\usepackageamsmath\usepackageamsfonts\usepackageamssymb\usepackagefancybox\usepackagechemfig\usepackagepgfplots\pgfplotssetcompat=newest\usetikzlibraryintersections,calc,arrows

無限級数a₁+a₂+a₃+……の考え方|級数の収束を例題から理解する

極限
極限

例えば,等比数列12, 14, 18,116,について,初項から順に項を

    \begin{align*}\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\dots+\frac{1}{2^n}+\dots\end{align*}

と無限に足し続けていくと,どんどん1に近付いていくことが分かります(このことはこの記事の中で説明します).

このように,数列{an}について初項から順に無限に和をとっていくときの付き先を{an}無限級数といい,n=1anで表します.

この記事では

  • 数列の収束の復習
  • 無限級数の定義と具体例

を順に説明します.

数列の収束の復習

無限級数をきちんと定義するには数列の極限が必要なので,定義を確認しましょう.

数列{an}において,nを限りなく大きくするとき,anがある一定の値αに限りなく近づくならば,

    \begin{align*}\lim\limits_{n\to\infty}a_n=\alpha\end{align*}

または

    \begin{align*}a_n\to\alpha\quad(n\to\infty)\end{align*}

などと表し,数列{an}α収束するといい,αを数列{an}極限値という.

また,数列{an}が収束しないとき,数列{an}発散するという.

簡単な例をいくつか挙げると,

  • an=1+1nならlimnan=1
  • an=nならlimnan=
  • an=nならlimnan=
  • an=(1)nなら,数列{an}は振動する(発散する)

となりますね.

数列{an}が発散するが,正の無限大にも負の無限大にも発散しないとき,{an}振動するというのでした.

無限級数の定義と具体例

それでは,無限級数の説明に移ります.

無限級数の定義

一般項an=12n数列{an}を考えましょう.この数列は冒頭で考えた等比数列

    \begin{align*}\frac{1}{2},\ \frac{1}{4},\ \frac{1}{8},\ \frac{1}{16},\dots\end{align*}

ですね.この数列{an}の初項から第n項までの和をSnとしましょう.具体的に計算すると

  • S1=12
  • S2=12+14=34
  • S3=12+14+18=78
  • ……

となりますね.このようにできたS1,S2,S3,は数の並びなので{Sn}も数列になっていますね.

この数列{Sn}極限nを考えたものは,初項から

    \begin{align*}a_1+a_2+a_3+\dots+a_n+\dots\end{align*}

と無限に項を足していったものと考えることができます.

まさにこの考え方が無限級数で,きちんと定義を書くと次のようになります.

数列{an}に対して,初項から第n項までの和

    \begin{align*}S_n=\sum_{k=1}^{n}a_k(=a_1+a_2+\dots+a_n)\end{align*}

を考える.このときの数列{Sn}の極限をk=1akと表し,数列{an}無限級数という.

一般項がan=12nの等比数列{an}の場合,無限級数

    \begin{align*}\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\dots+\frac{1}{2^n}+\dots\end{align*}

k=112k, limnk=1n12kなどと表すわけですね.

あくまで無限級数は極限なので,

  • 極限limnk=1nakが存在するときk=1ak収束する
  • 極限limnk=1nakが存在しないときk=1ak発散する

といいます.また,無限級数k=1akに対して,途中までの和Sn=k=1nak部分和といいます.

収束する無限級数の具体例

一般項an=12n等比数列{an}の無限級数k=112kを求めよ.

結論から言えば,この級数は1となります.

のちの記事できちんと計算で求める方法を紹介しますが,ここでは直感的に図形の面積から求めてみましょう.

一辺の長さが1の正方形を用意すると,a1=12は下図の色がついた部分の面積です.

Rendered by QuickLaTeX.com

さらに,a2=14は下図の色がついた部分の面積です.

Rendered by QuickLaTeX.com

続いて,a3=18は下図の色がついた部分の面積です.

Rendered by QuickLaTeX.com

このように1辺の長さが1の正方形を

Rendered by QuickLaTeX.com

と区切っていくと,この正方形の面積はa1+a2+a3+極限であることが見てとれますね.

この正方形の面積は1×1=1ですから,

    \begin{align*}\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{2^k}=1\end{align*}

となることが分かります.

普通の極限と同じく無限級数も「足し合わせたときに近付く値」をいうのであって,実際にその値になるとは限らないことに注意しましょう.

いまの問題の無限級数k=112kも限りなく1に「近付いていく」のであって,いつか1になるわけではありません.

コメント