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力の基本2|力のつりあいとその例

 
 

力の基本1|基本的な6種類の力を知る】の続きです.

前回の記事では,「重力」「垂直抗力」「摩擦力」「張力」「弾性力」「浮力」のそれぞれについて簡単に説明をしました.

これらのうち,「垂直抗力」と「張力」にはパッと求められるような公式がなく,「力のつりあい」や「運動方程式」を用いて求めることが多いです.

質量をもつ全ての物体には「重力」がはたらきますし,接触していれば「垂直抗力」,「摩擦力」がはたらきます.液体に物体が浸かっていれば「浮力」がはたらきますし,紐につながっていれば「張力」が,バネにつながっていれば「弾性力」がはたらきます.

「力のつりあい」や「運動方程式」を用いるためには,はたらく力を図に全て正確に書き込めるようにならなければなりません.

この記事では,力のつりあいについて説明したあと,「力のつりあい」の例を考えます.

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力のつりあい

「力のつりあい」は物理において非常に基本的で,「力のつりあい」を知らずしては何もできないと言っても過言ではないでしょう.

「力のつりあい」の前に,「力の合成」を知っておかなければならないので,まずは「力の合成」の説明をします.

力の合成

力はベクトルで表されることは【物理の基本|物理におけるベクトルの扱い方】の記事で説明しました.

力がベクトルで表せることから,「力の合成」を「ベクトルの和」として定義できます.つまり,

2個の力を表したベクトルを\overrightarrow{a},\overrightarrow{b}とする.このとき,\overrightarrow{a}+\overrightarrow{b}で表される力を考えることができ,この力を「合力」という.

一般に,n個の力を表したベクトルを\overrightarrow{a}_1,\dots,\overrightarrow{a}_nとする.このとき,\overrightarrow{a}_1+\dots+\overrightarrow{a}_nで表される力を考えることができ,この力を合力という.

要するに,「力はベクトルで表せるのだから,ベクトルの和を力の合成として考えられる」ということですね.そして,その合成した力を「合力」というわけです.

たとえば,落下する小球に左から風が吹いている場合には,下図のように右下向きに力が合成されます.

%e5%8a%9b%e3%81%ae%e5%9f%ba%e6%9c%ac8

このように「ベクトルの和」を用いて「合力」を考えることができます.そして,実際にこの例で見た小球は「合力」の方向に落下していきます.

一つの物体に加わる力を考えるときには,この「力成」の考え方は必須です.

力のつりあい

さて,「力の合成」の説明が終わったので,「力のつりあい」の説明に移ります.

1つの物体にはたらいている力の合力の大きさが0になるとき,力がつりあっているという.

上の例の小球では力はつりあっていません.

たとえば,一つの物体を左右から同じ力で押すとき,この物体にはたらいている力はつりあっています.他に,単に床の上で物体が静止しているのも,重力と床からの垂直抗力がつりあっています.

また,力がつりあうための条件は次のようになっています.

[力のつりあい] 力がつりあっているとき,静止している物体は静止し続け,運動している物体は等速直線運動をする.逆に,物体が静止し続けたり,等速直線運動をしているとき,物体にかかる力はつりあっている.

たとえば,物体を荒い(摩擦力のはたらく)床の上に置き,少し押しても物体は動きません.これは押す力と摩擦力がつりあっているからです.

このことは非常に重要なので,必ず押さえてください.

例題

それでは,以下で例題を考えます.

%e5%8a%9b%e3%81%ae%e5%9f%ba%e6%9c%ac9問)図のように,床の上に物体A,B,Cを置き,静止させる.滑車はBに固定されており,AとCはなめらかに動く滑車を通して糸でつながっている.

重力加速度をg[\mathrm{m/s^2}]とし,A,B,Cの質量をそれぞれm[\mathrm{kg}]m'[\mathrm{kg}]M[\mathrm{kg}]とする.

このとき,A,B,Cおよび床にはたらいている全ての力に関して,「力の名前(張力など)」と「力の大きさ」を明示して書き込め.

コツとしては

  1. まず重力などの必ずはたらく力を考える.
  2. 物体と物体が接していると垂直抗力,摩擦力がはたらかないか疑う.

です.

解答

それでは解答です.ただし,単位は全て[\mathrm{N}]です.(物体がくっついていると矢印が書きにくいので,離して描きました)

picture_2

次に,解答の流れです.

  1. A,B,Cにそれぞれ下向きに大きさmgm'gMgの重力がはたらく.
  2. Cにはたらく力は「重力」,「張力」であり,Cは静止しているから,Cにはたらく力はつりあっている.したがって,Cに下向きに大きさMgの張力がはたらく.
  3. 糸の片方にはたらく張力の大きさと反対側にはたらく張力の大きさは等しいから,滑車に下向きに大きさMgの張力がはたらく.
  4. 続いて,滑車に左向きに大きさMgの張力がはたらき,糸の反対側のAに右向きに大きさMgの張力がはたらく.
  5. Aにはたらく水平方向の力は「摩擦力」,「張力」である.Aは静止しているので,Aに左向きに大きさMgの摩擦力(張力とのつりあい)がはたらく.
  6. Aにはたらく鉛直方向の力は「重力」,「垂直抗力」である.Aは静止しているので,Aに上向きに大きさmgの垂直抗力(重力とのつりあい)がはたらく.
  7. 「垂直抗力」,「摩擦力」で2物体にはたらく力の大きさは等しいから,BにAから鉛直上向きに大きさmgの垂直抗力右向きに大きさMgの摩擦力がはたらく.
  8. Bと滑車にはたらく鉛直方向の力は「重力」,「張力」,「Aからの垂直抗力」,「床からの垂直抗力」である.Bは静止しているので,Bに床から鉛直上向きに大きさmg+m'g+Mgの垂直抗力を受ける.
  9. Bにと滑車はたらく鉛直方向の力は「張力」,「Aからの摩擦力」,「床からの摩擦力」である.Bは静止しており,張力とAからの摩擦力で既につりあっているので,床から摩擦力ははたらかない.
  10. 「垂直抗力」で2物体にはたらく力の大きさは等しいから,床はBから鉛直下向きに大きさmg+m'g+Mgの垂直抗力を受ける.

ポイント

滑車にはたらいている力を見落とす間違いが多いです.滑車はBに固定されているので,Bにそのまま力が伝わります.

なお,摩擦力に静止摩擦係数や動摩擦係数は必要ありません.静止摩擦係数は「動くギリギリ」にのみ使えるもので,動摩擦係数は動いている場合にのみ使えるものです.この例題ではそういった条件はないので,単に他の力とつりあうように求めます.

例えば,BからAにはたらく摩擦力は,Aがつり合うようにはたらくので,大きさMgの摩擦力が張力と反対向きにはたらきます.また,「AとBの間にはたらく摩擦力」と「滑車にはたらく張力」がつりあっているので,Bと床の間にはたらく摩擦力はありません.

このように,摩擦力は物体が動かないように他の力と相殺するようにはたらくので,既に他で釣り合っていれば摩擦力は一切はたらきません.

垂直抗力も全く同じで,他の力と相殺するようにはたらきます.

図を見てみると,意外と多くの力がはたらいていることが分かります.上でも書きましたが,物体と物体が接していると力がはたらくことが多いことに注意すると,見落としが減るはずです.

物理は力学を理解することが第一歩です.そして,力学を理解するには力がどのように働いているかを理解することが重要です.

力がどのようにはたらくか,確実に矢印で描けるようにして下さい.

力の基本3|運動方程式,力と質量と加速度の関係】に続きます.

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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