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場合の数の基本7|二項定理の考え方と公式

  
   

場合の数の基本6|重複組み合わせの考え方と公式】の続きです.

これまでの記事で,色々な場合の数をみてきました.

高校数学において,「場合の数」はそのあとに習う「確率」を考えるために習うといった印象があります.「場合の数」が高校数学からさらに発展した数学として「組み合わせ論」という分野もあります.

このように,「場合の数」はそれ単体で完結しているわけではなく,様々な応用があるのです.

その最も身近な応用として[二項定理]が挙げられます.[二項定理]は式の展開公式の一つであり,式の計算をする際に非常に重要です.

この記事では,[二項定理]について解説します.

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二項定理

最初に[二項定理]の内容を説明し,そのあとに考え方を説明します.

二項定理の内容

[二項定理]は次のような展開公式です.

[二項定理] 実数(複素数)abと正の整数nに対して,次の展開公式が成り立つ.

(a+b)^{n}={}_{n}\mrm{C}_{0}a^{n}+{}_{n}\mrm{C}_{1}a^{n-1}b+{}_{n}\mrm{C}_{2}a^{n-2}b^2+\dots+{}_{n}\mrm{C}_{n-1}ab^{n-1}+{}_{n}\mrm{C}_{n}b^{n}

abは実数でも複素数でも構いません.

また,{}_{n}\mrm{C}_{0}=1{}_{n}\mrm{C}_{n}=1なので,

(a+b)^{n}=a^{n}+{}_{n}\mrm{C}_{1}a^{n-1}b+{}_{n}\mrm{C}_{2}a^{n-2}b^2+\dots+{}_{n}\mrm{C}_{n-1}ab^{n-1}+b^{n}

と書くこともできますが,全てに{}_{n}\mrm{C}_{r}が係数にある方が統一的があるので,全てに{}_{n}\mrm{C}_{r}を書いています.

また,この展開のことを「二項展開」ということもあります.

では,具体的なnで正しいかどうか考えてみます.

n=1なら

(a+b)^1=a+b
{}_{1}\mrm{C}_{0}a+{}_{1}\mrm{C}_{1}b=a+b

ですから,確かに[二項定理]は正しいですね.

n=2なら

(a+b)^{2}=a^{2}+2ab+b^{2}
{}_{2}\mrm{C}_{0}a^{2}+{}_{2}\mrm{C}_{1}ab+{}_{2}\mrm{C}_{2}b^{2}=a^{2}+2ab+b^{2}

ですから,この場合にも確かに[二項定理]は正しいですね.

n=3なら

(a+b)^{3}=a^{3}+3a^{2}b+3ab^{2}+b^{3}
{}_{3}\mrm{C}_{0}a^{3}+{}_{3}\mrm{C}_{1}a^{2}b+{}_{3}\mrm{C}_{2}ab^{2}+{}_{3}\mrm{C}_{3}b^{3}=a^{3}+3a^{2}b+3ab^{2}+b^{3}

ですから,この場合にも確かに[二項定理]は正しいですね.

このように,n=3までですが,確かに成り立っています.ただ,n=3程度なら[二項定理]を使わなくても普通に展開できます.

[二項定理]が威力を発揮するのはnが大きくなったときです.例えば,(a+b)^{7}を実際に展開しようとすると,かなり面倒な計算をすることになりますが,[二項定理]を使えば,

(a+b)^{7}
={}_{7}\mrm{C}_{0}a^{7}+{}_{7}\mrm{C}_{1}a^{6}b+{}_{7}\mrm{C}_{2}a^{5}b^{2}+\dots+{}_{7}\mrm{C}_{7}b^{7}
=a^{7}+7a^{6}b+21a^{5}b^{2}+35a^{4}b^{3}+35a^{3}b^{4}+21a^{2}b^{5}+7ab^{6}+b^{7}

とずいぶん楽に展開することができます.

二項定理はnが大きいほど,通常の展開に比べて便利になる.

