数列8
等差×等比型の数列の和は等比数列に持ち込め

数列
数列

この記事では

  • 等差数列$3,5,7,9,\dots$
  • 等比数列$2,6,18,54,\dots$

を併せてできる数列

   \begin{align*}3\times2,\quad 5\times6,\quad 7\times18,\quad 9\times54,\ \dots\end{align*}

のように,等差数列$\{b_n\}$と等比数列$\{c_n\}$によって一般項が$b_n\times c_n$で表される数列の和を考えます.

この記事ではこの形の数列を「等差×等比型の数列」と呼ぶことにしましょう.

この等差×等比型の数列の初項から第$n$項までの和は,引き算することによって等比数列に持ち込んで計算することができます.

この記事では

  • 等差×等比型の数列の和の求め方
  • 等差×等比型の数列の和の具体例

を順に解説します.

等差×等比型の数列の和の求め方

等差数列$\{b_n\}$と等比数列$\{c_n\}$を用意し,一般項をそれぞれ

  • $b_n=b+(n-1)d$(初項$b$,公差$d$)
  • $c_n=cr^{n-1}$(初項$c$,公比$r$)

とし,数列$\{a_n\}$の一般項を$a_n=b_nc_n$としましょう.

このとき$\{a_{n}\}$は等差×等比型の数列で,初項から第$n$項までの和を$S_n$とすると,

   \begin{align*}S_n=&a_1+a_2+\dots+a_n \\=&cb+cr(b+d)+cr^2(b+2d)+\dots+cr^{n-1}(b+(n-1)d)\end{align*}

ですね.この$S_n$は次のステップで求めることができます.

以下では文字のまま計算していますが,この文字のまま公式として覚えるのではなく求め方を理解してください.

ステップ1:$S_n-rS_n$を計算する

数列$\{c_n\}$の公比$r$を$S_n$にかけると

   \begin{align*}rS_n=crb+cr^2(b+d)+cr^3(b+2d)+\dots+cr^{n}(b+(n-1)d)\end{align*}

となるので,これを$S_n$から引くと

   \begin{align*}\begin{matrix} &S_n&=&cb&+&cr(b+d)&+\dots+&cr^{n-1}(b+(n-1)d)&&\\ -)&rS_n&=&&&crb&+\dots+&cr^{n-1}\{b+(n-2)d\}&+&cr^{n}(b+(n-1)d)\\ \hline &(1-r)S_n&=&cb&+&crd&+\dots+&cr^{n-1}d&-&cr^{n}(b+(n-1)d) \end{matrix}\end{align*}

となります.このとき,一つ項をずらして引くのがポイントですね.

ステップ2:等差数列の和の公式を用いる

ステップ1で得られた

   \begin{align*}(1-r)S_n=cb+crd+\dots+cr^{n-1}d-cr^{n}(b+(n-1)d)\end{align*}

の右辺の初項と末項を除いた$crd+\dots+cr^{n-1}d$の部分は初項$crd$,公比$r$の等比数列になっているので,等比数列の和の公式より

   \begin{align*}crd+\dots+cr^{n-1}d=\frac{crd(1-r^{n-1})}{1-r}\end{align*}

と計算できますね.

ステップ3:両辺を${1-r}$で割る

ステップ2で得られた等式をステップ1で得られた等式に代入すると

   \begin{align*}&(1-r)S_n=cb+\frac{crd(1-r^{n-1})}{1-r}-cr^{n}(b+(n-1)d)\end{align*}

となりますね.この両辺を$1-r$で割って,

   \begin{align*}S_n=\frac{cb}{1-r}+\frac{crd(1-r^{n-1})}{(1-r)^2}-\frac{cr^{n}(b+(n-1)d)}{1-r}\end{align*}

と$S_n$が計算できますね.

等差×等比型の数列の和の具体例

具体的に等差×等比型の数列の和を求めましょう.

