【Sponsored Link】

式の計算の基本5|多項式の割り算

前の記事「式の計算の基本4|平方完成と2次方程式の解の公式」の続きです.

前回までで2次式関係の重要事項は書き終えたので,この記事から3次以上の多項式についての話題に移ります.

3次以上の多項式においても因数分解が重要であることが多く,そのためには多項式の扱いに慣れておく必要があります.その扱い基本として,「多項式の割り算」が挙げられます.

この記事では,「整数の割り算」との対応関係を気にしつつ「多項式の割り算」について説明します.

【Sponsored Link】

整数の割り算

小学校では「7\div3=2あまり1」と習います.割り算を習いたての小学生にとっては,余りのある割り算はこのように表すものですが,数学的にみればあまり良くない表記です.

数学的には「7\div3=2あまり1」を次のように書きます.

7=3\times2+1

言葉で書くと,「73\times2よりも1大きい」ということですね.一つの完全な式になり,「~あまり……」という表記よりも扱いやすくなりました.

これを踏まえて,次のように定義されます.

正の整数abに対し,

a=Pb+Q

かつ

Q<b

となる整数PQをそれぞれ「abで割った商,余り」という.

a0以下の整数でも構わないのですが,簡単のため正の整数としています.

また,Q<bというのは,余りQが割る数bより大きくてはマズイというだけで,具体的には7\div3=1あまり4というのがマズイということを言いたいだけです.

この「整数の割り算」の考え方を「多項式の割り算」に適用してみようというのが次の節です.

多項式の割り算

この節では「多項式の割り算」をどのように考えれば良いかについて説明しますが,その考え方は「整数の割り算」と似ていて,多項式の割り算の商と余りも次のように定義します.

0でない多項式f(x)g(x)に対し,

f(x)=P(x)g(x)+Q(x)

かつ

(Q(x)の次数)<(g(x)の次数)

となる多項式P(x)Q(x)をそれぞれ「f(x)g(x)で割った商,余り」という.

たとえば,

  1. 2x^3-x^2-6=(2x-3)(x^2+x+1)+x-3
  2. x^3+2x^2+2x+3=(x^2+x+1)(x+1)+2
  3. 3x^4+x^3-2x^2+x+2=(3x^2+4x-7)(x^2-x+3)-18x+23

が成り立つ(なぜこれが成り立つのかは,すぐ後の「多項式の割り算の計算」を参照)ので,

  1. 2x^3-x^2-6x^2+x+1で割った商は2x-3,余りはx-3
  2. x^3+2x^2+2x+3x+1で割った商はx^2+x+1,余りは2
  3. 3x^4+x^3-2x^2+x+2x^2-x+3で割った商は3x^2+4x-7,余りは-18x+23

となります.

多項式の割り算の計算

「多項式の割り算」を実際に計算する方法として「筆算」があります.「整数の割り算」の「筆算」のような流れでするのですが,違うところもあるので,これは具体例で実際に方法を説明する方が良いと思います.

上の3つの例を用います.

筆算の例1

2x^3-x^2-6x^2+x+1で割った商と余りを求めます.

Step1) x^2+x+12xをかければ2x^3+2x^3+2xとなるので,2x^3-x^2-6から引くと-3x^2-2x-6となります.

\begin{matrix} &&2x&&&& \\ \cline{2-6} x^2+x+1&\!\!\!\big)&2x^3&-x^2&&-6&\\ &&2x^3&2x^2&2x&&\leftarrow&(x^2+x+1)\times 2x\\ \cline{2-6} &&&-3x^2&-2x&-6& \end{matrix}

Step2) x^2+x+1-3をかければ-3x^3-3x^3-3xとなるので,-3x^2-2x-6から引くとx-3となります.

\begin{matrix} &&2x&-3&&& \\ \cline{2-6} x^2+x+1&\!\!\!\big)&2x^3&-x^2&&-6&\\ &&2x^3&2x^2&2x&&\leftarrow&(x^2+x+1)\times 2x\\ \cline{2-6} &&&-3x^2&-2x&-6&\\ &&&-3x^2&-3x&-3&\leftarrow&(x^2+x+1)\times (-3)\\ \cline{2-6} &&&&x&-3& \end{matrix}

x-9はこれ以上x^2+x+1で割れないので,最終的に上に立った2x-3が商で,下に染み出してきたx-3が余りとなります.

筆算の例2

x^3+2x^2+2x+3x+1で割った商と余りを求めます.