二項定理の考え方

定理がなぜ成り立つのかを考えます.

n=2の場合

分配法則から,普通に展開するなら

(a+b)^2=(a+b)(a+b)=a(a+b)+b(a+b)=a^2+ab+ba+b^2

ですね.こうみると,

  1. 第1項a^2(\boldsymbol{a}+b)(\boldsymbol{a}+b)の太字部分をかけてできたもの
  2. 第2項ab(\boldsymbol{a}+b)(a+\boldsymbol{b})を太字部分をかけてできたもの
  3. 第3項ba(a+\boldsymbol{b})(\boldsymbol{a}+b)を太字部分をかけてできたもの
  4. 第4項b^2(a+\boldsymbol{b})(a+\boldsymbol{b})を太字部分をかけてできたもの

であることが分かります.

つまり,2つのa+bからabを選ぶことによって,全ての項が表せるわけですね.

そして,このときab=baですから,(a+b)^{2}=a^2+2ab+b^2となります.

イメージとしては,abと書かれたボールが入った箱が2つ並んでおり,

  1. 左の箱からaを取り,右の箱からaをとるとa^{2}
  2. 左の箱からaを取り,右の箱からbをとるとab
  3. 左の箱からbを取り,右の箱からaをとるとba
  4. 左の箱からbを取り,右の箱からbをとるとb^{2}

と考えることができます.

n=4の場合

もう少しnを大きくしてn=4の場合を考えてみます.

(a+b)^4=(a+b)(a+b)(a+b)(a+b)

です.ここで,n=2の場合と同じように,

  1. (\boldsymbol{a}+b)(\underline{a}+b)(\boldsymbol{a}+b)(\boldsymbol{a}+b)の太字部分をかけるとa^4
  2. (\boldsymbol{a}+b)(\boldsymbol{a}+b)(\boldsymbol{a}+b)(a+\boldsymbol{b})を太字部分をかけるとa^3b
  3. (\boldsymbol{a}+b)(\boldsymbol{a}+b)(a+\boldsymbol{b})(\boldsymbol{a}+b)を太字部分をかけるとa^2ba
  4. (\boldsymbol{a}+b)(\boldsymbol{a}+b)(a+\boldsymbol{b})(a+\boldsymbol{b})を太字部分をかけるとa^2b^2
  5. ……

と全部で2^4項,つまり16項できることが分かります.

また,このとき掛け合わされているabcの個数はいずれも4ですね.(たとえば,a^4aが4個,a^3baが3個とbが1個の合わせて4個)

つまり,4つのa+bからabを選ぶことによって,全ての項が表せるわけですね.

ただし,a^2baなどはa^3bに等しくなります.このように,4つのa+bのうちから3つでaを取り出し,1つでbを取り出した項は全てa^3bに等しくなります.

よって,4つのa+bのうちから3つでaを取り出し,1つでbを取り出す場合の数だけa^3bが出てくることになります.

4つのa+bのうちから1つbを取り出すものを選べば,3つaを取り出すものは決まるから,この場合の数は{}_{4}\mrm{C}_{1}となります.

以上より,(a+b)^4を展開すれば,a^3b{}_{4}\mrm{C}_{1}個出てくるので,a^3bの係数は{}_{4}\mrm{C}_{1},すなわち{}_{4}\mrm{C}_{1}a^3bが出てくることになります.

他の項,たとえばa^2b^2でも同様で,4つのa+bのうちから2つbを取り出すものを選べば,2つaを取り出すものは決まるから,この場合の数は{}_{4}\mrm{C}_{2}となりますから,(a+b)^4を展開すれば{}_{4}\mrm{C}_{1}a^3bが出てくることになります.

これをa^4a^3ba^2b^2ab^3b^4の全てで同様に考えることで,

(a+b)^4={}_{4}\mrm{C}_{0}a^4+{}_{4}\mrm{C}_{1}a^3b+{}_{4}\mrm{C}_{2}a^2b^2+{}_{4}\mrm{C}_{3}ab^3+{}_{4}\mrm{C}_{4}b^4

が成り立ちます.

