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工業的製法1|オストワルト法

  
   

この記事では,工業的製法である「オストワルト法」を説明します.

「オストワルト法」とともに,高校化学で習う名前の付いた重要な工業的製法を挙げるとすると次の5つです.

  1. オストワルト法
  2. ハーバー・ボッシュ法
  3. 接触法
  4. アンモニアソーダ法(ソルベー法)
  5. クメン法

他にもアルミニウムなどの重要な工業的製法もありますが,上に挙げた5つは名前が問われてもおかしくないくらい特に重要なので,キッチリ覚えてください.

「オストワルト法」はアンモニア\mrm{NH_3}から硝酸\mrm{HNO_3}をつくる製法です.

流れとしては,アンモニア\mrm{NH_3}をどんどん酸化させて,一酸化窒素\mrm{NO},二酸化窒素\mrm{NO_2}と変化させ,最後に水に溶かして硝酸\mrm{HNO_3}とします.

また,アンモニア\mrm{NH_3}を酸化させるときは高温にしなければならないのも,地味なポイントですが覚えておきたいところです.

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実験室的製法と工業的製法

製法は大まかに分けると,「工業的製法」と「実験室的製法」がありますが,まずこの違いを説明しておきます.

まず,「工業的製法」はビジネス用の製法で,最も利益の上がるように物質を生成したいので,「無駄がなく安く物質をつくる製法」のことをいいます.

「工業的」ですから,ガンガン圧力をかけたり,ガンガン高温にすることができます.これは「工業的」ならではの方法と言えます.

一方,「実験室的製法」は物質の性質を調べたりするための製法なので,「純粋な(他の物質があまり混ざっていない)物質をつくる製法」です.

「実験室的」ですから,「工業的」とは違って高圧,高温という操作はあまりありません.せいぜいガスバーナーで加熱する程度です.「実験室的製法」は机の上で静かに物質を生成でき,大掛かりな装置などはありません.

このことに注意してみると,工業的製法,実験室的製法の反応式に少し違った見方ができ,面白いかもしれません.

「工業的製法」は利益のために「無駄なく安く」が基本,「実験室的製法」は実験のために「純粋な物質を作る」のが基本.また,「工業的製法」は非常に高温,高圧にできたりするのも特徴.

オストワルト法の流れ

「オストワルト法」の流れは,次の通りです.

  1. アンモニア\mrm{NH_3}を酸化させて,一酸化窒素\mrm{NO}をつくる.
  2. 一酸化窒素\mrm{NO}を酸化させて,二酸化窒素\mrm{NO_2}をつくる.
  3. \mrm{NO_2}を水に溶かして硝酸\mrm{HNO_3}をつくる.

ですから,必要なものは

  1. アンモニア\mrm{NH_3}
  2. 酸素\mrm{O_2}
  3. \mrm{H_2O}

です.

一酸化窒素NOをつくる

アンモニア\mrm{NH_3}と酸素\mrm{O_2}を800℃の白金触媒に触れさせることで,次の反応が起こります.

\mrm{4NH_3 + 5O_2 \to 4NO + 6H_2O}

ここで,800℃と非常に高温にできるあたり,「実験室的製法」でなく「工業的製法」な感じが出ていますね.

二酸化窒素NO2をつくる

一酸化窒素\mrm{NO}は140度以下で空気中の酸素\mrm{O_2}と容易に反応して,次の反応が起こります.

\mrm{2NO + O_2 \to 2NO_2}

硝酸HNO3をつくる

二酸化窒素\mrm{NO_2}は水によく溶け,酸性を示します.この酸の正体が硝酸\mrm{HNO_3}で,反応は次のようになっています.

\mrm{3NO_2 + H_2O \to 2HNO_3 + NO}

一酸化窒素\mrm{NO}→二酸化窒素\mrm{NO_2}→硝酸\mrm{HNO_3}

注意点

「オストワルト法」での注意点は次の2つです.

  1. 一酸化窒素\mrm{NO}を作るときに高温にする理由
  2. 最後に出てきた一酸化窒素\mathrm{NO}の処理

1は一酸化窒素\mrm{NO}が低温下では簡単に分解してしまうことがポイントで,2は「オストワルト法」が「工業的製法」であることがポイントです.

一酸化窒素NOを作るときに高温にする理由

一酸化窒素\mrm{NO}を作るとき,「アンモニア\mrm{NH_3}と酸素\mrm{O_2}を1で800℃の白金触媒に触れさせる」と書きました.

このように温度を高くしなければならないのは,一酸化窒素\mrm{NO}に関する反応

\mrm{N_2 + O_2 \to 2NO}

が吸熱であることが理由です.このことから,逆反応が起こればそれは発熱反応ということになります.

詳しく書くと,逆反応が発熱反応なので,低温なら温度を上げようとして平衡が左に移動してしまい(ルシャトリエの原理),生成した一酸化窒素\mrm{NO}が分解してしまうためです.

【参考記事:工業的製法2|ハーバー・ボッシュ法,ルシャトリエの原理

低温下で反応させようとすると,[ルシャトリエの原理]から温度を上げようとする.よって,発熱反応である逆反応が起こり,反応が進まなくなってしまう.

一酸化窒素NOの再利用

「工業的製法」は「無駄なく安く」が基本だったことを思い出すと,最後の反応

\mrm{3NO_2 + H_2O \to 2HNO_3 + NO}

で出てきた一酸化窒素\mrm{NO}をこのまま棄てるのは「無駄」が出てしまうことになり,良くありません.

そこで,「最後に出てきた」一酸化窒素\mrm{NO}を「最初に作った」一酸化窒素\mrm{NO}に混ぜて「再利用」します.こうすることで無駄が減り,経済的な製法になります.

オストワルト法に限らず,工業的製法では「再利用」がよく行われます.工業的製法を考えるときには,どのような「営業努力」が行われているのかを考えると少し面白いかもしれません.

最後の反応で生成する一酸化窒素\mrm{NO}は再利用する.

工業的製法2|ハーバー・ボッシュ法,ルシャトリエの原理】に続きます.

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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