Step1) x+1x^2をかければx^3+x^2となるので,x^3+2x^2+2x+3から引くとx^2+2x+3となります.

\begin{matrix} &&x^2&&&& \\ \cline{2-6} x+1&\!\!\!\big)&x^3&2x^2&2x&3&\\ &&x^3&x^2&&&\leftarrow&(x+1)\times x^2\\ \cline{2-6} &&&x^2&2x&3& \end{matrix}

Step2) x+1xをかければx^2+xとなるので,x^2+2x+3から引くとx+3となります.

\begin{matrix} &&x^2&+x&&& \\ \cline{2-6} x+1&\!\!\!\big)&x^3&2x^2&2x&3&\\ &&x^3&x^2&&&\leftarrow&(x+1)\times x^2\\ \cline{2-6} &&&x^2&2x&3&\\ &&&x^2&x&&\leftarrow&(x+1)\times x\\ \cline{2-6} &&&&x&3& \end{matrix}

Step3) x+11をかければx+1となるので,x+3から引くと2となります.

\begin{matrix} &&x^2&x&1&& \\ \cline{2-6} x+1&\!\!\!\big)&x^3&2x^2&2x&3&\\ &&x^3&x^2&&&\leftarrow&(x+1)\times x^2\\ \cline{2-6} &&&x^2&2x&3&\\ &&&x^2&x&&\leftarrow&(x+1)\times x\\ \cline{2-6} &&&&x&3&\\ &&&&x&1&\leftarrow&(x+1)\times 1\\ \cline{2-6} &&&&&2& \end{matrix}

2はこれ以上x+1で割れないので,最終的に上に立ったx^2+x+1が商で,下に染み出してきた2が余りとなります.

筆算の例3

3x^4+x^3-2x^2+x+2x^2-x+3で割った商と余りを求めます.今までのように筆算をすれば,

\begin{matrix} &&3x^2&4x&-7&&\\ \cline{2-7} x^2-x+3&\!\!\!\big)&3x^4&x^3&-2x^2&x&2\\ &&3x^4&-3x^3&9x^2&&\\ \cline{2-7} &&&4x^3&-11x^2&x&2\\ &&&4x^3&-4x^2&12x&\\ \cline{2-7} &&&&-7x^2&-11x&2\\ &&&&-7x^2&7x&-21\\ \cline{2-7} &&&&&-18x&23 \end{matrix}

となるので,3x^2+4x-7が商で,下に染み出してきた-18x+23が余りです.

多項式の割り算の筆算の仕組み

多項式の割り算を筆算を上で説明しましたが,なぜこれで多項式の割り算ができているのか疑問に思う人もいると思います.そこで,この筆算がどのような式変形に対応しているのかをみます.

たとえば,上の「例3」では3x^4+x^3-2x^2+x+2x^2-x+3で割った商と余りを筆算で求めましたが,この筆算がどのような式変形になっているのかを以下で見比べます.

\begin{matrix} &&\underline{3x^2}&\underline{4x}&\underline{-7}&&\\ \cline{2-7} x^2-x+3&\!\!\!\big)&3x^4&x^3&-2x^2&x&2\\ &&3x^4&-3x^3&9x^2&&\\ \cline{2-7} &&&4x^3&-11x^2&x&2\\ &&&4x^3&-4x^2&12x&\\ \cline{2-7} &&&&-7x^2&-11x&2\\ &&&&-7x^2&7x&-21\\ \cline{2-7} &&&&&-18x&23 \end{matrix}

3x^4+x^3-2x^2+x+2
=\underline{3x^2}(x^2-x+3)+4x^3-11x^2+x+2
=3x^2(x^2-x+3)+\underline{4x}(x^2-x+3)-7x^2-11x+2
=3x^2(x^2-x+3)+4x(x^2-x+3)\underline{-7}(x^2-x+3)-18x+23
=(3x^2+4x-7)(x^2-x+3)-18x+23

式変形のA(x^2-x+3)+BAの部分が筆算の上に順に立っていき,Bの部分が引いたあとの数になっていますね.無理矢理x^2-x+3を作り出して,余りの部分が1次ずつ減っているのが分かります.

このように式変形と筆算が対応しており,筆算はこの式変形を行ってたと同じだと分かり,筆算の正当性が分かるわけです.

「多項式の割り算」は非常に重要なので,確実に身に付けて下さい.

次の記事「式の計算の基本6|因数定理と剰余の定理」に続きます.

【Sponsored Link】

SNSでもご購読できます。