図形と方程式8
円の接線の方程式を一発で求める公式

図形と方程式
図形と方程式

円$C$上の点$\mrm{P}$に対して,点$\mrm{P}$で円$C$に接する直線はただひとつ存在しますね.

$xy$平面において

  • 円$C$の方程式
  • 円周上の点Pの座標

が分かっているとき,点$\mrm{P}$での円$C$の接線の方程式を求める公式があります.

この記事では

  • 原点中心の円の接線の方程式
  • 一般の円の接線の方程式

を順に説明します.

原点中心の円の接線の方程式

原点中心の円の接線の方程式は次で求められます.

[原点中心の円の接線] $r$を正の数とする.原点中心,半径$r$の円$C:x^2+y^2=r^2$上の点$\mrm{P}(p,q)$での接線の方程式は

    \begin{align*}px+qy=r^2\end{align*}

である.

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接線の方程式の形としては,円の方程式$x^2+y^2=r^2$の

  • $x$を1つだけ$p$に変えて
  • $y$を1つだけ$q$に変えたもの

になっていますね.

具体例1

$xy$平面上の円$C:x^2+y^2=4$と円$C$上の点$\mrm{P}(1,\sqrt{3})$について,点$\mrm{P}$での円$C$の接線の方程式を求めよ.

求める接線の方程式は

    \begin{align*}&1\cdot x+\sqrt{3}\cdot y=4 \\\iff& x+\sqrt{3}y=4\end{align*}

である.

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具体例2

$xy$平面上の円$C:x^2+y^2=9$と円$C$上の点$\mrm{P}(0,3)$について,点$\mrm{P}$での円$C$の接線の方程式を求めよ.

求める接線の方程式は

    \begin{align*}&0\cdot x+3\cdot y=9 \\\iff& y=3\end{align*}

である.

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図を考えれば$x$軸に平行な接線になることは分かりますが,きちんと公式からも得られますね.

具体例3

$xy$平面上の円$C:x^2+y^2=4$と円$C$上の点$\mrm{P}(-2,0)$について,点$\mrm{P}$での円$C$の接線の方程式を求めよ.

求める接線の方程式は

    \begin{align*}&(-2)\cdot x+0\cdot y=4 \\\iff& x=-2\end{align*}

である.

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例2と同様に$y$軸に平行な接線も公式から得られますね.

証明

それでは公式を証明しましょう.

[原点中心の円の接線(再掲)] $r$を正の数とする.原点中心,半径$r$の円$C:x^2+y^2=r^2$上の点$\mrm{P}(p,q)$での接線の方程式は

    \begin{align*}px+qy=r^2\end{align*}

である.

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[ステップ1] 原点を$\mrm{O}$とする.直線$\mrm{OP}$の方程式が$qx-py=0\dots(*)$となることを示す.

[1] $p\neq0$のとき,直線$\mrm{OP}$は原点を通り,傾きは$\dfrac{q}{p}$なので,直線$\mrm{OP}$の方程式は$y=\dfrac{q}{p}x$である.

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よって,分母を払って整理すると$(*)$が得られる.

[2] $p=0$のとき,直線$\mrm{OP}$は$y$軸に一致するので,直線$\mrm{OP}$の方程式は$x=0$である.

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点$\mrm{P}$が円$C$上にあることから$p$と$q$は同時に$0$にはならないから$q\neq0$なので,

    \begin{align*}x=0 \iff& qx-0y=0 \\\iff& qx-py=0\end{align*}

となって$(*)$を得る.

[ステップ2] 直線$\ell$は点$\mrm{P}$で円$C$に接していることから直線$\ell$と直線$\mrm{OP}$は垂直である.

また,直線$\ell$は点$\mrm{P}(p,q)$を通るので,一般の直線の方程式の垂直条件より直線$\ell$の方程式は

    \begin{align*}&-(-p)(x-p)+q(y-q)=0 \\\iff& px+qy=p^2+q^2\end{align*}

となる.

いま,点$\mrm{P}(p,q)$が円$C:x^2+y^2=r^2$上の点であることから$p^2+q^2=r^2$が成り立つので,直線$\ell$の方程式は$px+qy=r^2$である.

一般の円の接線の方程式

原点中心とは限らない円の場合の接線の方程式を考えます.

[一般の円の接線] 点$(\alpha,\beta)$中心,半径$r$の円$C:(x-\alpha)^2+(y-\beta)^2=r^2$に点$\mrm{P}(p,q)$で接する直線$\ell$の方程式は次で得られる.

    \begin{align*} \ell:(p-\alpha)(x-\alpha)+(q-\beta)(y-\beta)=r^2 \end{align*}

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先ほどの原点中心の円の場合と同じく,この場合にも円の方程式$(x-\alpha)^2+(y-\beta)^2=r^2$の

  • $x$を1つだけ$p$に変えて
  • $y$を1つだけ$q$に変えたもの

になっています.

原点中心の円の接線の方程式の公式を用いれば次のように導出できます.

円$(x-\alpha)^2+(y-\beta)^2=r^2$と点$\mrm{P}$を

  • $x$軸方向に$-\alpha$
  • $y$軸方向に$-\beta$

平行移動させると,円$C$は原点中心の円$C’:x^2+y^2=r^2$に移り,点$\mrm{P}$は点$\mrm{P’}(p-\alpha,q-\beta)$に移る.

よって,円$C’$の点$\mrm{P’}$での接線$\ell’$の方程式は$(p-\alpha)x+(q-\beta)y=r^2$である.

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接線$\ell’$を先ほどの平行移動と逆に動かして,接線$\ell$の方程式は

    \begin{align*}(p-\alpha)(x-\alpha)+(q-\beta)(y-\beta)\end{align*}

となる.

例えば,$xy$平面上の円$C:(x-3)^2+(y-4)^2=5$と円$C$上の点$\mrm{P}(2,6)$について,点$\mrm{P}$での円$C$の接線の方程式は

    \begin{align*}&(2-3)(x-3)+(6-4)(y-4)^2=5 \\\iff&-(x-3)+2(y-4)=5 \\\iff&-x+2y=10\end{align*}

となることが分かりますね.

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