無限級数2|無限級数の発散条件と収束しない3つの例

前回の記事で説明したように,数列$\{a_n\}$に対して,$a_1+a_2+a_3+\dots$とずっと足していくときに,この和を

\begin{align*} \sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k \end{align*}

と表し,これを無限級数というのでした.

前回の記事では,「一般項が$a_n=\dfrac{1}{2^n}$の数列の無限級数」が1に収束することをみましたが,無限級数はいつでも収束するとは限りません.

むしろ収束しない無限級数はたくさんあります.

さて,一般に無限級数の収束・発散の判定は難しいのですが,「ある条件を満たす数列$\{a_n\}$の無限級数が発散することは一発で分かる」という無限級数の発散条件が知られています.

この記事では,[無限級数]の基本の発散条件を説明し,具体的に収束しない無限級数の例を考えます.

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無限級数の収束条件

次の事実は[無限級数]の収束について,基本的な性質です.

数列$\{a_n\}$に対して,無限級数$\dsum_{k=1}^{\infty}a_k$が収束すれば,$\lim\limits_{n\to\infty}a_n=0$が成り立つ.

無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$の第$n$項までの部分和を$S_n$とする.すなわち,

\begin{align*} S_n=\sum_{k=1}^{n}a_k \end{align*}

とする.$n\ge2$のとき,$S_n=a_1+a_2+\dots+a_n$, $S_{n-1}=a_1+a_2+\dots+a_{n-1}$なので,

\begin{align*} a_{n}=S_{n}-S_{n-1} \end{align*}

である.

また,$S_{n}$は収束する無限級数の部分和だったから

\begin{align*} \lim\limits_{n\to\infty}S_{n}=\lim\limits_{n\to\infty}S_{n-1} \end{align*}

が成り立つ.以上より

\begin{align*} \lim_{n\to\infty}a_{n} =&\lim_{n\to\infty}(S_n-S_{n-1}) \\=&\lim_{n\to\infty}S_{n}-\lim_{n\to\infty}S_{n-1} \\=&0 \end{align*}

が従う.

途中の

\begin{align*} \lim\limits_{n\to\infty}S_{n}=\lim\limits_{n\to\infty}S_{n-1} \end{align*}

の部分で「$S_{n-1}$と$S_n$は同じとは限らないのに,なんで極限$n\to\infty$とると同じになるんだろう?」と疑問を持った人も少なくないかもしれませんね.

そもそも,$\lim\limits_{n\to\infty}S_n$は「$n$を大きくしていくと$S_n$がどこに『近付くのか』」という意味なのでした.

$S_n$は収束する無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$の部分和でしたから,$n$を大きくしていくと

  • $S_n$は$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$に近付きますし,
  • $S_{n-1}$も$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$に近付きます.

$S_n$と$S_{n-1}$の$n\to\infty$での近付き先はともに$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$なので,

\begin{align*} \lim_{n\to\infty}S_{n} =\lim_{n\to\infty}S_{n-1} \bra{=\sum_{k=1}^{\infty}a_k} \end{align*}

が成り立つわけですね.このように,極限は「〜になる」ではなく「〜に近付く」であることが大切です.

これは極限のとても大切なところなので,必ず意識しておいてください.

さて,この定理は対偶を考えた次の[無限級数の発散条件]の形で考えることが多いです.

[無限級数の発散条件] 数列$\{a_n\}$に対して,$\lim\limits_{n\to\infty}a_n\neq0$であれば,無限級数$\dsum_{k=1}^{\infty}a_k$は収束しない.

直感的にも,$n$が大きくなっても$a_n$が0でないところを無限にさまよっていては,級数は収束しなさそうですよね.

つまり,無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$をみたとき,$\lim\limits_{n\to\infty}a_n\neq0$であれば一発で収束しない無限級数であることが分かるわけですね.

無限級数が収束しない例

無限級数の収束のイメージをとらえるためには,無限級数が収束しない例を考えるのも大切です.

例1

一般項が$a_n=1$の数列$\{a_n\}$の無限級数$\sum\limits_{n=1}^{\infty}a_n$が発散することを示せ.

問題の数列$\{a_n\}$は

  • $a_1=1$
  • $a_2=1$
  • $a_3=1$
  • ……

だから

\begin{align*} \lim_{n\to\infty} a_n=1 \end{align*}

である.よって,数列$\{a_n\}$は0に収束しないから,[無限級数の発散条件]から無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$は収束しない.

さて,収束しないことは以上で分かりましたが,このイメージをつむためにもう少し考えてみましょう.

初項から第$n$項までの和を$S_n$とすると,

  • $S_1=a_1=1$
  • $S_2=a_1+a_2=2$
  • $S_3=a_1+a_2+a_3=3$
  • ……

というように,この級数は無限に1を足していくので,

\begin{align*} S_n=&a_1+a_2+\dots+a_n \\=&1+1+\dots+1=n \end{align*}

ですから

\begin{align*} \sum_{k=1}^{\infty}a_k =&\lim_{n\to\infty}S_n \\=&\lim_{n\to\infty}n =\infty \end{align*}

となり,確かに発散しますね.

