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酸化還元反応2|酸化剤と還元剤の半反応式の一覧

酸化還元反応の基本1 ―酸化,還元とは―」の続きです.

「半反応式はややこしくて覚えられない!」という人がいますが,実際に覚えるべき部分はさほど多くなく,あとは機械的に半反応式が書けるようになっています.

半反応式が書ければ,あとは酸化還元反応の化学式が書けるようになればいいわけですが,これも機械的に書けるようになっています.

したがって,結局覚えるべき部分は半反応式のある部分だけで,それさえ覚えてしまえばあとは機械的に進められるのです.その流れをこの記事で押さえてください.

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半反応式の一覧

最終的にはこれらの式を全て書けるようにならなければなりませんが,全てを覚える必要はありません.これは,式の中のある部分を覚えれば,式全体が書けるようになっているからです.

詳しい説明はあとでしますので,この一覧はひとまず流しても構いません.

酸化剤の半反応式

酸化剤の半反応式です.

物質/化学式(条件) 半反応式
オゾン/\mathrm{O_3}(酸性) \mathrm{O_3 + 2H^{+} + 2e^{-} \to O_2 + H_2O}
過酸化水素/\mathrm{H_2O_2}(酸性) \mathrm{H_2O_2 + 2H^{+} + 2e^{-} \to 2H_2O}
過酸化水素/\mathrm{H_2O_2}(中性・塩基性) \mathrm{H_2O_2 + 2e^{-} \to 2OH^{-}}
過マンガン酸カリウム/\mathrm{KMnO_4}(酸性) \mathrm{{MnO_4}^{-} + 8H^{+} + 5e^{-} \to Mn^{2+} + 4H_2O}
過マンガン酸カリウム/\mathrm{KMnO_4}(中性・塩基性) \mathrm{{MnO_4}^{-} + 2H_2O + 3e^{-} \to MnO_2 + 4OH^-}
濃硝酸/\mathrm{HNO_3} \mathrm{HNO_3 + H^{+} + e^{-} \to NO_2 + H_2O}
希硝酸/\mathrm{HNO_3} \mathrm{HNO_3 + 3H^{+} + 3e^{-} \to NO + 2H_2O}
熱濃硫酸/\mathrm{H_2SO_4} \mathrm{H_2SO_4 + 2H^{+} + 2e^{-} \to SO_2 + 2H_2O}
二クロム酸カリウム/\mathrm{K_2Cr_2O_7}(酸性) \mathrm{{Cr_2O_7}^{2-} + 14H^{+} + 6e^{-} \to 2Cr^{3+} + 7H_2O}
ハロゲン/\mathrm{X_2} \mathrm{X_2 + 2e^{-} \to 2X^{-}}
二酸化硫黄/\mathrm{SO_2} \mathrm{SO_2 + 4H^{+} + 4e^{-} \to S + 2H_2O}
酸素/\mathrm{O_2} \mathrm{O_2 + 4e^{-} \to 2O^{2-}}

ただし,ハロゲンの\mathrm{X_2}は具体的にフッ素\mathrm{F_2},塩素\mathrm{Cl_2},臭素\mathrm{Br_2}などに置き換えてください.たとえば,

\mathrm{F_2 + 2e^{-} \to 2F^{-}}
\mathrm{Cl_2 + 2e^{-} \to 2Cl^{-}}

となります.

還元剤の半反応式

還元剤の半反応式です.

物質/化学式(条件) 半反応式
塩化スズ(II)/\mathrm{SnCl_2} \mathrm{Sn^{2+} \to Sn^{4+} + 2e^{-}}
硫酸鉄(II)/\mathrm{FeSO_4} \mathrm{Fe^{2+} \to Fe^{3+} + e^{-}}
硫化水素/\mathrm{H_2S} \mathrm{H_2S \to S + 2H^{+} + 2e^{-}}
過酸化水素/\mathrm{H_2O_2} \mathrm{H_2O_2 \to O_2 + 2H^{+} + 2e^{-}}
二酸化硫黄/\mathrm{SO_2} \mathrm{SO_2 + 2H_2O \to {SO_4}^{2-} + 4H^{+} + 2e^{-}}
金属 \mathrm{X \to X^{n+} + e^{n-}}
シュウ酸/\mathrm{(COOH)_2} \mathrm{(COOH)_2 \to 2CO_2 + 2H^{+} + 2e^{-}}
ヨウ化カリウム/\mathrm{KI} \mathrm{2I^{-} \to I_2 + 2e^{-}}
水素/\mathrm{H} \mathrm{H_2 \to 2H^{+} + 2e^{-}}
チオ硫酸ナトリウム/\mathrm{Na_2S_2O_3} 2\mathrm{{S_2O_3}^{2-} \to {S_4O_6}^{2-} + 2e^{-}}

