前回の記事で説明した三角関数の加法定理から得られる重要な公式として,
- 2倍角の公式
- 3倍角の公式
- 半角の公式
- 積和の公式
- 和積の公式
があります.
これらの公式は加法定理から導かれるものの,よく用いることになるので当たり前にしておきましょう.
この記事では,加法定理から導かれる以上の5種類の公式をまとめます.
「三角関数」の一連の記事
2倍角の公式と3倍角の公式
を用いることで,2倍角の公式と3倍角の公式が得られます.
2倍角の公式
[2倍角の公式] 実数
が成り立つ.
[
が成り立つ.
となる.一方,
となる.
証明を見れば分かるように,
3倍角の公式
[3倍角の公式] 実数
が成り立つ.
加法定理
が成り立つ.
同様に,加法定理
が成り立つ.
あまり登場する機会は少ないため敢えて書きませんでしたが,
となるので,興味のある方は是非計算してみてください.
半角の公式
半角の公式は
[半角の公式] 実数
が成り立つ.
を変形すると
となる.ここで
が成り立つ.
証明を見れば分かるように,半角の公式は
積和の公式と和積の公式
三角関数の加法定理を足したり引いたりすることにより,積和の公式と和積の公式が得られます.
積和の公式
[積和の公式] 実数
が成り立つ.
和英辞書は和→英の辞書,英和辞書は英→和の辞書であるように,積和の公式は英→和の変換公式ですね.
(1)
となり,両辺を
が得られる.
(2)
となり,両辺を
が得られる.
(3)(4)同様に
- 辺々足して両辺
で割ると3つ目の積和の公式 - 辺々引いて両辺
で割ると4つ目の積和の公式
が得られる.
いずれも加法定理の足し引きで得られることを知っていれば,積和の公式は直ぐに導くことができるので,わざわざ覚える必要はないですね.
3つ目の公式と4つ目の公式は練習としてぜひ導出してみてください.
和積の公式
積和の公式とは逆に
[和積の公式] 実数
が成り立つ.
この和積の公式は先ほどの積和の公式からすぐに導くことができます.上の積和の公式で
とおくと,
が成り立つので,積和の公式の
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