問題集の選び方は非常に重要です.
今の自分にあった参考書で勉強しないと,「勉強しているのに成績が上がらない」ということに繋がります.また,問題集の使い方が下手だと,「勉強しているのに実力がつかない」ということも簡単に起こります.
問題集に載っている問題をただ単に量こなせばいいのではなく,やはり質も重要であることは意識しておかなければなりません.
この記事では,
- 問題集の選び方
- 問題集の使い方
の2点を説明します.
問題集の選び方のポイント
まず,これはよく言われることですが,自分にとって難しすぎる問題集,簡単すぎる問題集を使うのはよくありません.
それは,自分のレベルよりもかなり上の問題集を使ってもほとんど実力が身に付かず,また自分のレベルよりも下の問題集を使っても自分のレベルはあまり上がらないからです.
よって,一番初めに用意すべき問題集は「標準レベルの問題集」です.
「標準レベルの問題集」はある程度発展的な内容も含まれている上に,基本的な問題もそこそこ量含まれてることが多いです.このバランスの良さが重要です.
いま自分のレベルに合っているか合っていないかに関わらず,まずはこの「標準レベルの問題集」は用意しておくべきです.
自分の実力を把握しやすい
自分の実力を把握する重要性は【「勉強しているのに伸びない」という人によくある3つの原因】で説明しています.
自分の力を把握するために最も参考になるのが「問題が解けるか解けないか」です.
当たり前ですね.
ですが,その分野をある程度理解していても応用問題が解けることはありますし,あまり理解していなくても基本問題なら解けることはあります.
それが標準問題の場合は次の3つのパターンがあることでしょう.
- 全く手が付かない
- 考えれば解ける
- 普通に解ける
「1.全く手が付かない」なら基本が身に付いていません.「2.考えれば解ける」なら基本は身に付いているけど慣れていません.「3.普通に解ける」ならその分野はある程度身についています.
このように,標準問題はその分野の自分の力を把握するのにとても役立つのです.
試験点数が底上げされる
試験で合否が別れるのは,標準問題が解けるか否かです.応用問題が合否のボーダーラインになることはほとんどありません.
つまり,標準問題を確実に解けるようになれば,試験の点数はある程度期待できると言えます.
実際,旧帝大レベルの入試でも半分以上が標準レベルの問題であることが少なくありません.
標準問題が確実に取れるようになれば,合格にぐっと近づくのは間違いありません.
問題集の使い方の注意点
問題集はひとつの分野につき基本的に1,2冊です.3冊以上持っていても,目移りしてしまい結局効果は得られません.
1冊目は「標準レベルの問題集」ですが,2冊目を選ぶ場合は自分に合ったものを選びます.
「標準レベルの問題集」が難しいなら「基本レベルの問題集」を,「標準レベルの問題集」が易しいなら「入試問題集」や「応用レベルの問題集」を選びます.
ですが,基本的には「標準レベルの問題集」で十分です.
よくあるミス
「問題集を解いても身に付かない」という人によくあるミスとしては,次のようなことがあります.
問題集を解く → 身に付かない → 「参考書が合わない」と思う → 別の問題集を解く → 身に付かない → ……
これは本当によくあるミスです.さて,これのどこがミスなのかというと,それは「『参考書が合わない』と思う」です.
「いや,身に付かないってことは参考書が合ってないってことちゃうの?」
いいえ,違います.ここに多くの人の間違いがあるのです.
まず,一回やったことを一発ですべてできるようにほど,人間の頭はよくありません.九九でさえ,何回も繰り返して覚えなければなりません.
1回や2回解いただけで「身に付かない」という理由で放り出すことなど,勉強の姿勢としては有り得ません.
もし,途中で問題集を変えると,その問題集は初めからになります.問題集を変えると,前の問題集でやった内容が別の書き方をされていたりすることがあります.
そこで,また考え直さなければなりません.それでは前やったことが十分に生かされませんし,自分の形として身に付きません.
ですから,同じ参考書で自分の形を身に付けようとすることで,結果的に早くモノになります.
問題集はどれくらいやればいいのか
私は「同じ問題集で各分野を最低3周」やるように指導します.この後,「全部を通して2周」します.つまり,同じ問題を5回解いた事になります.
ただし,ただやるのではなく,その問題が解けた理由をちゃんと考えながら解くことが重要です.
これで,ほとんどの標準レベルの問題は解けるようになります.標準問題が確実に解けるなら,8割方完成したと思って良いでしょう.
なお,あとの2割は大学の傾向への対策です.
また,大学入試は「応用力を持っている人」が必ずしも受かるわけではなく,「基本的,標準的なことを正確に解ける人が受かる」ことが多いのです.
つまり,いろんな問題を解けることも大事ですが,それよりも標準レベルの問題をぱっと解ける人の方が点数が高いことは多いです.
(体力の問題が続くならば,)問題集をノンストップで一冊解き切ることができるような人が,大学入試では強いのです.
個人的には,この情報処理能力の優劣で合否が決まる傾向はよろしくないと思っているのですが,研究機関としてではなく社会人育成の面が強くなっている現在の大学制度の上では仕方がないことなのかもしれません.
話が逸れました.
1つの分野を1周して2周目に入ったとき,意外に解けないことに気付きます.「3日前に解いたばかりなのに解けない」となることがほとんどだと思います.
3周目,4周目でもまだ解けないことがあります.しかし,3周目以降はできる問題も多くなってきているはずなので,全問解く必要はありません.
しかし,少しでも心配な問題は必ず解くようにします.
このようにして,5周もすればほとんど解けるようになっているはずです.
しかし,これでもまだ「ほとんど」の段階です.入試ではその「ほとんど」から洩れたできない部分が狙われます.ですから,そのあとはできない部分を仕上げることに力を注ぎます.
問題集は1周するだけでは不十分だということは頭に入れておいてください.
コメント