二項定理の証明

「二項定理の考え方」と同様に考えて,[二項定理]を証明します.

[二項定理の証明]

(a+b)^nを展開すると,a^na^{n-1}ba^{n-2}b^2,……,b^nの項によって表される.

(a+b)^n=\underbrace{(a+b)(a+b)\dots(a+b)}_{n}

である.

a^{n-k}b^r (r=01,……,n)の係数を考える.

(a+b)^nn個のa+bのうちから,bを取り出すr個を選べば,aを取り出すn-r個が決まり,この場合の数は{}_{n}\mrm{C}_{r}となる.

よって,(a+b)^nを展開すればa^{n-r}b^rの係数は{}_{n}\mrm{C}_{r}である.

したがって,(a+b)^n

(a+b)^{n}={}_{n}\mrm{C}_{0}a^{n}+{}_{n}\mrm{C}_{1}a^{n-1}b+{}_{n}\mrm{C}_{2}a^{n-2}b^2+\dots+{}_{n}\mrm{C}_{n-1}ab^{n-1}+{}_{n}\mrm{C}_{n}b^{n}

と展開できる.

[証明終]

係数{}_{n}\mrm{C}_{k}n個のa+bのうち,どのn-k個からaを取り出し,どのk個からbを取り出すかということを表している.

補足

2つ補足があります.

二項係数

もともと{}_{n}\mrm{C}_{k}は「組み合わせ」から出てきたものですが,[二項定理]では係数として出てきます.

この意味で,{}_{n}\mrm{C}_{k}を二項係数ということも多いです.

[二項定理]から,二項係数に関する次の等式が成り立つことは有名なので知っておいて良いでしょう.

2^n={}_{n}\mrm{C}_{0}+{}_{n}\mrm{C}_{1}+{}_{n}C_{2}+\dots+{}_{n}\mrm{C}_{n-1}+{}_{n}\mrm{C}_{n}
0={}_{n}\mrm{C}_{0}-{}_{n}\mrm{C}_{1}+{}_{n}\mrm{C}_{2}-\dots+(-1)^{n-1}{}_{n}\mrm{C}_{n-1}+(-1)^{n}{}_{n}\mrm{C}_{n}

[二項定理]でa=b=1とすれば一つ目の等式が,a=1b=-1とすれば二つ目の等式が成り立つことが分かります.

二項係数の順番

上の[二項定理]では

(a+b)^{n}={}_{n}\mrm{C}_{0}a^{n}+{}_{n}\mrm{C}_{1}a^{n-1}b+{}_{n}\mrm{C}_{2}a^{n-2}b^2+\dots+{}_{n}C_{n-1}ab^{n-1}+{}_{n}\mrm{C}_{n}b^{n}

と書きましたが,

(a+b)^{n}={}_{n}\mrm{C}_{n}a^{n}+{}_{n}\mrm{C}_{n-1}a^{n-1}b+{}_{n}\mrm{C}_{n-2}a^{n-2}b^2+\dots+{}_{n}\mrm{C}_{n-1}ab^{n}+{}_{n}\mrm{C}_{0}b^{n}

二項係数の順を逆にしても正しいです.これは{}_{n}\mrm{C}_{k}が成り立つことから分かります.

どちらで書くかは好みの問題なので,好きな方で問題ありません.

二項定理の表し方

[二項定理]は\sumを用いて,

(a+b)^{n}=\dsum_{k=0}^{n}{}_{n}\mrm{C}_{k}a^{n-k}b^{k}

と表すこともできます.

分かりにくければ,実際に{}_{n}\mrm{C}_{k}a^{n-k}b^{k}k0からnを代入したものを書き並べて納得してください.

場合の数の基本8|多項定理の考え方と公式】に続きます.

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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