ただし,金属\mathrm{X}は具体的には,

  1. アルカリ金属:リチウム\mathrm{Li},ナトリウム\mathrm{Na},カリウム\mathrm{K}
  2. アルカリ土類金属:マグネシウム\mathrm{Mg},カルシウム\mathrm{Ca},バリウム\mathrm{Ba}
  3. その他の金属:銀\mathrm{Ag},銅\mathrm{Cu},鉄\mathrm{Fe}

などがあり,1の「アルカリ金属」はn=1であり,2の「アルカリ土類金属」はn=2です.また,3の「その他の金属」は物質によってnは変わります.たとえば,

\mathrm{Li \to Li^{+} + e^{-}}
\mathrm{Mg \to Mg^{2+} + e^{2-}}
\mathrm{Ag \to Ag^{+} + e^{-}}
\mathrm{Cu \to Cu^{2+} + e^{2-}}

などとなります.3の「その他の金属」のnはそれぞれ物質に対して個別に覚える必要があります.

「酸化剤」,「還元剤」とは

すでに「酸化剤」,「還元剤」という言葉を使ってしまいましたが,ここで「酸化剤」と「還元剤」を説明します.

「電子を失う」とき,その物質は「酸化される」というのでした.

さて,ある物質Aが「電子を失った」ということは,別の物質が「電子を受け取った」ということです.つまり,物質Aの「酸化」を引き起こした物質が他にあるはずです.

この物質のことを「酸化剤」といいます.

ここでの注意点は,「酸化剤」は「電子を受け取る」ので「還元される」ということです.「酸化剤」は「相手を酸化する」のであって,自分は「還元される」のです.

これは言葉の問題ですが,「消臭剤」は「周囲を消臭」します.つまり,「周囲は消臭される」のです.「消臭剤」は自分のにおいを消臭するのではありませんね.

このように「~剤」というのは「相手を~するもの」ということですから,「酸化剤」は「相手を酸化するもの」なのです.これによって,「酸化剤」は「還元される」のです.

同様に,ある物質Bが「電子を受け取った」ということは,別の物質が「電子を失った」ということです.つまり,物質Bの「還元」を引き起こした物質が他にあるはずです.

この物質のことを「還元剤」といいます.還元剤は「相手を還元」し,「自分は酸化される」ということに注意して下さい.

半反応式の書き方

上に挙げた半反応式は丸ごと覚える必要はなく,覚えることは最小限にとどめ,あとはそこから自分で作り出せるようにします.その手順は次の通りです.これは非常に重要です.

  1. 「酸化剤/還元剤」とその「変化後の物質」を覚える
  2. \mathrm{O}が足りない方に\mathrm{H_2O}を足して\mathrm{O}の個数を合わせる
  3. \mathrm{H}が足りない方に\mathrm{H^+}を足して\mathrm{H}の個数を合わせる
  4. 両辺の電荷が等しくなるように,電子\mathrm{e^-}を足して電荷を合わせる

ですから,具体的に覚えておくのは「酸化剤/還元剤」と「その変化後の物質」だけで十分です.逆にいえば,これを覚えていなければ,手も足も出なくなります.

実際に,例を挙げて考えてみます.

濃硝酸HNO3の場合

1.「酸化剤/還元剤」とその「変化後の物質」を覚える

「酸化剤」は濃硝酸\mathrm{HNO_3}で,「変化後の物質」は二酸化窒素\mathrm{NO_2}です.これは覚えておきます.

これで次のように書けます.

\mathrm{HNO_3} \to \mathrm{NO_2}……(1)

2.Oが足りない方にH2Oを足してOの個数を合わせる

(1)では左辺に\mathrm{O}が3個,右辺に\mathrm{O}が2個あります.

つまり,右辺に\mathrm{O}が1個不足していますから,右辺に\mathrm{H_2O}を1個足します.

これで次のように書けます.

\mathrm{HNO_3} \to \mathrm{NO_2 + H_2O}……(2)

3.Hが足りない方にH+を足してHの個数を合わせる

(2)では左辺に\mathrm{H}が1個,右辺に\mathrm{H}が2個あります.

