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数列の基本5|階差数列の一般項と公式

いわゆる[階差数列の公式]は一見複雑な形をしているように見えるためか,階差数列に苦手意識をもっている人は少なくないようです.

しかし,階差数列のイメージは単純なので,実は[階差数列の公式]も至って自然な公式です.

確かに1点だけ注意しなければならないことはありますが,それも難しい話ではなく,注意さえしていればミスしないポイントです.

この記事では,階差数列をイメージから確認したあと,階差数列の公式を説明します.

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階差数列とは

階差数列を考えるにあたって,数列\{a_n\}を用意します.数列\{a_n\}は等差数列や等比数列といった分かりやすい数列でなくても構いません.

階差数列の定義

数列\{a_n\}に対して,b_n=a_{n+1}-a_nによって数列\{b_n\}を定めます.つまり,

\begin{align*} b_1=a_2-a_1,\quad b_2=a_3-a_2,\quad b_3=a_4-a_3,\quad \dots \end{align*}

により数列\{b_n\}を定めます.こうして数列\{a_n\}をもとにしてできた数列\{b_n\}を「数列\{a_n\}の階差数列」といいます.

数列\{a_n\}に対して,b_n=a_{n+1}-a_{n}で定義される数列\{b_n\}を数列\{a_n\}階差数列という.

階差数列を考えるときには,まず何か初めに数列\{a_n\}があって,その数列\{a_n\}に対して階差数列\{b_n\}が定まるのです.

したがって,階差数列だけが存在することはありえないことに注意しましょう.

いつでも,「階差数列」と言われれば,「『どんな数列の』階差数列なのか」ということは意識しておきましょう.

さて,a_{n+1}-a_na_nからa_{n+1}までどれだけ増えているか,ということを表しますね.

ですから,階差数列は「もとの数列で一つ次の項に移るときにどれだけ増えているか」ということを表す数列なのです.

階差数列の例

階差数列はパズルの本などで目にします.たとえば,次の[問]はまさに階差数列です.

次のXに当てはまる数字を答えよ.

  1. 1,\ 5,\ 9,\ 13,\ 17,\ X,\ \dots
  2. 1,\ 4,\ 9,\ 16,\ 25,\ X,\ \dots
  3. 1,\ 5,\ 17,\ 53,\ 161,\ X,\ \dots

これらの階差数列をとると,それぞれ

  1. 4,\ 4,\ 4,\ 4,\ X-17,\ \dots
  2. 3,\ 5,\ 7,\ 9,\ X-25,\ \dots
  3. 4,\ 12,\ 36,\ 108,\ X-161,\ \dots

です.これから,

  1. 階差数列は4が続く数列なのでX-17=4よりX=21
  2. 階差数列は初項3,公差2の等差数列なのでX-25=11よりX=36
  3. 階差数列は初項4,公比3の等比数列なのでX-161=324よりX=485

と分かります.

このように,階差数列は「数列の各項の差をとって考えよう!」というだけの話なのです.

「数列\{a_n\}の階差数列\{b_n\}」というように,階差数列\{b_n\}は単独では存在しない.元の数列の各項の差をとった数列が階差数列である.

階差数列の公式

上の問題のように,元の数列\{a_n\}はよく分からなくても,階差数列\{b_n\}をとると等差数列や等差数列といったよく分かる数列になることがあります.

このような数列\{a_n\}の場合,直接\{a_n\}は求められなくても,階差数列\{b_n\}を経由することで求めることができます.つまり,

  1. 階差数列\{b_n\}の一般項を求める
  2. 元の数列\{a_n\}の一般項を求める

という手順を踏みたいわけです.ですから,b_nを用いてa_nを表すことができれば嬉しいわけですね.

階差数列の公式

b_n=a_{n+1}-a_na_{n+1}=a_n+b_nと変形すると,a_{n+1}a_nb_nを足したものと考えることができます.

つまり,

  • a_2a_1b_1を足したもの
  • a_3a_2b_2を足したもの
  • a_4a_3b_3を足したもの
  • ……

と考えることができます.

これはa_{k+1}からa_kを引いたものがb_kだったわけですから,a_kb_kを加えるとb_{k+1}になるというのは当たり前ですね.

このことから,a_2=a_1+b_1です.

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両辺にb_2を加えると,a_3=a_2+b_2なので,a_3=a_1+(b_1+b_2)です.

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さらに両辺にb_3を加えると,a_4=a_3+b_3なので,a_4=a_1+(b_1+b_2+b_3)です.

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これを繰り返すと,a_n=a_1+(b_1+b_2+\dots+b_{n-1})となります.

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このままでも良いのですが,b_1+\dots+b_{n-1}の部分は\sumを用いて表せますから,次の[階差数列の公式]が得られました.

[階差数列の公式] 数列\{a_n\}に対して,\{a_n\}の階差数列を\{b_n\}とすると,n\ge2のとき

\begin{align*} a_n=a_1+\dsum_{k=1}^{n-1}b_k \end{align*}

が成り立つ.

このように,

  • a_1a_2の差がb_1だから,a_1b_1を足せば差が埋まり
  • a_2a_3の差がb_2だから,a_2b_2を足せば差が埋まり
  • a_3a_4の差がb_3だから,a_3b_3を足せば差が埋まり
  • ……

差をどんどん埋めていけば,この[階差数列の公式]は自然な公式であることが分かりますね.

数列\{a_n\}とその階差数列\{b_n\}について,a_{k-1}a_kb_{k-1}だけ足りないから,a_1a_nb_1+\dots+b_{k-1}だけ足りない.したがって,a_n=a_1+\sum\limits_{k=1}^{n-1}b_kが成り立つ.

階差数列の公式の別の考え方

本質的には考え方と同じなのですが,次のように考えても導出できます.

階差数列は任意の自然数kに対して,b_k=a_{k+1}-a_kという関係をみたしていました.このことから次のように導出することができます.

\begin{align*} \begin{matrix} & a_n & - & a_{n-1} & = & b_{n-1}\\ & a_{n-1} & - & a_{n-2} & = & b_{n-2}\\ & a_{n-2} & - & a_{n-3} & = & b_{n-3}\\ &&&& \vdots &\\ +)& a_2 & - & a_1 & = & b_1\\ \hline & a_n & - & a_1 & = & \sum\limits_{k=1}^{n-1}b_k\\ \end{matrix} \end{align*}

です.左辺はプラスマイナスで大量に打ち消しあって,結局a_n-a_1が残りますね.a_1を移項して,

\begin{align*} a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k \end{align*}

を得ます.

数列\{a_n\}とその階差数列\{b_n\}を考える.関係式a_{k+1}-a_k=b_kk=1からk=n-1までを足し合わせると,階差数列の公式a_n=a_1+\sum\limits_{k=1}^{n-1}b_kが従う.

階差数列の公式の注意点

さて,階差数列の公式a_n=a_1+\sum\limits_{k=1}^{n-1}b_kn\geqq2の場合にしか意味をなさないことに注意しましょう.

n=1なら右辺の\sum\limits_{k=1}^{n-1}\sum\limits_{k=1}^{0}となってしまい,「n=1からn=0までの和」となってnが1から0に「逆行」してしまっているからです.

そのため,a_1は別に考える必要がありますが,a_1は初項ですから与えられていたり,簡単に求まることがほとんどなので,それほど心配する必要はありません.

階差数列の公式a_n=a_1+\sum\limits_{k=1}^{n-1}b_kは,n\ge2の場合にしか使えないことに注意する.すなわち,初項a_1を求めるためには階差数列の公式は使えないが,ほとんどの場合で簡単に分かる.

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