多項式5
2次方程式の判別式で実数解の個数を判別する

多項式
多項式

まずは次の問題を考えましょう.

次の2次方程式は実数解を何個もつか.

  • $x^2-2x-3=0$
  • $x^2-3x+3=0$

2次方程式$x^2-2x-3=0$は

   \begin{align*}x^2-2x-3=0 \iff(x-3)(x+1)=0 \iff x=3,-1\end{align*}

と具体的に解けて実数解を2個もつことが分かります.一方,$x^2-3x+3=0$の左辺は平方完成により

   \begin{align*}x^2-3x+3 =\bra{x-\frac{3}{2}}^2+\frac{3}{4} >0\end{align*}

となるので,$x^2-3x+3=0$は実数解を持ち得ないことが分かります.

しかし,これら2問のように解いたり平方完成しないと実数解を持つかどうか分からないのは少々不便ですね.

そこで実数解の個数を求める何らか方法があれば嬉しいわけですが,実は判別式というものを用いることで実数解の個数を求めることができます.

また,2次方程式が実数解をもたない場合には虚数解というものを考えることができます.

この記事では,

  • 2次方程式の判別式
  • 虚数解

について説明します.

判別式

まずは2次方程式の実数解の個数が分かる判別式について説明します.

2次方程式の解の公式の復習

まずは前回の記事で説明した2次方程式の解の公式を思い出しましょう.

$a$, $b$, $c$を実数とする.2次方程式$ax^2+bx+c=0$の解は

   \begin{align*}x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\end{align*}

と表せる.

多項式4
2次方程式の解の公式の導出と使い方
2次方程式はまず公式を使って因数分解できないか考えますが,公式を使うのが難しい場合にも「平方完成」や「2次方程式の解の公式」により解くことができます.この記事ではこれら2つの解法を説明しています.

実数解の個数を考える上で重要な部分はこの2次方程式の解の公式の$\pm\sqrt{b^2-4ac}$です.ここで,一般に

  • $A\geqq0$のとき$\sqrt{A}$は$0$以上の実数
  • $A<0$のとき$\sqrt{A}$は実数でない

となることを思い出しておきましょう.

もし$b^2-4ac>0$であれば$\sqrt{b^2-4ac}$は正の実数なので,実数解は$\dfrac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$, $\dfrac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$の2つですね.

また,$b^2-4ac>0$であれば$\sqrt{b^2-4ac}=-\sqrt{b^2-4ac}=0$なので,実数解は$\dfrac{-b}{2a}$の1つのみとなります.

最後に,$b^2-4ac<0$であれば$\sqrt{b^2-4ac}$は実数ではありませんから,実数解はもち得ません.

このように2次方程式の解の公式の$\sqrt{b^2-4ac}$の中身の正負に注目することで,実数解の個数を実際に解くことなく調べられるわけですね.

判別式の定義

$a$, $b$, $c$を実数とする.2次方程式$ax^2+bx+c=0\dots(*)$に対して,

   \begin{align*}D=b^2-4ac\end{align*}

を2次方程式$(*)$の判別式 (discriminant)という.

歴史的には$D=b^2-4ac$を「2次式$ax^2+bx+c$の判別式」と言っても間違いではありません.

さて,先ほど説明したことをまとめると次のようになりますね.

$a$, $b$, $c$を実数とする.2次方程式$ax^2+bx+c=0\dots(*)$の判別式を$D$に対して,次が成り立つ.

  • $D>0\iff$方程式$(*)$が実数解をちょうど2個もつ
  • $D=0\iff$方程式$(*)$が実数解をちょうど1個もつ
  • $D<0\iff$方程式$(*)$が実数解をもたない

つまり,判別式$D$が$D>0$, $D=0$, $D<0$のどれを満たすかで実数解の個数が完全に判別できるわけですね.

判別式の具体例

以下の2次方程式の実数解の個数を求めよ.

  1. $x^2-2x+2=0$
  2. $x^2-3x+2=0$
  3. $-2x^2-x+1=0$
  4. $3x^2-2\sqrt{3}x+1=0$

(1) $x^2-2x+2=0$の判別式は

   \begin{align*}(-2)^2-4\cdot1\cdot2=4-8=-4<0\end{align*}

なので,実数解の個数は0個です.

