ビリギャルから学ぶこと「可能性」を信じることの大切さ

勉強法・マインド
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2015年現在で発行部数65万部を超えるベストセラーとなった書籍「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」(坪田信貴 著/KADOKAWA刊)が「ビリギャル」というタイトルで映画になったということで観てきました.

書籍のタイトルからは「成績を伸ばして合格した成功体験談」という印象を受けます.

確かにそのような側面もありますが,この話を実際に読んで(観て)みると「可能性を信じること」がテーマの受験ドキュメンタリーになっていることが分かります.

「可能性」という言葉は不確かな言葉ではありますが,私はこれほど希望のある言葉も少ないように思います.

また,「信じること」という点に関して,作中では

  • 自分を信じること
  • 他人を信じること

の2つの形の「信じる」が出てきます.

あらすじ

中高大一貫の学校に入学したものの,中学入学時からほとんど勉強をしなかったため,高校2年の夏には学校の中でも最下位のクラスに配属されてしまった金髪ギャルの「さやかさん」がこの話の主人公です.

さやかさんは母の勧めで個別塾へ入塾の面接へ行く事になり,さやかさんはそこで著者の坪田信貴氏に出会います.

さやかさんは入塾試験を受け0点を取ってしまいますが,それでも坪田氏は「全ての解答欄を埋めて0点を取るなんて,こんな謎に満ちたな答案は初めてだ」と絶賛.

その日のうちに入塾を決意し「慶応大学」を第一志望に決めますが,さやかさんは周囲の人たちに笑われ,学校の先生や父親にも無理だと一蹴されます.

そんな中,慶応大学への合格を信じる坪田氏と母親とともに,さやかさんは1年半後の入試に向けて受験勉強を開始します.

可能性を信じるということ

この話の大きなテーマは可能性です.

他人を信じること

作中で著者の坪田氏は次のように言います.

「ダメな生徒はいない.可能性を信じないダメな教師がいるから,生徒もダメになっていく.」

良くも悪くも,教師は生徒の周りで「手助け」することしかできないのです.ですから,ときとして教師は生徒の可能性を潰すことさえあります.

実際,学校の先生はさやかさんの慶應大学は不可能だと決めつけ,見向きさえしませんでした.

さらに,さやかさんの場合は教師だけではなく,父親でさえさやかさんの決意を踏みにじり罵倒します.「お前はダメだ」「無理だ」「諦めろ」と.

しかし,坪田氏は「ダメな生徒はいない」と繰り返し,さやかさんの可能性を信じ続けます.

「教師が生徒より先に諦めんな!お前が勝手に無理と決めつけるな!誰にでもいろんな可能性を秘めている.その可能性を教師や親が信じなくてどうする!」という坪田氏の強い想いがハッキリと伝わってきます.

自分を信じること

アメリカ合衆国第16第大統領のエイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)は次の言葉を言ったとされています.

“Where there is a will, there is a way.”

意味は「意思あるところに道は開ける」で,この言葉は映画の中でも何度か登場します.

大切なことは「志をもつ限り周囲の人間が何を言おうが関係ない.自分自身を信じるられるかどうか」なのです.

自分に一番身近な人間は自分です.また,自分を唯一思い通りに動かせるのも自分です.他人より先にその自信の可能性を信じずに先に進めるはずがありません.

自身が信じて行動に移したとき,「道が開け」ます.道を開こうとしない者に道が開けることはあり得ません.

信じれば道はそこに現れます.自分が掴めると信じているから努力できるのです.

感想

私が受験生だった頃のことを思い出しての感想と,私がいま予備校講師をしている身としての感想を少しお話しします.

受験生だった頃を思い出して

私は今では今でこそ多くの生徒を勉強法から指導して成績を伸ばすことができていますが,高校生のときは国語や英語でクラスでほぼ最下位.高校2年の夏前には学年で320人中302番とかを取ってしまったこともあります.

周囲から無理だと言われ四面楚歌の状態で戦ってもいました.その中でも私が進んで行くことができたのは,自分はできると信じたからだと思っています.

現実的に「努力が必ずしも結果に結びつくとは限らない」というのはその通りです.どんなに努力をしても挫折を味わうことはあるでしょう.

しかし,挫折を恐れて努力をしなければ,何も成すことはできません.当たり前ですね.

とはいえ,やっぱり挫折って問答無用で自分の無力を思い知らされるので,めちゃくちゃ嫌なんですよね.だから,自分を信じずに生きるってめちゃくちゃラクなんですよ.最初から自分を信じていなければ,失敗しても「知ってた」と傷も浅く済むような気がします.

でも,それって実は自身でリストカットしてた人が,料理中にたまたま指を切って「普段のリストカットよりも痛くない」って言ってるようなもんなんですよ.

元から自分を深く傷付けておいて,実際の傷を相対的に麻痺させているだけのことなんですよね.

挫折しても努力したことが全て消え去るはずがありません.挫折しても努力したことは間違いなく力になっているのですから無力なはずないでしょう.

努力しなければそれこそ何も残りませんし,無力なままの方がもったいないです.

「何が?」自分が.

「めっちゃしんどい」「めっちゃ苦しい」のも知っています.かつて私も劣等生の受験生でしたからね.

でも,まずは自分には可能性があることを自分が信じて努力するのです.話はそれからです.

予備校講師として

講師をしていると「うちの子はダメで……」を連呼する保護者の方によくお会いします.

そこで私は聞きたくなることがあります.

「なぜ一番の味方であるべきあなたがダメと決めつけるのですか?」

保護者の方としては謙遜のつもりなのでしょうが,それを目の前で言われる気持ちを考えたことはありますか?

普段から身近にいる人間が信じてくれないことで,生徒自身さえも自分を信じられなくなってしまうのは自然なことです.

生徒の優劣を判断する権利はもちろん我々講師にも保護者の方にもありません.というより,講師の立場から正直に言うと生徒の優劣などどうでも良いのです.

全ての生徒が自信を持って自分の目標に向かって進む手助けを全力でするのが講師であって,生徒が優秀だからとかそうでないとかは何も関係ありません.

「合格する根拠」ですか?そんなものありませんよ.もし先に根拠が必要なら何もできません.

逆なんです.根拠があるから合格を目指すんじゃないんです.まずは目指して,それから勉強して根拠を積み上げていくんです.だから,「合格する!」ってさっさと言ってしまえばいいんですよ.なにブツブツ言ってんの?

リンカーンが言った”Where there is a will, there is a way.”の意味は「意思あるところに道は開ける」です.信じれば道はいつでもそこに開けるんです.進むか進まないかはあなたの意思1つなんです.

あなたはその道を進みますか?それとも今のままでいいですか?答えは明らかですね.

原作と映画

せっかくなので,原作と映画も気になる人はチェックしてみてください.

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話

[坪田信貴著,KADOKAWA刊]

映画「ビリギャル」の原作の書籍です.いまは文庫版が発売されているので安く購入できます.

読むと勉強に対するモチベーションがめちゃくちゃ上がります.

これは上の私の感想を読んで頂けるとお分かり頂けると思います.

ぜひ読んでみてください.

映画 ビリギャル DVD スタンダード・エディション

[有村架純 (出演), 伊藤淳史 (出演), 土井裕泰 (監督) ]

原作の実写映画です.

この記事のあらすじで紹介したYouTubeの映画です.

(個人的には有村架純さんの演技が素晴らしく,この映画でファンになりました笑)

私も受験で苦しんできた人間なので「めっちゃ分かる……」と何度も歯を食いしばる場面がありました.

本では気付かなかった部分もはっきり表現してくれることもあるので,やはり映画もいいですね.

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