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数列の基本6|部分分数分解を用いて計算する数列の和

[部分分数分解]を使うことで求めることのできる数列の和があります.

[部分分数分解]はマイナーな知識と思われがちですが,教科書に載っている基本的な知識ですし,数IIIでは[部分分数分解]が必要になる積分もあります.

また,部分分数分解は形を丸覚えしている人がいますが,考え方から理解していれば部分分数分解の公式は瞬時に導けます.

そのため,しっかり自分で導出できるようにしておいてください.

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部分分数分解

部分分数分解とは大雑把にいえば,「1つの分数を複数の分数の和(もしくは差)に分けること」を言います.

たとえば,\dfrac{1}{6}\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{3}と2つの分数の和に分けることができます.これは簡単な例ですが,部分分数分解をしています.

部分分数分解の公式

[部分分数分解の公式]は次の通りです.

[部分分数分解の公式] a\neq bとすると,次の等式が成り立つ.

\begin{align*} \frac{1}{(x+a)(x+b)}=\frac{1}{b-a}\bra{\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+b}} \end{align*}

さて,公式を書いた直後ですが,私は[部分分数分解の公式]はちゃんとは覚えていません.覚えていなくても,部分分数分解の理屈を理解していれば,この公式は瞬時に自分で導けるからです.

下手に覚えると,\dfrac{1}{x+a}-\dfrac{1}{x+b}なのか\dfrac{1}{x+b}-\dfrac{1}{x+a}なのか怪しくなりますし,\dfrac{1}{b-a}なのか\dfrac{1}{a-b}なのかも怪しくなります.

丸覚えではなく,考え方から導出できるようにしてください.

部分分数分解の公式の考え方

まず,\dfrac{1}{x+a}+\dfrac{1}{x+b}を通分すると,

\begin{align*} \frac{1}{x+a}+\dfrac{1}{x+b} =&\dfrac{x+b}{(x+a)(x+b)}+\dfrac{x+a}{(x+a)(x+b)} \\=&\dfrac{2x+a+b}{(x+a)(x+b)} \end{align*}

となりますね.では,\dfrac{1}{x+a}-\dfrac{1}{x+b}を通分するとどうなるでしょう?

\begin{align*} \frac{1}{x+a}-\dfrac{1}{x+b} =&\frac{x+b}{(x+a)(x+b)}-\frac{x+a}{(x+a)(x+b)} \\=&\frac{b-a}{(x+a)(x+b)} \end{align*}

となりますね.いま,

  • \dfrac{1}{x+a}\dfrac{1}{x+b}を「足したもの」
  • \dfrac{1}{x+a}\dfrac{1}{x+b}を「引いたもの」

を実際に通分して計算しましたが,どうでしょうか?

「引いたもの」は通分したときに x-xが出てきて打ち消し合います.一方,「足したもの」は通分したときに xx が出てくるので打ち消し合えません.

このことから,「引いたもの」の方がスッキリした形になることが分かりますね.

さて,「引いたもの」の式から,

\begin{align*} \frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+b}=\frac{b-a}{(x+a)(x+b)} \end{align*}

ですから,この式の両辺をb-aで割ると,部分分数分解の公式

\begin{align*} \frac{1}{(x+a)(x+b)}=\dfrac{1}{b-a}\bra{\dfrac{1}{x+a}-\dfrac{1}{x+b}} \end{align*}

が得られました.

さて,ここでもう一度\dfrac{1}{(x+a)(x+b)}を見てみます.

これを\dfrac{1}{A}\bra{\dfrac{1}{x+a}-\dfrac{1}{x+b}}の形に部分分数分解したいわけですが,\dfrac{1}{x+a}\dfrac{1}{x+b}の間の符号をマイナスにすれば,通分した時に分子に現れるのがb-aであるのが分かります.

ということは,通分したあとにb-aで割れば,\dfrac{1}{(x+a)(x+b)}が出てくることが分かりますね.

なお,数IIIの積分では,わざと足して x を分子に残して考えた方が良い場合もあるのですが,ここでは説明しません.

\dfrac{1}{(x+a)(x+b)}を部分分数分解するときは,まず\dfrac{1}{x+a}-\dfrac{1}{x+b}を作ってしまう.そして,通分したときに出てくるb-aを消すために前に\dfrac{1}{b-a}をかける.

部分分数分解を用いた数列の和

部分分数分解を用いて,数列の和を計算してみましょう.

