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ワンポイント数学4|0で割ってはいけない理由

例えば,

  • 0×6
  • 6×0
  • 0÷6

はいずれも答えは0です.では,6÷0はどうでしょうか?

実は,6÷0の答えは,0ではないどころか定義ができません.

このように,0で割ることを「0除算」といいますが,数学では0除算が起こるような操作は避けなければなりません.

もしもムリヤリ0で割ると,1=2が証明できてしまったり,おかしなことが起こってしまいます.

この記事では

  • 0で割ってはいけない理由
  • 0で割るとどうおかしなことが起こるか

などを説明します

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0で割ってはいけない理由

まずは0で割ってはいけなさそうなことを実感しましょう.

電卓で実験する

電卓を使って6÷0を計算してみるとどうなるか,試してみたことはあるでしょうか?

是非とも一度やってみて欲しいのですが,少なくとも0にはならないはずです.

なお,

  • スマートフォンの電卓では”6\div0=\infty
  • 関数電卓では”Math Error”

となりました(6\div0=\inftyという答えは数学的にも間違いです).

また,

  • 0×6
  • 6×0
  • 0÷6

はいずれも0になるはずで,6÷0だけが0にならないことからも

「どうやら6÷0は,少なくとも0ではないらしい」

ということが感じられると思います.

0除算が直感的におかしい理由

もうひとつ,0除算が直感的におかしい理由を挙げておきます.例えば,

\begin{align*} &6\div1=6, \\&6\div0.1=60, \\&6\div0.01=600, \\&6\div0.001=6000, \\&\quad\vdots \end{align*}

割る数を正の方からどんどん0に近づけていくと,商はどんどん大きくなっていきます.

一方,

\begin{align*} &6\div(-1)=-6, \\&6\div(-0.1)=-60, \\&6\div(-0.01)=-600, \\&6\div(-0.001)=-6000, \\&\quad\vdots \end{align*}

割る数を負の方からどんどん0に近づけていくと,商はどんどん小さくなります.

このように,どちらも同じく6÷0に近付いているはずなのに,一方は無限に増加し,他方は無限に減少します.

このことは反比例のグラフy=\dfrac{6}{x}を考えれば分かります.

Rendered by QuickLaTeX.com

確かに

  • x を正の方から0に近付けると,どんどん大きく
  • x を負の方から0に近付けると,どんどん小さく

なっていますね.

こう考えても,確かに6÷0をうまく値として定義するのは難しそうですね.

(なお,このことは数IIIの言葉を使うと,

  • 0における右極限\lim\limits_{x\to+0}6\div x=\infty
  • 0における左極限\lim\limits_{x\to-0}6\div x=-\infty

が一致しない,と説明できます.)

0除算がダメな理由

そもそも「割り算は掛け算の逆演算」として定義されたのでした.

例えば,3×2=6という掛け算から,6÷3=2や6÷2=3を考えるのが割り算でした.

このことは,一般には次のように書けますね.

実数 a , b , ca\times b=cをみたすとき,c\div a=bc\div b=aと表す.

さて,ここで0で割ることを考えてみます.

6÷0が何らかの実数Xになったとしましょう.つまり,6\div0=Xと書けたとします.

このとき,6\div0=Xのもとの掛け算は

\begin{align*} 0\times X=6 \end{align*}

ですが,Xがどんな数であっても0をかけると必ず0になるので,6になるというこの等式は成り立ち得ません.

したがって,6÷0の結果をどのような実数Xとしても,掛け算に直したときにおかしなことになってしまうのです.

これが「0除算」がダメな理由です.

割り算が掛け算の逆演算で定義される.割り算a\div0=Xを掛け算に直すとa=0\times Xなので,a\neq0ならこれを満たすXは存在しない.よって,0除算a\div0は定義できない.

補足

いくつか補足をします.

1=2のナンチャッテ証明

数学(算数)において,「0除算」はハッキリやってはいけないことなのですが,「0除算」を使うとあたかも1=2が証明できているように見える「ナンチャッテ証明」があります.

[ナンチャッテ定理] 1=2が成り立つ.

[ナンチャッテ証明]

a=bが成り立っているとする.このとき,両辺に a をかけて

\begin{align*} a^2=ab \end{align*}

となり,さらに両辺からb^2を引くことで

\begin{align*} a^2-b^2=ab-b^2 \end{align*}

となります.両辺を因数分解すると

\begin{align*} (a-b)(a+b)=(a-b)b \end{align*}

だから,両辺をa-bで割ってa+b=bとなる.

a=bだったから2b=bとなり,両辺を b で割って1=2が従う.

[ナンチャッテ証明終]

さて,色々とカモフラージュされておかしいところが見えづらいですが,ダメなところが分かるでしょうか?

途中で「a-bで両辺を割って」いるところがマズいです.

というのは,もともとa=bでしたからa-b=0なので,「a-bで両辺を割る」ということは「0除算」をしてしまっていることになり問題なのです.

もし分かり辛ければ,実際にa=1, b=1とおいて,上のナンチャッテ証明を追ってみれば,おかしなところが分かりやすいでしょう.

不能と不定

覚える必要はありませんが,数学には「不能」と「不定」という言葉があります.

あまり詳しく説明しませんが,これらを平たくいうと

  • 「存在しないこと」を「不能」
  • 「1つに定まらないこと」を「不定」

ということになります.例えば,

  • 「方程式で解なしの場合」を「不能」
  • 「方程式で解が無数の場合」を「不定」

となります.

不能となる場合

上のように6\div0=Xを考えた場合,掛け算になおすと0\times X=6をみたすXが存在しませんでした.

したがって,この場合には「不能」となります.

「3÷0は?」や「1÷0は?」などと聞かれたときには,「定義できない」や「不能」と答えるのが正しいことになります.

不定となる場合

一方,0÷0を考えた場合は「不能」ではありません.

もし,0\div0=Xとなったとすると,もとの掛け算は0\times X=0となります.0にどんな実数をかけても0でしたから,Xが何であってもこの掛け算をみたします.

したがって,0÷0の場合は値が1つに定まらないので「不定」となります.

「0÷0は?」と聞かれたときには,「定まらない」や「不定」と答えるのが正しいことになります.

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