また,[二項定理]では

(a+b)^{n}={}_{n}\mrm{C}_{0}a^{n}+{}_{n}\mrm{C}_{1}a^{n-1}b+{}_{n}\mrm{C}_{2}a^{n-2}b^2+\dots+{}_{n}\mrm{C}_{n-1}ab^{n-1}+{}_{n}\mrm{C}_{n}b^{n}

と並べて書きましたが,[多項定理]では書き並べると非常に煩雑になるので,上のような書き方をしていますが,イメージは[二項定理]のときと同様です.

[二項定理]の場合と同様に,[多項定理]が威力を発揮するのはnが大きくなったときです.例えば,(a+b+c)^{6}を実際に展開しようとすると,かなり面倒な計算をすることになります.

しかし,[多項定理]から,(a+b+c)^{6}のたとえばa^2b^3cの係数は

\f{6!}{2!3!1!}=60

と分かります.他にもa^2c^4の係数はa^2b^0c^4と考えて

\f{6!}{2!0!4!}=15

と分かります.なお,0!=1であることに注意してください.

多項定理はnが大きいほど,通常の展開に比べて便利になる.

多項定理の考え方

[多項定理]の考え方は[二項定理]の考え方と同じです.

たとえば,k=3n=4の場合を考えてみます.このとき,

(a+b+c)^4=(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)

です.ここで,

  1. (\boldsymbol{a}+b+c)(\underline{a}+b+c)(\boldsymbol{a}+b+c)(\boldsymbol{a}+b+c)の太字部分をかけるとa^4
  2. (\boldsymbol{a}+b+c)(\boldsymbol{a}+b+c)(\boldsymbol{a}+b+c)(a+\boldsymbol{b}+c)を太字部分をかけるとa^3b
  3. (\boldsymbol{a}+b+c)(\boldsymbol{a}+b+c)(\boldsymbol{a}+b+c)(a+b+\boldsymbol{c})を太字部分をかけるとa^3c
  4. (\boldsymbol{a}+b+c)(\boldsymbol{a}+b+c)(a+\boldsymbol{b}+c)(\boldsymbol{a}+b+c)を太字部分をかけるとa^2ba
  5. (\boldsymbol{a}+b+c)(\boldsymbol{a}+b+c)(a+\boldsymbol{b}+c)(a+\boldsymbol{b}+c)を太字部分をかけるとa^2b^2
  6. (\boldsymbol{a}+b+c)(\boldsymbol{a}+b+c)(a+\boldsymbol{b}+c)(a+b+\boldsymbol{c})を太字部分をかけるとa^2bc
  7. ……

と全部で3^4項,つまり81項できることが分かります.

また,このとき掛け合わされているabcの個数はいずれも4ですね.(たとえば,a^4aが4個,a^2bcaが2個とbが1個とcが1個の合わせて4個)

つまり,4つのa+b+cからabcを選ぶことによって,全ての項が表せるわけですね.

ただし,a^2baなどはa^3bに等しくなります.このように,4個のa+b+cのうちから3個でaを取り出し,1個でbを取り出し(,0個でcを取り出し)た項は全てa^3bに等しくなります.

よって,4個のa+b+cのうちから3個でaを取り出し,1個でbを取り出す場合の数だけa^3bが出てくることになります.

この場合の数は3個のaと1個のb(と0個のc)を並べる場合の数に等しく,\f{4!}{3!1!0!}となります.

他の項,たとえばab^2cでも同様で,1個のaと2個のbと1個のcを並べる場合の数に等しく,\f{4!}{1!2!1!}となります.

これを全ての項で同様に考えることで,(a+b+c)^4a^{\ell}+b^{m}+c^{n} (\ell+m+n=4)の係数が

\f{n!}{\ell!m!n!}

となることが分かります.

多項定理の証明

「多項定理の考え方」と同様に考えて,[多項定理]を証明します.

[多項定理の証明]

(a_1+a_2+\dots+a_k)^nを展開すると,a_1^{n_1}a_2^{n_2}\dots a_k^{n_k} (n_1+n_2+\dots+n_k=n)の項によって表される.

(a_1+a_2+\dots+a_k)^n=\underbrace{(a_1+a_2+\dots+a_k)(a_1+a_2+\dots+a_k)\dots(a_1+a_2+\dots+a_k)}_{n}

である.

a_1^{n_1}a_2^{n_2}\dots a_k^{n_k} (n_1+n_2+\dots+n_k=n)の係数を考える.

(a_1+a_2+\dots+a_k)^nn個のa_1+a_2+\dots+a_kのうちから,a_1を取り出すn_1個を選び,a_2を取り出すn_2個を選び,……,a_{k}を取り出すn_{k}個を選ぶ場合の数だけa_1^{n_1}a_2^{n_2}\dots a_k^{n_k}が出てくることになる.

この場合の数は,n_1個のa_1n_2個のa_2,……,n_{k}個のa_{k}を並べる場合の数に等しい.これは「同じものを含む順列」である.

よって,(a_1+a_2+\dots+a_k)^nを展開すればa_1^{n_1}a_2^{n_2}\dots a_k^{n_k}の係数は\f{n!}{n_1!n_2!\dots n_k!}である.

【参考記事:場合の数の基本5|同じものを含む順列の考え方と公式

[証明終]

係数\f{n!}{n_1!n_2!\dots n_k!}n個のa_1+a_2+\dots+a_kのうち,どのn_1個からa_1を取り出し,どのn_2個からa_2を取り出し,……,どのn_k個からa_kを取り出すかという場合の数を表している.

場合の数の基本9|二項係数の性質とパスカルの三角形】に続きます.

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