無限級数1
無限級数の考え方を具体例から理解する

極限
極限

例えば,一般項が$a_n=\dfrac{1}{2^n}$の数列$\{a_n\}$について,初項から順に無限に項を足し続けていくとどのような値に近付くでしょうか?

つまり,

   \begin{align*}\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\dots+\frac{1}{2^n}+\dots\end{align*}

のように,項を無限に足していくとどのようになるでしょうか?

実は結果から言えば,この和は$1$に近付きます(このことはこの記事の中で説明します).

このように,数列$\{a_n\}$について初項から順に無限に和をとっていくときの和の近付き先を$\{a_n\}$の無限級数といい,$\sum\limits_{n=1}^{\infty}a_n$で表します.

無限級数は様々なところと絡んで出題されますから,いつでも対処できるようになっておきたい分野です.

数列の極限

無限級数をきちんと定義するには数列の極限が必要なので,定義を確認しましょう.

数列$\{a_n\}$において,$n$を限りなく大きくするとき,$a_n$がある一定の値$\alpha$に限りなく近づくならば,

   \begin{align*}\lim\limits_{n\to\infty}a_n=\alpha\end{align*}

または

   \begin{align*}a_n\to\alpha\quad(n\to\infty)\end{align*}

などと表し,数列$\{a_n\}$は$\alpha$に収束するといい,$\alpha$を数列$\{a_n\}$の極限値という.

また,数列$\{a_n\}$が収束しないとき,数列$\{a_n\}$は発散するという.

簡単な例をいくつか挙げると,

  • $a_n=1+\frac{1}{n}$なら$\lim\limits_{n\to\infty}a_n=1$
  • $a_n=n$なら$\lim\limits_{n\to\infty}a_n=\infty$
  • $a_n=-n$なら$\lim\limits_{n\to\infty}a_n=-\infty$
  • $a_n=(-1)^n$なら,数列$\{a_n\}$は振動する(発散する)

となりますね.

発散するが,正の無限大$\infty$にも負の無限大$-\infty$にも発散しないものを振動というのでした.

無限級数

それでは,無限級数の説明に移ります.

無限級数の定義

一般項が$a_n=\dfrac{1}{2^n}$の数列$\{a_n\}$を考えます.

数列$\{a_n\}$の初項から第$n$項までの和を$S_n$とすると,

  • $S_1=a_1=\dfrac{1}{2}$
  • $S_2=a_1+a_2=\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}=\dfrac{3}{4}$
  • $S_3=a_1+a_2+a_3=\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{8}=\dfrac{7}{8}$
  • ……

となりますね.このようにできた$S_1,S_2,S_3,\dots$は数の並びなので$\{S_n\}$は数列です.

この数列$\{S_n\}$で極限$n\to\infty$を考えたものは,初項から

   \begin{align*}a_1+a_2+a_3+\dots+a_n+\dots\end{align*}

と無限に項を足していったものと考えることができますね.

まさにこの考え方が無限級数で,定義をきちんと書くと次のようになります.

数列$\{a_n\}$に対して,初項から第$n$項までの和$S_n=\sum\limits_{k=1}^{n}a_k(=a_1+a_2+\dots+a_n)$を考える.

このときの数列$\{S_n\}$の$n\to\infty$の極限を数列$\{a_n\}$の無限級数といい,$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$と表す.すなわち,

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{\infty}a_k=\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{n}a_k\end{align*}

である.この極限が存在するとき無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$は収束するといい,極限が存在しないとき無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}a_k$は発散するという.

例えば,先ほど考えた一般項が$a_n=\dfrac{1}{2^n}$の数列$\{a_n\}$の場合の無限級数

   \begin{align*}\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\dots+\frac{1}{2^n}+\dots\end{align*}

  • $\sum\limits_{k=1}^{\infty}\dfrac{1}{2^k}$
  • $\lim\limits_{n\to\infty}\sum\limits_{k=1}^{n}\dfrac{1}{2^k}$

などと表せるわけですね.

どの表し方も同じものであることは当たり前にしておいてください.

無限級数の例

無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}\frac{1}{2^k}$を求めよ.

結論から言えば,この級数は$1$となります.

後の記事で計算で求める方法を紹介しますが,ここでは直感的に図形の面積から求めてみましょう.

直感的には$a_1=\dfrac{1}{2}$は下図の灰色の面積です.

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さらに,$a_2=\dfrac{1}{4}$は下図の灰色の面積です.

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続いて,$a_3=\dfrac{1}{8}$は下図の灰色の面積です.

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このように1辺の長さが1の正方形を

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と区切っていくと,この正方形の面積は$a_1+a_2+a_3+\dots$の極限であることが見てとれますね.

この正方形の面積は$1\times1=1$ですから,

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{2^k}=1\end{align*}

となることが分かります.

普通の極限と同じく,無限級数も「足し合わせたときに近付く値」をいうのであって,実際にその値になるとは限らないことに注意しましょう.

いまの問題の無限級数$\sum\limits_{k=1}^{\infty}\frac{1}{2^k}$も限りなく$1$に近付いていくのであって,$1$になるわけではありません.

無限級数の発散

この記事で扱った無限級数は収束する無限級数でしたが,無限級数はいつでも収束するわけではありません.

というより,どちらかというと発散するような無限級数は簡単に作れてしまいます.例えば,

  • $\sum\limits_{n=1}^{\infty}n=1+2+3+4+\dots$
  • $\sum\limits_{n=1}^{\infty}(-1)^n=-1+1-1+1-1+\dots$
  • $\sum\limits_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n}=\dfrac{1}{n}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}+\dots$

などは全て発散します.

次の記事では,

  • 無限級数の基本の発散条件
  • 発散する無限級数の具体例

を説明します.

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