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ワンステップ数学3|微分不可能な例と直感的な理解

  
   

xy平面上のグラフの接線の傾き考えるときには,微分係数を求めることになります.また,関数の増減を考える際に導関数を用いることは最も素朴な方法です.

【参考記事:微分の基本1|微分係数の定義と図形的意味,接線の定義
【参考記事:微分の基本4|関数の増減を調べる方法,増減表の書き方

このように,「微分」は関数の性質を調べるために非常な重要な役割を果たしますが,いつでも微分可能であるとは限りません.

「微分可能でないこと」を「微分不可能」と言いますが,この記事ではどのような場合に微分不可能となるのかを説明します.

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微分可能性の定義と性質

最初に,[微分可能性]の定義と,[微分可能性と連続性の関係]を述べておきます.

微分可能性の定義

[微分可能性]の定義は次のようになっています.

[微分可能性] 関数f(x)と実数aに対して,極限

\li_{b\to a}\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}\bra{=\li_{h\to 0}\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h}}

が有限の値として存在するとき,f(x)x=aで微分可能であるという.

また,微分可能でないとき,微分不可能であるという.

[微分可能性]の定義から分かるように,微分可能性を考えるときには,「どの関数」が「どの点」でという2点が重要です.

また,定義式が\li_{b\to a}\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}\li_{h\to 0}\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h}の2つありますが,これらが等しいことについては以下の記事で詳しく解説しています.

【参考記事:ワンポイント数学5|2つの微分の定義式

直感的には,f(x)x=aで微分可能である」とは,「グラフy=f(x)x=aで『接線が引ける』=『なめらか』である」ということを表しています.

逆に,「f(x)x=aで微分不可能」であるとは,「グラフy=f(x)x=aで『とんがって』いる」ということになります.

このことは,後述の例3と例4で解説しています.

また,前後しますが,極限についても定義を確認しておきます.

[極限] 関数f(x)と実数aに対して,極限\li_{x\to a}f(x)が存在するとは,

  1. x>ax\to aとする右極限\li_{x\to a+0}f(x)
  2. x<ax\to aとする左極限\li_{x\to a-0}f(x)

が共に存在して一致することをいう.

なお,a=0のときは,右極限を\li_{x\to +0}f(x)と書き,左極限を\li_{x\to -0}f(x)と書く.

この「右極限」と「左極限」は数IIでは習いませんが,きっちり極限を考えるときには重要なので,ここで説明しておきました.

連続性の定義

[連続性]の定義について復習しておきます.

[連続性] 関数f(x)と実数aに対して,\li_{x\to a}f(x)が存在してf(a)に一致するとき,f(x)x=aで連続であるという.

また,連続でないとき,不連続であるという.

[連続性]の定義から分かるように,連続性を考えるときには,「どの関数」が「どの点」でという2点が重要です.

直感的には,f(x)x=aが連続である」とは,「グラフy=f(x)x=aで『繋がって』いる」ということを表しています.

逆に,「f(x)x=aが不連続である」とは,「グラフy=f(x)x=aで『切れて』いる」ということになります.

また,\li_{x\to a}f(x)が存在して」いても,それが「f(a)に一致」していなければ連続ではありません.

このことは,後述の例1と例2で解説しています.

微分可能性と連続性の関係

次の[微分可能性と連続性の関係]は微分可能性の重要な性質です.

[微分可能性と連続性の関係] 関数f(x)と実数aに対して,f(x)x=aで微分可能であれば,f(x)x=aで連続である.

「微分可能である」が「なめらかである」ということなら,前提として「グラフは繋がっていなければならない」,すなわち「連続でなければならない」ということは直感的に理解できると思います.

念のため,きっちり[微分可能性と連続性の関係]を証明しておきます.

[証明]

関数f(x)と実数aに対して,f(x)x=aで微分可能であることから,極限

\li_{b\to a}\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}

が有限の値として存在し,\li_{b\to a}(b-a)=0である.

よって,もし極限\li_{x\to a}f(x)が存在しなければ,極限\li_{b\to a}\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}は存在しないから,極限\li_{x\to a}f(x)が存在する.

さらに,もし極限\li_{x\to a}f(x)f(a)に一致していなければ,極限\li_{b\to a}(f(b)-f(a))0でなく,極限\li_{b\to a}\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}は有限の値として存在しないから,\li_{x\to a}f(x)=f(a)が成り立つ.

以上より,f(x)x=aで連続であることが従う.

[証明終]

証明の注意として,\li_{x\to a}f(x)\li_{b\to a}f(b)は等しいことに注意してください.

この証明のイメージは,\li_{b\to a}\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}が有限の値で,しかも分母について\li_{b\to a}(b-a)=0やから,分子も極限とったら0になるしかないな」というところです.

[微分可能性と連続性の関係]の対偶も大切です.つまり,

[微分可能性と連続性の関係の対偶] 関数f(x)と実数aに対して,f(x)x=aで不連続であれば,f(x)x=aで微分不可能である.

つまり,「不連続なら,問答無用で微分不可能である」ということですね.

なお,[微分可能性と連続性の関係]の逆は成り立たないことに注意してください.つまり,連続であっても,微分不可能であることはありえます.