上で書いた部分分数分解の考え方を確かめながら読んでください.

例1

\dsum_{k=1}^{n}\frac{1}{k(k+1)}を求めましょう.

まず,a_n=\dfrac{1}{n(n+1)}とおきます.

a_n=\dfrac{1}{n(n+1)}を部分分数分解して\dfrac{1}{n}\dfrac{1}{n+1}の項が現れ,これらを通分したときに分子にnが現れないようにしたいのですが,どうでしょうか.

\dfrac{1}{n}から\dfrac{1}{n+1}を引いて通分すると,\dfrac{(n+1)-n}{n(n+1)}となって分子のnが打ち消し合います.したがって,

\begin{align*} \dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n+1} =\dfrac{1}{n(n+1)} \end{align*}

となります.今回は,たまたま分子がnn+1の差が1なので,これで部分分数分解は終了です.

さて,これでa_n=\dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n+1}が分かりました.これを用いると,和\sum\limits_{k=1}^{n}a_k

\begin{align*} \sum_{k=1}^{n}a_k =&\sum_{k=1}^{n}\bra{\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}} \\=&\bra{1-\frac{1}{2}}+\bra{\frac{1}{2}-\frac{1}{3}}+\bra{\frac{1}{3}-\frac{1}{4}}+\dots+\bra{\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}} \\=&1+\bra{-\frac{1}{2}+\frac{1}{2}}+\bra{-\frac{1}{3}+\frac{1}{3}}+\dots+\bra{-\frac{1}{n}+\frac{1}{n}}-\frac{1}{n+1} \\=&1-\frac{1}{n+1} \\=&\frac{n}{n+1} \end{align*}

と分かります.下から2行目の等号で同じものがバサバサ消えているのが分かりますね.

例2

\dsum_{k=2}^{n}\frac{1}{(k-1)(k+1)}を求めましょう.

まず,a_n=\dfrac{1}{(n-1)(n+1)}とおきます.

a_n=\dfrac{1}{(n-1)(n+1)}を部分分数分解して\dfrac{1}{n-1}\dfrac{1}{n+1}の項が現れれるようにするのですが,これらを通分したときに分子にnが現れないようにしたいのですが,どうでしょうか?

\dfrac{1}{n-1}から\dfrac{1}{n+1}を引いて通分すると\dfrac{(n+1)-(n-1)}{(n-1)(n+1)}となってnが打ち消し合います.したがって,

\begin{align*} \frac{1}{n-1}-\dfrac{1}{n+1} =&\frac{n+1}{(n-1)(n+1)}-\frac{n-1}{(n-1)(n+1)} \\=&\frac{2}{(n-1)(n+1)} \end{align*}

となります.これは例1と違って,分子に2が出てきました.この2はn-1n+1の差の2です.この両辺を2で割って

\begin{align*} \frac{1}{2}\bra{\dfrac{1}{n-1}-\dfrac{1}{n+1}} =\frac{1}{(n-1)(n+1)} \end{align*}

です.これで部分分数分解ができました.

さて,これでa_n=\dfrac{1}{2}\bra{\dfrac{1}{n-1}-\dfrac{1}{n+1}}が分かりました.これを使うと,和\sum\limits_{k=2}^{n}a_k

\begin{align*} \sum_{k=2}^{n}a_k =&\sum_{k=2}^{n}\frac{1}{2}\bra{\frac{1}{k-1}-\frac{1}{k+1}} \\=&\frac{1}{2}\sum_{k=2}^{n}\bra{\frac{1}{k-1}-\frac{1}{k+1}} \\=&\frac{1}{2}\brb{\bra{1-\frac{1}{3}}+\bra{\frac{1}{2}-\frac{1}{4}}+\bra{\frac{1}{3}-\frac{1}{5}}+\dots+\bra{\frac{1}{n-1}-\frac{1}{n+1}}} \\=&\frac{1}{2}\brb{1+\frac{1}{2}-\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}} \\=&\frac{(3n+2)(n-1)}{4n(n+1)} \end{align*}

と分かります.例1と同じく下から2行目の等号で同じものがバサバサ消えているのが分かりますね.

なお,最後の等号の計算の部分は省略しました.各自,確かめてみてください.

\dsum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{(k+a)(k+b)}の和は部分分数分解を用いるとうまくいく.これは部分分数分解によって出てきた項が打ち消し合うからである.

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