「試験時間が足りない」というのは勉強中の人なら誰でもぶつかる問題で,その理由は
- そもそも全て解かせる気がない試験
- 単純に解くのが遅い
のどちらかであることがほとんどです.
「そもそも全て解かせる気がない試験」であれば,得意分野をきちんと選択して解く能力を求めていることが多く,この場合は試験時間が足りないことは大きな問題ではありません.
確かに解くスピードが上がれば有利にはなりますが,それでも本質的な解決にはならないことが多いです.
一方,「単純に解くのが遅い」であれば,「問題を解くスピードをアップさせる勉強法」が必要になりますね.
この記事では,この「問題を解くスピードをアップさせる勉強法」を解説します.
問題を解く勉強の2つの段階
問題を解く勉強の段階は大まかに2つに分けられます.
- 基本問題を解けるようにする段階
- 解けていた問題の理解を深める段階
(1)は「0を1にする段階」,(2)は「1を2,3,……にする段階」ということもできますね.
もし(1)の段階でつまずいている人は,問題を解けるようになるための勉強法について書いた以下の記事を参照してみてください.
さて,試験で通用するレベルに達するには(1)も(2)も大事なのですが,(1)で満足してしまうことが多いです.
もちろん(1)で解けなかった問題が解けるようになるのは素晴らしいことなのですが,実際の試験で点数を取れるようになるにはそれだけでは不十分なことが多いです.
その理由は簡単で「(ほとんどの)試験には制限時間があるから」ですね.
つまり,考えれば解ける問題を増やすだけでは試験で点数を取れるようにするのは難しく,解けていた問題をある程度のスピードで解けるようになっておくことが大事で,そのために(2)の段階が重要なわけですね.
段階(2)の中でもいくつかのレベルがあるので,問題を解く勉強の中で自分がどのレベルなのかを把握しておくことは大切です.
レベルの分け方は色々考えられますが,以下では4つのレベルに分けてどのような勉強をすれば良いのか説明していきます.
4つの理解レベル別の勉強法
以下では
- レベル1(知っているから解ける)
- レベル2(少し捻られても解ける)
- レベル3(他の知識と組み合わせられる)
- レベル4(初見の応用問題にも対応できる)
に分けて,それぞれのレベルでの勉強法を説明します.
レベル1(知っているから解ける)
段階(1)が終了した直後は考えて解いているわけではなく,解法を知っているから解けるだけの状態です.例えば,
- 数学の問題で与えられる数を変えた問題
- 英語の問題で単語を変えた問題
程度なら解けますが,少し捻られるだけで解けなくなるレベルです.
もしこれらの問題が解けないなら,まだ段階(1)の状態なので「基本問題を解けるようにする」ことを意識しましょう.
なぜ解けるかはまだ分かっていないので,問題が解けたとしても「なぜこれで解けるんですか?」と聞かれると「問題集でそうやって解いていたから」と答えるレベルです.
このレベル1の人はいくつか類問を解いて,それらが「なぜその解法で解けるのか」を意識して問題を解きましょう.
「なぜその解法で解けるのか」が分かるようになると,「こういう問題はこう解けるな」という感覚が身に付いてきます.
レベル2(少し捻られても解ける)
レベル1で「なぜその解法で解けるのか」が分かってくると,同じ「なぜ」が使える問題が解けるようになってきます.
少し捻られても「あ〜,少し見た目は違うけど,本質的にはあの問題と同じ方法で解けるな」ということが見えてきますが,このレベルではまだ他の知識と組み合わせるのは難しく応用問題には苦戦します.
レベル1を「動かないガイコツの雑魚モンスターを倒せるレベル」と例えるなら,レベル2は「ちょっと肉がついて動くモンスターを倒せるレベル」です.しかし,「まだアイテムの使い方が上手くないので,倒すのに少し時間がかかる」という状態でもあります.
ひとまず問題は解けるのでレベル2で満足してしまう人は多いのですが,(試験にもよりますが)このレベル2でも試験時間が足りないと感じることは多いでしょう.
つまり,「考えれば問題が解けることは解ける」というレベルなので,試験などで必要になる実践的なレベルには達していません.
このレベル2の人は「基本問題〜基本問題+α」程度のレベルで問題数をこなして,瞬発力を上げる勉強を意識しましょう.
瞬発力が上がると自然と「当たり前の基準」が上がってくるので,「ここまで落とし込めばあとは確実に解ける」という勝ちパターンが少しずつ見えてきます.
このレベル2では反復がとくに大事なので少し退屈な勉強が必要になりますが,自分のベースラインを上げる意識で問題に取り組みましょう.
レベル3(他の知識と組み合わせられる)
「当たり前の基準」が上がると,基本的なことは意識しなくても分かるようになってきます.
こうなると,ちゃんと考えたいところに思考を回せるようになるので,思考に余裕が出てきます.
基本問題はある程度のスピードで解けるようになっているので,試験でも基本問題が得点源にできるレベルになります.試験で戦うには最低限このレベル3になっておきたいところです.
また,他の知識と組み合わせたり,応用問題にも手が出せるようになってきますが,まだムラがあり解けたり解けなかったりします.
このレベル3の人は「問題を見て解法を最後まで言う」という見通す力をアップさせる訓練が有効です.
この勉強の良いところは実際に手を動かさないので,たくさんの問題に触れられる点です.
ただし注意が必要なのは,あまりに手を動かさないと実際の問題を解き切るために必要な腕力が弱くなるので,レベル2の「当たり前の基準」を保つ勉強も並行することも大切です.
レベル4(初見の応用問題にも対応できる)
問題を見通しよく解けるようになれば直感も磨かれてくるので,初見でも問題の「急所」が見えてきます.
このレベル4になるとかなりのもので,捻った問題を作ったりもできますが,しばらく触れないとレベル2まで落ちることもよくあります.
脳科学的にも一度に詰め込んだものは忘れやすく,何度も思い出した記憶は長期記憶に定着しやすいです.
そのため,忘れてしまわないように(もしくは忘れた頃に)きちんと復習することは意識してください.
コメント