具体例1

等差×等比型の数列

   \begin{align*}1\cdot1,\quad 2\cdot2,\quad 3\cdot4,\quad 4\cdot8,\dots\end{align*}

の初項から第$n$項までの和を求めよ.

初項から第$n$項までの和を$S_n$とおくと,

   \begin{align*}S_n=1\cdot1+2\cdot2+3\times4+4\cdot8+\dots+n\cdot2^{n-1}\end{align*}

である.$S_n$に等比数列の部分$1,2,4,8,\dots$の公比$2$をかけると

   \begin{align*}2S_n=1\cdot2+2\cdot4+3\cdot8+4\cdot16+\dots+n\cdot2^n\end{align*}

なので,$S_n-2S_n$を計算すると,

   \begin{align*}\begin{matrix} &S_n&=&1\cdot1&+&2\cdot2&+\dots+&n\cdot2^{n-1}&&\\ -)&2S_n&=&&&1\cdot2&+\dots+&(n-1)\cdot2^{n-1}&+&n\cdot2^n\\ \hline &S_n-2S_n&=&1&+&2&+\dots+&2^{n-1}&-&n\cdot2^n \end{matrix}\end{align*}

である.この右辺の初項と末項を除いた部分$1+2+4+8+\dots+2^{n-1}$は初項$1$,公比$2$の等比数列の和になっているので,等比数列の和の公式より

   \begin{align*}1+2+4+8+\dots+2^{n-1} =&\frac{2^n-1}{2-1} \\=&2^{n}-1\end{align*}

である.よって,

   \begin{align*}&-S_n=(2^{n}-1)-2^{n}n \\\iff&S_n=-2^{n}(1-n)+1\end{align*}

を得る.

今回の$S_n-2S_n$の右辺が初項から等比数列になっているのはたまたまで,一般には第2項目から等比数列になります.

具体例2

等差×等比型の数列

   \begin{align*}2\cdot1,\quad 5\cdot(-3),\quad 8\cdot9,\quad 11\cdot(-27),\dots\end{align*}

の初項から第$n$項までの和を求めよ.

初項から第$n$項までの和を$S_n$とおくと,

   \begin{align*}S_n=2\cdot1+5\cdot(-3)+8\cdot9+\dots+(3n-1)\cdot(-3)^{n-1}\quad\dots(*)\end{align*}

である.$S_n$に等比数列の部分$1,-3,9,-27,\dots$の公比$-3$をかけると

   \begin{align*}-3S_n=2\cdot(-3)+5\times9+8\cdot(-27)+\dots+(3n-1)\cdot(-3)^n\end{align*}

なので,$S_n-(-3)S_n$を計算すると,

   \begin{align*}\begin{matrix} &S_n&=&2\cdot1&+&5\cdot(-3)&+\dots+&(3n-1)\cdot(-3)^{n-1}&&\\ -)&-3S_n&=&&&2\cdot(-3)&+\dots+&(3n-4)\cdot(-3)^{n-1}&+&(3n-1)\cdot(-3)^n\\ \hline &4S_n&=&2&+&3\cdot(-3)&+\dots+&3\cdot(-3)^{n-1}&-&(3n-1)\cdot(-3)^n \end{matrix}\end{align*}

である.この右辺の初項と末項を除いた部分$3\cdot(-3)+\dots+3\cdot(-3)^{n-1}$は初項$-9$,公比$-3$の等比数列の和になっているので,等比数列の和の公式より

   \begin{align*}3\cdot(-3)+\dots+3\cdot(-3)^{n-1} =&-9\cdot\frac{1-(-3)^{n-1}}{1-(-3)} \\=&\frac{-9-3(-3)^{n}}{4}\end{align*}

なので,

   \begin{align*}4S_n =&2+\frac{-9-3(-3)^{n}}{4}-(3n-1)\cdot(-3)^n \\=&\frac{-1+(1-12n)(-3)^n}{4}\end{align*}

を得る.よって,

   \begin{align*}S_n=\frac{-1+(1-12n)(-3)^n}{16}\end{align*}

となる.

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