[無限級数の発散条件]を考えれば,実際に$S_n$を考えることなく瞬時に発散が得られるのが素晴らしいところですね.

例2

一般項が$a_n=(-1)^n$の数列$\{a_n\}$の無限級数$\sum\limits_{n=1}^{\infty}a_n$が発散することを示せ.

問題の数列$\{a_n\}$は

  • $a_1=(-1)^1=-1$
  • $a_2=(-1)^2=1$
  • $a_3=(-1)^3=-1$
  • $a_4=(-1)^4=1$
  • ……

だから,数列$\{a_n\}$は振動する.

よって,数列$\{a_n\}$は0に収束しないから,[無限級数の発散条件]から無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$は収束しない.

$a_n=(-1)^n$によって定められた数列$\{a_n\}$を考えます.この数列は

  • $a_1=(-1)^1=-1$
  • $a_2=(-1)^2=1$
  • $a_3=(-1)^3=-1$
  • $a_4=(-1)^4=1$
  • ……

というように1と$-1$が交互に出てくる数列です.

この数列は1と$-1$を無限に行き来するので,$\lim\limits_{n\to\infty} a_n$は存在しません.すなわち,$\{a_n\}$は発散するので,[無限級数の発散条件]から無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$は収束しません.

さて,収束しないことはまたしても[無限級数の発散条件]からすぐに分かりましたが,このイメージをつむためにもう少し考えてみましょう.

実際に,$a_n=(-1)^n$の部分和$S_n$を考えると,

  • $S_1=a_1=-1$
  • $S_2=a_1+a_2=0$
  • $S_3=a_1+a_2+a_3=-1$
  • $S_4=a_1+a_2+a_3+a_4=0$
  • ……

というように0と$-1$を往復することが分かります.

このように,$+\infty$や$-\infty$に発散しないものの,収束するわけでもないこの極限の状態を振動といいますね.詳しく書けば,

  • $n$が偶数のとき,

    \begin{align*} S_n=&\sum_{k=1}^{n}a_k \\=&a_1+a_2+\dots+a_n \\=&-1+1-\dots+1 \\=&0 \end{align*}

  • $n$が奇数のとき,

    \begin{align*} S_n=&\sum_{k=1}^{n}a_k \\=&a_1+a_2+\dots+a_n \\=&-1+1-\dots-1 \\=&-1 \end{align*}

なので,部分和$S_n$は0と$-1$の間を行き来するので,無限級数$\sum\limits_{k=1}^{n}a_k$は振動する,ということになります.

確かに,無限級数$\sum\limits_{k=1}^{n}a_k$が発散していることが分かりましたね.

例3

一般項が$a_n==\dfrac{1}{n}$の数列$\{a_n\}$の無限級数$\sum\limits_{n=1}^{\infty}a_n$は$\infty$に発散する.

この発散の証明は高校数学の重要な基本問題なのですが,この記事のテーマからは少し話が逸れるのでここでは「事実」として述べました.

[無限級数の発散条件]から,$\lim\limits_{n\to\infty} a_n=0$となっていなければ無限級数は発散するのでしたから,一度$a_n$の極限がどうなるかを考えると

\begin{align*} \lim_{n\to\infty} a_n =\lim_{n\to\infty} \dfrac{1}{n}=0 \end{align*}

となっていますから,$\{a_n\}$は0に収束しています.したがって,[無限級数の発散条件]を適用することはできません.

しかし,実はこの無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_n$は$\infty$に発散します.つまり

\begin{align*} \frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\dots+\frac{1}{n}+\dots=\infty \end{align*}

です.

「え?それってさっき書いたことと矛盾してへんの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが,矛盾していません.

というのは,[無限級数の発散条件]は

[無限級数の発散条件(再掲)] 数列$\{a_n\}$に対して,$\lim\limits_{n\to\infty}a_n\neq0$であれば,無限級数$\dsum_{k=1}^{\infty}a_k$は収束しない.

ということであって,この逆の「$\lim\limits_{n\to\infty} a_n=0$のときの無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$の発散・収束」については何も言っておらず,この[無限級数の発散条件]の逆は必ずしも成り立ち得ません.

そして,実際にこの$a_n=\dfrac{1}{n}$は「$\lim\limits_{n\to\infty}a_n=0$は満たすが,無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$が収束しない例」になっているわけです.

この無限級数が収束しないことを示す問題は高校数学でとても重要な問題の1つなのですが,その理由の説明にはまとまったスペースが必要なのでここでは割愛します.

無限級数$\dsum_{k=1}^{\infty}a_k$が収束するには$\lim\limits_{n\to\infty}a_n=0$が成り立つことが必要である.この対偶を考えると,$\lim\limits_{n\to\infty}a_n\neq0$なら無限級数$\dsum_{k=1}^{\infty}a_k$は発散することが分かる.

無限等比級数

等比数列$\{a_n\}$の無限級数$\sum\limits_{k=1}^{n}a_k$を無限等比級数といいます.

この記事で述べたように,一般に無限級数は収束・発散の判定がそもそも判定が難しいことも多いのですが,無限級数の中でも無限等比級数は収束・発散が簡単に分かり,収束する場合にはその極限値も簡単に分かる重要な無限級数です.

最後までありがとうございました!

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