微分法4
y=f(x)のグラフの描き方は4ステップでOK

微分法
微分法

$xy$平面上に$y=f(x)$のグラフを描くときの最も素朴な方法は,$y=f(x)$の$x$に具体的な値を代入して得られる通る点$(x,y)$を繋げる方法です.

このように,通る点を$xy$平面上にとることをプロットといいます.

例えば,一時関数や二次関数のグラフを最初に学ぶときは,ほとんどの人がプロットで概形を掴んだはずです.

しかし,プロットで綺麗なグラフを描くには多くの点をとらないといけないなど,数学的にはあまり良い方法とは言えません.

そこでこの記事では

  • 単調増加と単調減少
  • 微分を用いた関数の増減
  • $y=f(x)$のグラフの描き方の具体例

を順に説明します.

関数の増減

まずは関数の増減をどのように考えればよいかを説明します.

単調増加と単調減少

まずは

  • 単調増加
  • 単調減少

という用語を定義しましょう.

実数$a,b$ ($a<b$)と関数$f(x)$を考える.$a<b\Ra f(a)<f(b)$が成り立つとき$f(x)$は$a<x<b$で単調増加であるといい,$a<b\Ra f(a)>f(b)$が成り立つとき$f(x)$は$a<x<b$で単調減少であるという.

Rendered by QuickLaTeX.com

単調増加と単調減少を併せて単調という.

言い換えると,

  • 大きいものを代入するほど大きい値になる関数$f(x)$を単調増加
  • 大きいものを代入するほど小さい値になる関数$f(x)$を単調減少

というわけですね.さらに別の言い方をすれば,

  • $xy$平面上の$y=f(x)$のグラフが右上がりなら単調増加
  • $xy$平面上の$y=f(x)$のグラフが右下がりなら単調減少

ということになりますね.

微分係数と関数の増減

微分係数$f'(a)$は$y=f(x)$の$x=a$での接線の傾きのことでしたから

  1. $f'(a)>0$とは「$y=f(x)$の点$x=a$での接線の傾きが正」
  2. $f'(a)<0$とは「$y=f(x)$の点$x=a$での接線の傾きが負」

ということになります.

よって,導関数$f’$がどこで正なのか負なのかが分かれば,$y=f(x)$のグラフが右上がりなのか右下がりなのかが分かり,グラフの概形が得られますね.

実数$a,b$ ($a<b$)と関数$f(x)$を考える.このとき,$a<x<b$で関数$f(x)$が微分可能で

  • $f'(x)>0$なら$a<x<b$で関数$f(x)$は単調増加
  • $f'(x)<0$なら$a<x<b$で関数$f(x)$は単調減少

である,

Rendered by QuickLaTeX.com

このことを証明するためには,数学IIIで学ぶ平均値の定理が必要なのでここでは証明しません.

$y=f(x)$のグラフの描き方

以上のように関数の増減が導関数から得られることを用いれば,$y=f(x)$のグラフを描くことができます.

以下で具体的にグラフの描き方をみていきましょう.

具体例1

$xy$平面上に$y=x^2-1$のグラフを描け.

2次関数の分野で学んだことから,頂点$(0,-1)$の下に凸な放物線になることが分かりますが,導関数を用いてもグラフが描けることを見てみましょう.

$f(x)=x^2-1$とすると,$f$の導関数は$f'(x)=2x$です.よって,方程式$f'(x)=0$は

    \begin{align*}f'(x)=0\iff 2x=0\iff x=0\end{align*}

と解けます.よって,$x=0$で$f'(x)$の正負が切り替わる可能性があり,実際

  • $x<0$のときは$f'(x)<0$だから$f(x)$は単調増加
  • $x>0$のときは$f'(x)>0$だから$f(x)$は単調減少

なので,$f(x)$の増減を表で表すと

    \begin{align*}\begin{array}{c||c|c|c} x & \dots & 0 & \dots \\ \hline f'(x) & - & 0 & + \\ \hline f(x) &\searrow & -1 & \nearrow \end{array}\end{align*}

となりますね($f(0)=-1$はもとの$f(x)=x^2-1$に$x=0$を代入すれば得られますね).

以上より,$y=f(x)$は下図のようなグラフになりますね.

Rendered by QuickLaTeX.com

この解答の$f(x)$の増減を表した表のことを増減表とよびます.

この問題のように,微分可能な関数$f(x)$に対して,$y=f(x)$のグラフは

  1. $f$の導関数$f’$を求める.
  2. $x$の方程式$f'(x)=0$を解く
  3. 増減表を書く
  4. 増減表をもとにグラフを描く

の4ステップで描くことができます.

具体例2

$xy$平面上に$y=\dfrac{1}{4}(x^3+3x^2-9x-7)$のグラフを描け.

$f(x)=\dfrac{1}{4}(x^3+3x^2-9x-7)$とすると,$f$の導関数は

    \begin{align*}f'(x)=&\frac{1}{4}(3x^2+6x-9) \\=&\frac{3}{4}(x^2+2x-3) \\=&\frac{3}{4}(x+3)(x-1)\end{align*}

です.よって,方程式$f'(x)=0$は$x=-3,1$と解けます.これより,

  • $x<-3$のときは$f'(x)>0$だから$f(x)$は単調増加
  • $-3<x<1$のときは$f'(x)<0$だから$f(x)$は単調減少
  • $1<x$のときは$f'(x)>0$だから$f(x)$は単調増加

なので,$f(x)$の増減表は

    \begin{align*}\begin{array}{c||c|c|c|c|c} x & \dots & -3 & \dots & 1 & \dots \\ \hline f'(x) & + & 0 & - & 0 & + \\ \hline f(x) &\nearrow & 5 & \searrow& -3 & \nearrow \end{array}\end{align*}

となりますね($f(-3)=5$と$f(1)=-3$は実際に代入して得られます).

以上より,$y=f(x)$は下図のようなグラフになりますね.

Rendered by QuickLaTeX.com

具体例3

$xy$平面上に$y=-x^3+3x^2-3x+3$のグラフを描け.

$f(x)=-x^3+3x^2-3x+3$の導関数は

    \begin{align*}f'(x) =&-3x^2+6x-3 \\=&-3(x^2-2x+1) \\=&-3(x-1)^2\end{align*}

なので,方程式$f'(x)=0$は$x=1$と解けます.また,$f(x)$の増減表は

    \begin{align*}\begin{array}{c||c|c|c} x & \dots & 1 & \dots \\ \hline f'(x) & - & 0 & - \\ \hline f(x) &\searrow & 2 & \searrow \end{array}\end{align*}

となります.すなわち,$f(x)$は単調減少ですね.

以上より,$y=f(x)$は下図のようなグラフになりますね.

Rendered by QuickLaTeX.com

例3のように導関数$f'(x)$が$0$にタッチして引き返すような場合には,$f'(x)=0$となる$x$で入れ替わりません.

大切なことは$f'(x)$の正負であって,$f'(x)=0$の解$x$を求めるのはその点で$f'(x)$の正負が切り替わる可能性があるからですね.

よって,具体例3のように$f'(x)=0$となる$x$は「増加と減少が入れ替わりうる$x$」であって,必ずしも入れ替わるとは限らないことに注意してください.

コメント