【微分の基本2|導関数の定義と直感的イメージ】の続きです.
関数の導関数
とは,各
で
の微分係数を表す関数のことをいうのでした.
導関数を定義して次に考えることは,導関数に関する性質でしょう.
この記事では,「多項式の導関数」と「導関数の性質」について説明します.
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多項式の導関数
数IIにおいては多項式の微分を扱います.
多項式の微分については次の[多項式の微分]が成り立ちます.
[多項式の微分] 2以上の整数に対し,
の導関数は
である.
また,定数関数の導関数は
であり,
の導関数は
である.
直感的に,定数関数は「平ら」なので,導関数が0であることは良いでしょう.また,は「傾き1の直線」なので,導関数が1であることも良いでしょう.
さて,導関数の定義式は,
または
の2通りありました.
【参考記事:ワンポイント数学5|2つの微分の定義式】
どちらでも証明できるので,それぞれの定義式で[多項式の微分]を証明します.
証明1
により,[多項式の微分]を証明をします.
[証明1]
が定数関数なら,
である.よって,
が成り立つ.
また,なら,
が成り立つ.
最後に,なら,二項定理より
だから,
が従う.
[証明1終]
証明2
次に,により,[多項式の微分]を証明をします.
[証明2]
が定数関数なら,
である.よって,
が成り立つ.
また,なら,
が成り立つ.
最後に,なら,因数分解の公式
より,
が従う.
[証明2終]
[多項式の微分]は当たり前にしておく.
導関数の性質
次の導関数の性質はとても重要です.
[導関数の性質] 定数,
と導関数をもつ関数
,
に対して,関数
の導関数は
である.
本来,の導関数は
です.
ここで,[定理2]は「先にと
を微分してしまい,
と
としてから,定数倍して足し合わせた
が
に等しいよ」と言っているのです.
つまり,「足し算や定数倍した関数の導関数」は,「導関数を足し算や定数倍したもの」と一致するということです.
具体例はあとであげることとし,まず証明をします.
[証明]
定義より,
が成り立つ.
[証明終]
また,次の[導関数の性質2]は[導関数の性質]からの帰結ですが,よく現れるので当たり前にしてください.
[導関数の性質2] 定数と導関数をもつ関数
,
に対して,
の導関数は
である.
の導関数は
である.
念のため説明しておきます.
[導関数の性質]において,,
はどんな定数でも成り立つので,
や
としても構いませんね.
とすると「
の導関数は
である」ということになり,一方
とすると「
の導関数が
である」ということになりますね.
よって,[導関数の性質2]が成り立ちます.
[導関数の性質]は微分を求める時に非常に便利である.
例
最後に[定理1]と[定理2]の例をみます.
例1
のとき,[定理(多項式の導関数)]の
の場合から
となります.形式的には,肩のが係数になり,肩は1引かれて
となります.
例2
のとき,
となります.
例3
のとき,
となります.このように,3項以上の多項式に対しても同様です.
【微分の基本4|関数の増減を調べる方法,増減表の書き方】に続きます.