微分可能性の例

それでは,いくつか例を考えます.

次の1〜4の関数f(x)x=0で微分可能か.

  1. f(x)=\begin{cases}x&(x<0)\\ x+1&(x\ge0)\end{cases}
  2. f(x)=\begin{cases}x&(x\neq0)\\ 1&(x=0)\end{cases}
  3. f(x)=|x|
  4. f(x)=\begin{cases}0&(x<0)\\ x^2&(x\ge0)\end{cases}

例1

関数

f(x)=\begin{cases}x&(x<0)\\ x-1&(x\ge0)\end{cases}

について,xy平面上にy=f(x)のグラフを図示すると,以下のようになります.

Rendered by QuickLaTeX.com

図から明らかにf(x)x=0で不連続なので,[微分可能性と連続性の関係の対偶]から,f(x)x=0で微分不可能であることが分かります.

ただし,「図から」というのでは厳密性を欠いているので,きっちり式から証明しておきます.

[解答]

まず,f(x)の右極限は

\li_{x\to+0}f(x)=\li_{x\to+0}(x-1)=-1

であり,左極限は

\li_{x\to-0}f(x)=\li_{x\to-0}x=0

だから,右極限と左極限は一致しない.

よって,極限\li_{x\to0}f(x)が存在しないからf(x)x=0で不連続である.したがって,f(x)x=0で微分不可能である.

[解答終]

例2

関数

f(x)=\begin{cases}x&(x\neq0)\\ 1&(x=0)\end{cases}

について,xy平面上にy=f(x)のグラフを図示すると,以下のようになります.

Rendered by QuickLaTeX.com

例1と同じく,図から明らかにf(x)x=0で不連続なので,f(x)x=0で微分不可能であることが分かりますが,式から証明しておきます.

[解答]

まず,f(x)の右極限は

\li_{x\to+0}f(x)=\li_{x\to+0}x=0

であり,左極限は

\li_{x\to-0}f(x)=\li_{x\to-0}x=0

だから,右極限と左極限は一致するので,極限\li_{x\to0}f(x)が存在して,0となる.

しかし,f(0)=1だから,\li_{x\to0}f(x)\neq f(0)となってf(x)x=0で不連続である.したがって,f(x)x=0で微分不可能である.

[解答終]

丁寧に書きましたが,右極限\li_{x\to+0}f(x)f(0)が異なっていれば良いので,

\li_{x\to+0}f(x)=\li_{x\to+0}x=0\neq1=f(0)だからf(x)x=0で不連続」

としても立派に不連続性を証明できています.

例3

関数

f(x)=|x|

について,xy平面上にy=f(x)のグラフを図示すると,以下のようになります.

Rendered by QuickLaTeX.com

この場合は,f(x)x=0で連続なので,例1,例2のように「不連続性から微分不可能」とはできません.

しかし,「微分可能である」とは,「なめらかである」ということを表していることに注意すると,f(x)x=0で「とんがって」いるので,微分不可能なように思えます.

実際,f(x)x=0で微分不可能で,このことを式から証明します.

[解答]

まず,\dfrac{f(b)-f(0)}{b-0}の右極限は

\li_{b\to+0}\dfrac{f(b)-f(0)}{b-0}
=\li_{b\to+0}\dfrac{|b|-|0|}{b}
=\li_{b\to+0}\dfrac{b}{b}
=\li_{b\to+0}1
=1

であり,左極限は

\li_{b\to-0}\dfrac{f(b)-f(0)}{b-0}
=\li_{b\to-0}\dfrac{|b|-|0|}{b}
=\li_{b\to-0}\dfrac{-b}{b}
=\li_{b\to-0}(-1)
=-1

だから,右極限と左極限は一致せず,f(x)x=0で微分不可能である.

[解答終]

なお,証明において,b>0なら|b|=bであり,b<0なら|b|=-bであることに注意してください.

【参考記事:ワンポイント数学2|絶対値の定義と直感的理解

例4

関数

f(x)=\begin{cases}0&(x<0)\\ x^2&(x\ge0)\end{cases}

について,xy平面上にy=f(x)のグラフを図示すると,以下のようになります.

Rendered by QuickLaTeX.com

この場合は,f(x)x\ge0x<0では別の関数で表されていますが,「繋ぎ目」のx=0では「なめらかに」繋がっているように見えますね.

実際,f(x)x=0で微分可能で,このことを式から証明します.

[解答]

まず,\dfrac{f(b)-f(0)}{b-0}の右極限は

\li_{b\to+0}\dfrac{f(b)-f(0)}{b-0}
=\li_{b\to+0}\dfrac{b^2-0^2}{b}
=\li_{b\to+0}\dfrac{b^2}{b}
=\li_{b\to+0}b
=0

であり,左極限は

\li_{b\to-0}\dfrac{f(b)-f(0)}{b-0}
=\li_{b\to-0}\dfrac{0-0}{b}
=\li_{b\to-0}\dfrac{0}{b}
=\li_{b\to-0}0
=0

だから,右極限と左極限は一致し,f(x)x=0で微分可能である.

[解答終]

このように,異なる式で表されていても,それらの境界で「なめらかに」繋がっていれば,微分可能となります.

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