微分法7
方程式の実数解の個数を求め方・不等式の証明

微分法
微分法

例えば,次のような問題はどのように解けば良いでしょうか?

実数$k$に対して,方程式$x^3-3x^2-2=k$の実数解の個数を求めよ.

連立連立方程式の解はグラフの交点に対応することは,中学校で連立1次方程式と併せて学んだときから度々用いてきました.

上の問題ではこのことを利用することで解くことができます.

この記事では,微分法の応用として

  • 方程式の実数解の個数
  • 不等式の証明

を順に説明します.

方程式の実数解の個数

方程式の実数解の個数を求めるための重要定理を紹介して具体例に移りましょう.

方程式の実数解の個数に関する定理

関数$f$, $g$に対して,

  • $xy$平面上の$y=f(x)$, $y=g(x)$のグラフの共有点の個数
  • 方程式$f(x)=g(x)$の実数解の個数

は等しい.

この定理を直感的に理解するには

  • $y=f(x)$を満たす点$(x,y)$を「全て」描いたものが$y=f(x)$のグラフ
  • $y=g(x)$を満たす点$(x,y)$を「全て」描いたものが$y=g(x)$のグラフ

ということを意識できていることが大切です.

これらが当たり前になっていれば,$y=f(x)$, $y=g(x)$のグラフの交点$(\alpha,\beta)$は

   \begin{align*}\beta=f(\alpha),\quad \beta=g(\alpha)\end{align*}

をともに満たしますから$f(\alpha)=g(\alpha)$が成り立ち,$\alpha$は方程式$f(x)=g(x)$の解ということになりますね(また今の議論は逆に辿っても成り立ちます).

この考え方が分かれば,証明もそれほど難しくないでしょう.

$x$を決めれば$f(x)$, $g(x)$は共に1つに決まるので,

  1. $\alpha$がグラフ$y=f(x)$, $y=g(x)$の共有点の$x$座標
  2. $\alpha$が方程式$f(x)=g(x)$の実数解

が同値であることを示せばよいですね.

[$(1)\Ra(2)$の証明] $\alpha$がグラフ$y=f(x)$, $y=g(x)$の共有点の$x$座標のとき,$f(\alpha)=g(\alpha)$をみたす.

すなわち,方程式$f(x)=g(x)$は$x=\alpha$を代入して成り立つから,$\alpha$は方程式$f(x)=g(x)$の実数解である.

[$(2)\Ra(1)$の証明] $\alpha$が方程式$f(x)=g(x)$の実数解のとき,$f(\alpha)=g(\alpha)$が成り立つ.

すなわち,$y=f(x)$のグラフと$y=g(x)$のグラフにおいて$x=\alpha$のときの$y$座標が等しいから,$\alpha$は$y=f(x)$, $y=g(x)$の共有点の$x$座標である.

条件$P$, $Q$が同値であるとは$P\Ra Q$と$Q\Ra P$の両方が成り立つことを言いますね.

具体例1

方程式$x^3-3x^2-2=0$の実数解の個数を求めよ.


$f(x)=x^3-3x^2-2$とする.関数$f$の導関数$f’$は

   \begin{align*}f'(x)=&3x^2-6x \\=&3x(x-2)\end{align*}

なので,方程式$f'(x)=0$を解くと$x=0,2$である.また,

   \begin{align*}&f(0)=0^3-3\times0^2-2=-2, \\&f(2)=2^3-3\times2^2-2=-6\end{align*}

なので,$f(x)$の増減表は

   \begin{align*}\begin{array}{c||c|c|c|c|c} x & \dots & 0 & \dots & 2 & \dots  \\ \hline f'(x) & + & 0 & - & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & -2 & \searrow& -6 & \nearrow \end{array}\end{align*}

となり,$y=f(x)$のグラフは下図のようになる.

Rendered by QuickLaTeX.com

これより,$y=f(x)$のグラフと$y=0$ ($x$軸)のグラフの共有点の個数は$1$個なので,方程式$x^3-3x^2-2=0$の実数解は$1$個である.

先ほどの定理から

  • $y=x^3-3x^2-2$と$y=0$の共有点の個数
  • 方程式$x^3-3x^2-2=0$の解の個数

が等しいことを使ったわけですね.

具体例2

実数$k$に対して,方程式$x^3-3x^2-2=k$の実数解の個数を求めよ.

具体例1と異なる点は右辺が$0$でなく$k$となっているところです.このときは

  • $y=x^3-3x^2-2$と$y=k$の共有点の個数
  • 方程式$x^3-3x^2-2=k$の解の個数

が等しいことを使えば良いですね.


$f(x)=x^3-3x^2-2$とすると,$y=f(x)$のグラフは例1と同じものになる.

よって,$xy$平面上の$y=f(x)$のグラフと$y=k$のグラフの共有点の個数を考えて,方程式$x^3-3x^2-2=k$をみたす解は

  • $k<-6$, $-2<k$のとき1個
  • $k=-6,-2$のとき2個
  • $-6<k<-2$のとき3個

である.

Rendered by QuickLaTeX.com

不等式の証明

微分を用いた不等式の証明も頻出なので触れておきましょう.

任意の実数$x$に対して,不等式$3x^4-2x^3-3x^2+2\geqq0$が成り立つことを示せ.


$f(x)=3x^4-2x^3-3x^2+2$とする.$f$の導関数$f’$は

   \begin{align*}f'(x) =&12x^3-6x^2-6x \\=&6x(2x^2-x-1) \\=&6x(2x+1)(x-1)\end{align*}

なので,$x$の方程式$f'(x)=0$を解くと$x=-\dfrac{1}{2},0,1$である.また,

   \begin{align*}&f\bra{-\frac{1}{2}}=3\bra{-\frac{1}{2}}^4-2\bra{-\frac{1}{2}}^3-3\bra{-\frac{1}{2}}^2+2=\frac{27}{16}, \\&f(0)=3\times0^4-2\times0^3-3\times0^2+2=2, \\&f(1)=3\times1^4-2\times1^3-3\times1^2+2=0\end{align*}

なので,増減表は

   \begin{align*}\begin{array}{c||c|c|c|c|c|c|c} x & \dots &-\frac{1}{2} & \dots & 0 & \dots & 1 & \dots  \\ \hline f'(x) & - & 0 & + & 0 & - & 0 & + \\ \hline f(x) & \searrow &\frac{27}{16} & \nearrow & 2 & \searrow & 0 & \nearrow \end{array}\end{align*}

となる.よって,$f(x)$の最小値は$0$だから,任意の実数$x$に対して不等式$3x^4-2x^3-3x^2+2\geqq0$が成り立つ.

Rendered by QuickLaTeX.com

$3x^4-2x^3-3x^2+2$の最小値が$0$以上であることを示すことで,不等式を示したわけですね.

管理人

プロフィール

山本やまもと 拓人たくと

元予備校講師.講師として駆け出しの頃から予備校の生徒アンケートで抜群の成績を残し,通常の8倍の報酬アップを提示されるなど頭角を表す.

飛び級・首席合格で大学院に入学しそのまま首席修了するなど数学の深い知識をもち,本質をふまえた分かりやすい授業に定評がある.

現在はオンライン家庭教師,社会人向け数学教室での講師としての教育活動とともに,京都大学で数学の研究も行っている.専門は非線形偏微分方程式論.大学数学系YouTuberとしても活動中.

趣味は数学,ピアノ,甘いもの食べ歩き.

Twitter・大学数学YouTube・公式LINEを見てみる
合格タクティクス

コメント

タイトルとURLをコピーしました