つまり,左辺に\mathrm{O}が1個不足していますから,左辺に\mathrm{H^+}を1個足します.

これで次のように書けます.

\mathrm{HNO_3 + H^+} \to \mathrm{NO_2 + H_2O}……(3)

4.-が足りない方にe-を足して電荷を合わせる

(3)では左辺に\mathrm{H^+}の1個あるので左辺の電荷は+1,右辺は電荷が0です.

つまり,左辺の電荷が1多いですから,左辺に\mathrm{e^-}を1個足します.

これで次のようになって完成です.

\mathrm{HNO_3 + H^{+} + e^-} \to \mathrm{NO_2 + H_2O}

酸性条件下での過マンガン酸カリウムKMnO4の場合

1.「酸化剤/還元剤」とその「変化後の物質」を覚える

「酸化剤」は過マンガン酸カリウム\mathrm{KMnO_4}で,酸性条件下での「変化後の物質」はマンガン(II)イオン\mathrm{Mn^{2+}}です.これは覚えておきます.

これで次のように書けます.

\mathrm{{MnO_4}^-} \to \mathrm{Mn^{2+}}……(1)

2.Oが足りない方にH2Oを足してOの個数を合わせる

(1)では左辺に\mathrm{O}が4個,右辺に\mathrm{O}がありません.つまり,右辺に\mathrm{O}が4個不足していますから,右辺に\mathrm{H_2O}を4個足します.

これで次のように書けます.

\mathrm{{MnO_4}^-} \to \mathrm{Mn^{2+} + 4H_2O}……(2)

3.Hが足りない方にH+を足してHの個数を合わせる

(2)では左辺に\mathrm{H}がなく,右辺に\mathrm{H}が8個あります.(\mathrm{H_2O}は1つで\mathrm{H}を2個もっており,\mathrm{H_2O}が4個あるので\mathrm{H}は8個ある)

つまり,左辺に\mathrm{O}が8個不足していますから,左辺に\mathrm{H^+}を8個足します.

これで次のように書けます.

\mathrm{{MnO_4}^{-} + 8H^+} \to \mathrm{Mn^{2+} + 4H_2O}……(3)

4.-が足りない方にe-を足して電荷を合わせる

(3)では左辺に\mathrm{{MnO_4}^-}が1個,\mathrm{H^+}が8個あるので左辺の電荷は7,右辺は\mathrm{Mn^{2+}}が1個あるので電荷が+2です.

つまり,左辺の電荷が5多いですから,左辺に\mathrm{e^-}を1個足します.

これで次のようになって完成です.

\mathrm{{MnO_4}^{-} + 8H^{+} + 5e^-} \to \mathrm{Mn^{2+} + 4H_2O}

チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3の場合

1.「酸化剤/還元剤」とその「変化後の物質」を覚える

「酸化剤」はチオ硫酸ナトリウム\mathrm{Na_2S_2O_3}で,酸性条件下での「変化後の物質」は四チオン酸イオン\mathrm{Mn^{2+}}です.これは覚えておきます.

これで次のように書けます.

2\mathrm{{S_2O_3}^{2-}} \to \mathrm{{S_4O_6}^{2-}}……(1)

2.Oが足りない方にH2Oを足してOの個数を合わせる

(1)では左辺に\mathrm{O}が4個,右辺にも\mathrm{O}が4個あります.

つまり,既に両辺の\mathrm{O}の個数が一致していますから,\mathrm{H_2O}は足さずに(1)のままにしておきます.

3.Hが足りない方にH+を足してHの個数を合わせる

(1)では左辺に\mathrm{H}がなく,右辺にも\mathrm{H}がありません.

つまり,既に両辺の\mathrm{H}の個数が一致していますから,\mathrm{H^+}は足さずに(1)のままにしておきます.

4.-が足りない方にe-を足して電荷を合わせる

(1)では左辺に2\mathrm{{S_2O_3}^{2-}}が2個あるので左辺の電荷は-4,右辺は\mathrm{{S_4O_6}^{2-}}が1個あるので電荷が-2です.

つまり,右辺の電荷が2多いですから,左辺に\mathrm{e^-}を2個足します.

これで次のようになって完成です.

\mathrm{2{S_2O_3}^{2-}} \to \mathrm{{S_4O_6}^{2-} + 2e^-}

次の記事「酸化還元反応の基本3 ―酸性条件,中性・塩基性条件―」に続きます.

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