(2) $x^2-3x+2=0$の判別式は

   \begin{align*}(-3)^2-4\cdot1\cdot2=9-8=1>0\end{align*}

なので,実数解の個数は2個です.

(3) $-2x^2-x+1=0$の判別式は

   \begin{align*}(-1)^2-4\cdot(-2)\cdot1=1+8=9>0\end{align*}

なので,実数解の個数は2個です.

(4) $3x^2-2\sqrt{3}x+1=0$の判別式は

   \begin{align*}(-2\sqrt{3})^2-4\cdot3\cdot1=12-12=0\end{align*}

なので,実数解の個数は1個です.

2次方程式の虚数解

さて,2次方程式の実数解の個数を判別式で判定できるようになりましたが,実数解を持たない場合に「解を持たない」と言ってしまってよいのでしょうか?

少なくとも,$b^2-4ac<0$の場合にも形式的には

   \begin{align*}x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\end{align*}

と表せるので,$\sqrt{A}$が$A<0$の場合にもうまくいくように考えたいところです.

虚数

そこで次のような数を定めましょう.

2乗して$-1$になる数を虚数単位といい$i$で表す.

この定義から

   \begin{align*}i^2=-1\end{align*}

ですね.実数は2乗すると必ず0以上の実数となるので,この虚数単位$i$は実数ではない「ナニカ」ということになります.

さて,$i$を単なる文字のように考えると,たとえば

   \begin{align*}(2i)^2=2^2i^2=4\cdot(-1)=-4\end{align*}

ということになります.

一般に,虚数単位$i$は$i^2=-1$を満たす文字のように扱うことができ,$a+bi$ ($a$, $b$は実数,$b\neq0$)で表される数を虚数と呼びます.

虚数について詳しくは数学IIIで学ぶことになりますが,以下の記事は数学IIIが不要な人にも参考になる内容なので,参照してみてください.

複素数1
虚数って一体なに?複素数の考え方と基礎知識
数学IIで2次方程式を解くために少し登場した複素数ですが,数学IIIではこの複素数が1つの大きな分野として登場します. 実数は数直線上に図示して「見る」ことができるように,複素数も図示して「見る」ことができます. そのため,一度...

2次方程式の虚数解

虚数単位を定めると$A<0$の場合の$\sqrt{A}$も虚数単位を用いて表すことができるので,実数解を持たない2次方程式の解を虚数として表すことができます.

次の2次方程式を解け.

  1. $x^2+1=0$
  2. $x^2+3=0$
  3. $x^2+2x+2=0$

(1) 2次方程式の解の公式より,$x^2+1=0$の解は

   \begin{align*}x=&\frac{-0\pm\sqrt{0^2-4\cdot1\cdot1}}{2\cdot1} \\=&\frac{\pm\sqrt{-4}}{2} =\frac{\pm2i}{2} =\pm i\end{align*}

となります.なお,$i^2=-1$, $(-i)^2=-1$なので,パッと$x=\pm i$と答えることもできますね.

(2) 2次方程式の解の公式より,$x^2+3=0$の解は

   \begin{align*}x=&\frac{-0\pm\sqrt{0^2-4\cdot1\cdot3}}{2\cdot1} \\=&\frac{\pm\sqrt{-12}}{2} =\frac{\pm2\sqrt{3}i}{2} =\pm\sqrt{3}i\end{align*}

となります.なお,(1)と同様に$(\sqrt{3}i)^2=-3$, $(-\sqrt{3}i)^2=-3$なので,パッと$x=\pm\sqrt{3}i$と答えることもできますね.

(3) 2次方程式の解の公式より,$x^2+2x+2=0$の解は

   \begin{align*}x=&\frac{-2\pm\sqrt{2^2-4\cdot1\cdot2}}{2\cdot1} \\=&\frac{-2\pm\sqrt{-4}}{2} =\frac{-2\pm2i}{2} =-1\pm i\end{align*}

となります.

ただし,(3)くらいであれば

   \begin{align*}&x^2+2x+2=0 \\\iff&(x+1)^2=-1 \\\iff& x+1=\pm i \\\iff& x=-1\pm i\end{align*}

と平方完成して解いたほうが速いですね.

虚数解も解なので,単に「2次方程式を解け」と言われた場合には虚数解も求めるのが普通です.

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