論理と集合5|対偶はどういう時に使う?対偶の性質

この記事では,命題$p\Ra q$の

  • 対偶

について説明します.これらのうちで重要なものは「対偶」です.

条件$p$, $q$の否定をそれぞれ$\overline{p}$, $\overline{q}$で表すとき,命題$\overline{q}\Ra\overline{p}$を命題$\overline{p}\Ra\overline{q}$の対偶といいます.

実は命題$\overline{q}\Ra\overline{p}$の真偽とその対偶$\overline{p}\Ra\overline{q}$の真偽は必ず一致するという性質があります.

この記事では,この対偶の性質について説明し,どのような場合に便利か説明します.

条件の否定

準備として

  • 対偶

の説明に入る前に,「条件の否定」ついて説明します.

$x$の条件$p$に対して,「$x$は条件$p$を満たさない」という条件を$p$の否定という.条件$p$の否定は$\overline{p}$と表すことが多い.

具体的に考えてみましょう.

次の条件を否定せよ.

  1. $p_1$:整数$x$は偶数である
  2. $p_2$:整数$x$は1以上かつ5以下である
  3. $p_3$:三角形Xは鋭角三角形である

(1) $x$が否定$\overline{p_1}$を満たすとは「整数$x$が偶数でない」ということなので,

$\overline{p_1}$:整数$x$は奇数である

となる.

(2) $x$が否定$\overline{p_2}$を満たすとは「整数$x$が[1以上かつ5以下]でない」ということなので,

$\overline{p_2}$:整数$x$は0以下または4以上である

となる.

(2) Xが否定$\overline{p_3}$を満たすとは「三角形Xが鋭角三角形でない」ということなので,

$\overline{p_3}$:三角形Xは直角三角形または鈍角三角形である

となる.

条件$p$の否定は「条件$p$を満たさないもの全て」とも言い換えられる.

逆,裏,対偶

それでは本題に移ります.

逆・裏・対偶の定義

条件$p$, $q$に対して

  • 命題$q\Ra p$を命題$p\Ra q$の
  • 命題$\overline{p}\Ra\overline{q}$を命題$p\Ra q$の
  • 命題$\overline{q}\Ra\overline{p}$を命題$p\Ra q$の対偶

という.

言葉で説明すると,命題$p\Ra q$に対して

  • $p$と$q$を入れ替えたものが
  • $p$と$q$をともに否定にしたものが
  • $p$と$q$を入れ替えてともに否定にしたものが対偶

ということになりますね.これを1つの図で表せば,下図のようになります.

論理と集合の基本pic10

この図からも分かるように,

  • 逆の逆はもとの命題
  • 裏の裏はもとの命題
  • 対偶の対偶はもとの命題

ですね.

逆と裏の注意点

逆・裏に関して,次のことに注意してください.

もとの命題が真であっても,逆・裏は真であるとは限らない.

たとえば,

  • $p$:$x$は4の倍数である
  • $q$:$x$は偶数である

とすると,

  • 命題$p\Ra q$は真
  • 命題$q\Ra p$は偽
  • 命題$\overline{p}\Ra \overline{q}$は偽

となっています.

このことは標語的に「逆(裏)は必ずしも真ならず」とよく言われるくらい大切ですから,勘違いしないように注意してください.

「もとの命題」と「対偶」の関係

さて,冒頭でも書いた通り,命題と対偶については次のような関係があります.

条件$p$, $q$に対して,命題$p\Ra q$の真偽とその対偶$\overline{q}\Ra\overline{p}$は一致する.

つまり,

  • $p\Ra q$が真なら$\overline{q}\Ra\overline{p}$も真
  • $p\Ra q$が偽なら$\overline{q}\Ra\overline{p}$も偽

というわけですね.

集合(ベン図)による説明

$p$, $q$を$x$に関する条件とし,$p$, $q$の真理集合をそれぞれ$P$, $Q$とします.

このとき,条件$\overline{p}$の真理集合は補集合$\overline{P}$,条件$\overline{q}$の真理集合は補集合$\overline{Q}$ですね.

[1] 命題$p\Ra q$が真であるとします.

このとき,前回の記事で説明したように包含関係$P\subset Q$を満たします.

すなわち,これをベン図で表すと下図のようになりますね.

Rendered by QuickLaTeX.com

ただし,$U$は全体集合です.さて,

  • $\overline{P}$はP(赤)の外側
  • $\overline{Q}$はQ(青)の外側

ですから,$\overline{Q}\subset\overline{P}$が成り立ちます.

$\overline{p}$, $\overline{q}$を表す集合が$\overline{P}$, $\overline{Q}$でしたから,これは対偶$\overline{q}\Ra \overline{p}$が真であることに他ならりませんね.

[2] 「$p\Ra q$が偽である」とします.

命題$p\Ra q$が真であるとします.このとき,包含関係$P\subset Q$が成り立たず,ベン図で表すと下図のいずれかになりますね.

Rendered by QuickLaTeX.com

図を見れば明らかなように,どちらの場合も$\overline{Q}\not\subset\overline{P}$ですから,$\overline{q}\Ra\overline{p}$は偽と分かります.

以上の[1], [2]から,「もとの命題の真偽」と「対偶の真偽」が一致することが分かりました.

証明問題への応用

さて,今みてきた対偶の性質は次のような証明問題で有効です.

実数$x$, $y$が$x+y>0$をみたすなら,$x>0$または$y>0$であることを示せ.

$x$, $y$の条件$p$, $q$を

  • $p$:実数$x$, $y$が$x+y>0$をみたす
  • $q$:実数$x$, $y$が$x>0$または$y>0$をみたす

と定めると,「$p\Ra q$を示せ」ということになりますね.

しかし,これを直接示すのは少々面倒ですが,対偶の性質を用いると簡単に証明することができます.

実数$x$, $y$が$x\leqq0$かつ$y\leqq0$をみたすとき,$x+y\leqq0$をみたす.いま

  • 「$x\leqq0$かつ$y\leqq0$」は「$x>0$または$y>0$」の否定
  • $x+y\leqq0$は$x+y>0$の否定

なので,示すべき命題の対偶が真と分かり,示すべき命題も真であ.

元の命題の証明が難しくても,対偶は簡単に示すことができる場合もある.

次の記事では,対偶の「親戚」の証明法である背理法について説明します.

背理法を用いると「$\sqrt{2}$が無理数である」など直接証明しにくいことも証明できる場合があります.

最後までありがとうございました!

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