極限の基本1
lim(リミット)の意味は?極限の考え方

極限
極限

高校数学で学ぶ極限には

  • 関数の極限
  • 数列の極限

の2種類があります.

関数の極限は「関数$f(x)$の$x$をある実数$a$に近付けたときに,関数$f(x)$がどのような値に近付くのか」ということを述べるもので,高校数学では数学IIで微分法を学ぶ際に初めて扱います.

しかし,数学IIまでしか習わない人にとっては極限は微分を学ぶ時にしか現れないので,印象に残りにくい概念の1つです.

理系の人は数学IIIでは極限を頻繁に使うことになるので確実にしておく必要があります.

関数の極限と数列の極限の違いは次の記事に回し,この記事では数学IIで習う「関数の極限」について

  • 関数の極限
  • 極限と代入では何が違うのか?
  • 不定形

を順に説明します.

関数の極限の定義と具体例

まずは関数の極限の基本事項を整理します.

定義

「関数の極限」の定義は以下の通りです.

[関数の極限] 関数$f(x)$に対して,$x$が$a$と異なる値を取りながら$a$に限りなく近づくとき,$f(x)$がある一定の値$\alpha$に限りなく近付くならば,このことを

    \begin{align*} \lim\limits_{x\to a}f(x)=\alpha \end{align*}

または

$x \to a$のとき$f(x)\to\alpha$

と表し,「$x\to a$のとき$f(x)$は$\alpha$に収束する」といい,この$\alpha$を「$x\to a$のときの$f(x)$の極限値」という.

大切なことは「$x$が$a$と異なる値を取りながら$a$に限りなく近づける」という点です.

あくまで「$x=a$に近くなりはすれど$x=a$とはしない」というところに極限の良さがあります.

具体例

この「極限の良さ」を知るために,具体例を考えてみましょう.

例1

まずは単純な極限を考えましょう.

極限値$\lim\limits_{x\to3}(x^2+2x-3)$を求めよ.

$x\to3$のとき,$x^2+2x-3$は

    \begin{align*} 3^2+2\cdot3-3=12 \end{align*}

に近付く.すなわち,

    \begin{align*} \lim\limits_{x\to3}(x^2+2x-3)=12 \end{align*}

である.

例2

例1より少し複雑になっていますが,これも基本問題です.

極限値$\lim\limits_{x\to1}\dfrac{x^2-3x+2}{x-1}$を求めよ.

$\dfrac{x^2-3x+2}{x-1}$は

    \begin{align*} \frac{x^2-3x+2}{x-1} =&\frac{(x-1)(x-2)}{x-1} \\=&x-2 \end{align*}

となるから,

    \begin{align*} \lim_{x\to1}\frac{x^2-3x+2}{x-1}=\lim\limits_{x\to1}(x-2)=-1 \end{align*}

である.

極限と代入では何が違うのか?

例2では「$\dfrac{x^2-3x+2}{x-1}$の分母$x-1$は$x=1$で$0$になるけど大丈夫?」という疑問を持つ人がいるかもしれません.確かに

  • $x=1$とすると$\dfrac{x^2-3x+2}{x-1}$の分母が$0$になりますし
  • 数学では$0$で割ることはご法度です

が,極限においては問題ありません.

ワンポイント数学4
0で割るのは反則!ダメな理由を説明
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定義で書いたように$x\to a$はあくまで「$x$が$a$と異なる値を取りながら$a$に限りなく近づくとき」を考えているだけなので,$x\to1$の極限では$x$を1に近づけるだけであって$x=1$を代入するのではないのです.

つまり,「$x$を1に近づけたときに$\dfrac{x^2-3x+2}{x-1}$が近付いていく値」が

    \begin{align*} \lim_{x\to1}\frac{x^2-3x+2}{x-1} \end{align*}

の意味なのです.つまり,$x\to 1$の極限ではむしろ$x$は1にならないわけですね.

$x$が1にどれだけ近付いても$x\neq1$であれば分母は$0$にならなので,$\dfrac{x^2-3x+2}{x-1}$を考えることに問題はありませんね.

「極限」に慣れてくるとあたかも「代入」のように思えてしまいがちですが,以上のように

  • 極限をとること
  • 代入すること

は似て非なるものであることはきちんと意識しておいてください.

不定形

例2の$\lim\limits_{x\to1}\dfrac{x^2-3x+2}{x-1}$について,「$\dfrac{x^2-3x+2}{x-1}$は$x\to1$で分母も分子も$0$に近づくんやから,極限は$\dfrac{0}{0}$って書けばええやん」という疑問を持つ人もいるかもしれません.

これについては,次の問題と併せて考えてみましょう.

極限値$\lim\limits_{x\to1}\dfrac{2(x^2-3x+2)}{x-1}$を求めよ.

$\dfrac{2(x^2-3x+2)}{x-1}$は

    \begin{align*} \frac{2(x^2-3x+2)}{x-1} =&\frac{2(x-1)(x-2)}{x-1} \\=&2(x-2) \end{align*}

となるから,

    \begin{align*} \lim\limits_{x\to1}\dfrac{2(x^2-3x+2)}{x-1} =\lim\limits_{x\to1}2(x-2) =-2 \end{align*}

である.

この問題の$\lim\limits_{x\to1}\dfrac{2(x^2-3x+2)}{x-1}$でも約分せずに,分母も分子で$x\to1$の極限を考えると$\dfrac{0}{0}$の形になっていますね.

この問題も例2の問題も約分せずに極限を考えると$\dfrac{0}{0}$ですが,極限はそれぞれ$-2$と$-1$であり異なっています.つまり,同じ$\dfrac{0}{0}$の形をしていても極限が同じとは限らないわけですね.

このように,極限をとって$\dfrac{0}{0}$となるものは不定形といい,その名の通り$\dfrac{0}{0}$はどんな極限になるかは全く定まらない形になっているわけですね.

なお,分母も分子も$x\to1$で$0$になるということは,因数定理から分母も分子も$(x-1)$を因数にもつことになるので,上の計算では$x-1$で約分することで不定形が解消されてうまくいくわけですね.

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一般に不定形の極限では何らかの方法で不定形を解消することで,極限を求めることになります.

$\dfrac{0}{0}$の他にも,$\dfrac{\infty}{\infty}$, $0\cdot\infty$, $\infty-\infty$の形になるものも不定形と呼ばれ,これらもその時々によって極限値が変わってきます.

関数の極限と数列の極限の違い

数学IIIでは

  • 数列の極限
  • 関数の極限

の2つの極限を扱います.これらの違いを雑に考えていると,間違えてしまう問題もあるので注意が必要です.

例えば

  • 数列$\{a_n\}$を$a_n=\sin{(\pi n)}$
  • 関数$f(x)$を$f(x)=\sin{(\pi x)}$

とするとき,数列の極限$\lim\limits_{n\to\infty}a_n$と関数の極限$\lim\limits_{x\to\infty}f(x)$の答えは違ってきます.

次の記事では「数列の極限」と「関数の極限」の大きな2つの違いを説明します.

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