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工業的製法3|接触法

この記事では,工業的製法である「接触法」を説明します.

「接触法」とともに,高校化学で習う名前の付いた重要な工業的製法を挙げるとすると次の5つです.

  1. オストワルト法
  2. ハーバー・ボッシュ法
  3. 接触法
  4. アンモニアソーダ法(ソルベー法)
  5. クメン法

他にもアルミニウムなどの重要な工業的製法もありますが,上に挙げた5つは特に重要なのでキッチリ覚えてください.

「接触法」は「オストワルト法」に似ています.

「オストワルト法」はアンモニア\mathrm{NH_3}をどんどん酸化させて,一酸化窒素\mathrm{NO_2},二酸化窒素\mathrm{NO_2}と変化させ,最後に水に溶かして硝酸\mathrm{HNO_3}としました.

一方,「接触法」は硫黄\mathrm{S}をどんどん酸化させて,二酸化硫黄\mathrm{SO_2}三酸化硫黄\mathrm{SO_3}と変化させ,最後に濃硫酸と希硫酸で処理して濃硫酸\mathrm{H_2SO_4}を作ります.

なお,「接触法」は「接触式硫酸製造法」ともいいますが,「接触法」の方がよく使われる名前です.

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接触法の流れ

「接触法」は硫黄\mathrm{S}から濃硫酸\mathrm{H_2SO_4}をつくる製法です.

簡単な流れは,次の通りです.

  1. 硫黄\mathrm{S}を酸化させて,二酸化硫黄\mathrm{SO_2}をつくる.
  2. 二酸化硫黄\mathrm{SO_2}を酸化させて,三酸化硫黄\mathrm{SO_3}をつくる.
  3. 三酸化硫黄\mathrm{SO_3}を濃硫酸に吸収させ,希硫酸で薄めて濃硫酸\mathrm{H_2SO_4}をつくる.

用意するものは,

硫黄\mathrm{S},酸素\mathrm{O},酸化バナジウム(V)\mathrm{V_2O_5},濃硫酸,希硫酸

です.接触法は濃硫酸を作るのですが,そのためにもともと作っておいた濃硫酸,希硫酸が必要です.また,酸化バナジウム(V)\mathrm{V_2O_5}は触媒です.

なお,硫酸の性質については「希硫酸,濃硫酸,熱濃硫酸の違いと7つの性質」に書いています.

硫黄を燃焼させる

二酸化硫黄\mathrm{SO_2}硫黄\mathrm{S}を燃焼させると発生します.

\mathrm{S + O_2 \to SO_2}

二酸化硫黄を三酸化硫黄SO3にする

酸化バナジウム(V)\mathrm{V_2O_5}に二酸化硫黄\mathrm{SO_2}を触れさせて酸素\mathrm{O_2}を吹き付けます.

すると,酸化バナジウム(V)\mathrm{V_2O_5}は触媒としてはたらき,二酸化硫黄\mathrm{SO_2}が酸化されて三酸化硫黄\mathrm{SO_3}になります.

\mathrm{2SO_2 + O_2 \to 2SO_3}

なお,ここで酸化バナジウム(V)\mathrm{V_2O_5}に二酸化硫黄\mathrm{SO_2}を「接触」させるので,「接触法」と言われます.

三酸化硫黄SO3を濃硫酸に吸収させる

三酸化硫黄\mathrm{SO_3}濃硫酸\mathrm{H_2SO_4}aqに溶かします.

\mathrm{SO_3 + H_2SO_4 \to H_2S_2O_7}

三酸化硫黄を溶かした濃硫酸\mathrm{H_2S_2O_7}を「発煙硫酸」と言いますが,覚えていなくても構いません.

本来は,「発煙硫酸」は\mathrm{H_2SO_4}をも含んだ平衡状態の溶液のことを言いますが,\mathrm{H_2S_2O_7}であるとしておいた方が分かり易いので,ここではそうしています(後述の補足も参照).

発煙硫酸を希硫酸で希釈する

発煙硫酸\mathrm{H_2S_2O_7}に希硫酸を加えると,希硫酸中の\mathrm{H_2O}発煙硫酸\mathrm{H_2S_2O_7}に溶けた三酸化硫黄\mathrm{SO_3}と反応して濃硫酸となります.

\mathrm{SO_3 + H_2O \to H_2SO_4}

ここでの注意点は,「発煙硫酸」はあくまで平衡溶液の名前であって,「発煙硫酸」という物質ではないことです.したがって,「発煙硫酸と反応する」ということは有り得ないことに注意してください.

結局,希硫酸中の\mathrm{H_2O}と「発煙硫酸」に溶けている三酸化硫黄\mathrm{SO_3}が反応するというわけです.

三酸化硫黄を硫酸に溶かすステップについての補足

上の説明では,三酸化硫黄\mathrm{SO_3}

  1. 濃硫酸に溶かし(発煙硫酸にしてから)
  2. 希硫酸と反応させる

と2つのステップを踏みました.

しかし,高校化学ではこのあたりの細かい話を抜きにして,「三酸化硫黄\mathrm{SO_3}を硫酸中の水と反応させて濃硫酸\mathrm{H_2SO4}とする.」としてしまうこともよくあります.したがって,3つ目の

\mathrm{SO_3 + H_2SO_4 \to H_2S_2O_7}

は高校化学では扱わないのが普通です.

このことからも,発煙硫酸は発展的な内容で普通は覚える必要がないことが分かります.が,個人的にはこの辺りの事情はそれほど難しい話でもないと思い,敢えて書いています.

まとめ

以上をまとめると,接触法は以下のようになります.

\left\{\begin{matrix} \mathrm{S+O_2}&\to&\mathrm{SO_2}\\ \mathrm{2SO_2+O_2}&\to&\mathrm{2SO_3}\\ \big(\mathrm{SO_3+H_2SO_4}&\to&\mathrm{H_2S_2O_7}\big)\\ \mathrm{SO_3+H_2O}&\to&\mathrm{H_2SO_4} \end{matrix}\right.

\mathrm{S}\xrightarrow[]{+\mathrm{O}}\mathrm{SO_3}\big(\xrightarrow[]{+\mathrm{H_2SO_4}}\mathrm{H_2S_2O_7}\big)\xrightarrow[]{+\mathrm{H_2O}}\mathrm{H_2SO_4}

次の記事「工業的製法4|アンモニアソーダ法(ソルベー法)」に続きます.

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