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電池と電気分解4|鉛蓄電池の仕組みと反応

電池と電気分解3 ―ボルタ電池とダニエル電池―」の続きです.

鉛蓄電池は車のバッテリーとして利用されるなど,非常に実用性の高い電池です.ですから,高校化学でも頻出の電池でもあります.

敬遠する人も多い電池ですが,各電極での半反応式もそれほど難しいものではなく,全体としても難しい要素はほとんどありません.

逆に,各電極の半反応式を確実にすれば,鉛蓄電池は怖くありません.

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鉛蓄電池の仕組み

鉛蓄電池

鉛蓄電池は希硫酸\mathrm{H_2SO_4}に鉛\mathrm{Pb}と酸化鉛\mathrm{PbO_2}を浸け,導線でつなげば完成です.

ここで,鉛\mathrm{Pb}と酸化鉛\mathrm{PbO_2}のどちらが正極でどちらが負極になるのかということを考えます.

「電池」は「酸化還元反応を利用して電子を取り出す装置」でしたから,鉛\mathrm{Pb}と酸化鉛\mathrm{PbO_2}のどちらかは酸化され,どちらかは還元されるはずです.

いま,鉛\mathrm{Pb}と酸化鉛\mathrm{PbO_2}を比べると,もちろん酸化鉛\mathrm{PbO_2}は元から酸化されています.

酸化していないものを酸化させるよりも,酸化しているものをもっと酸化させる方が難しそうなことは容易に想像がつくと思いますが,実際に酸化鉛\mathrm{PbO_2}をこれ以上酸化することは難しいです.

ですから,酸化鉛\mathrm{PbO_2}は還元されます.その反応は,

\mathrm{PbO_2 + 4H^+ + {SO_4}^{2-} + 2e^- \to PbSO_4 + 2H_2O}

となります.酸化鉛\mathrm{PbO_2}は還元されたわけですから,一方の鉛\mathrm{Pb}は酸化されます.反応式は

\mathrm{Pb + {SO_4}^{2-} \to PbSO_4 + 2e^-}

となっています.

このように,電子は\mathrm{Pb}電極から\mathrm{PbO_2}電極へ移動するので,鉛\mathrm{Pb}が負極で酸化鉛\mathrm{PbO_2}が正極と分かります.

鉛蓄電池の電池式は以下の通りです.

\textcircled{-} \ \mathrm{Pb}\ |\ \mathrm{H_SO_4}aq\ |\ \mathrm{PbO_2}\ \textcircled{+}

「電池式」については前回の記事「電池と電気分解3 ―ボルタ電池とダニエル電池―」に書いていますが,とても便利なので書けるようにして下さい.

鉛蓄電池の充電

鉛蓄電池の特徴としては充電ができることが挙げられます.

ボルタ電池やダニエル電池は充電ができません.近年,充電式乾電池を良く見かけるようになりましたが,それでも日常的に目にするほとんどの乾電池は充電はできません.

このように,「充電できない電池」を「一次電池」,「充電できる電池」を「二次電池」といいます.

ですから,鉛蓄電池は「二次電池」ですね.

充電のは簡単で,「ある程度放電した(使用した)鉛蓄電池」を放電とは逆向きに電流が流れるように,「別の電源(電池)」をつなぐだけです.

すると,負極表面の硫酸鉛\mathrm{PbSO_4}が鉛\mathrm{Pb}戻り,正極表面の硫酸鉛\mathrm{PbSO_4}が酸化鉛\mathrm{PbO_2}に戻ります.

これが鉛蓄電池の充電です.

なお,正極の半反応式と負極の半反応式を足して

\begin{matrix}  &\mathrm{PbO_2 + 4H^+ + {SO_4}^{2-} + 2e^-}& \to& \mathrm{PbSO_4 + 2H_2O}\\  +)& \mathrm{Pb + {SO_4}^{2-}}& \to& \mathrm{PbSO_4 + 2e^-}\\  \hline  &\mathrm{PbO_2 + Pb + 4H^+ + 2{SO_4}^{2-}}& \to& 2\mathrm{PbSO_4 + 2H_2O}  \end{matrix}

となります.2個の水素イオン\mathrm{H^+}と1個の硫酸イオン\mathrm{{SO_4}^{2-}}で硫酸\mathrm{H_2SO_4}とできることに注意すると,

\mathrm{PbO_2 + Pb + 2H_2SO_4 \to 2PbSO_4 + 2H_2O}

が放電の化学反応式です.一方,放電の全く逆の

\mathrm{2PbSO_4 + 2H_2O \to PbO_2 + Pb + 2H_2SO_4}

が充電の化学反応式です.

鉛蓄電池のその他のポイント

まず,「鉛蓄電池」の読み方は「なまりちくでんち」です.

私は「えんちくでんち」だと思っていた時期があったので,念のために注意しておきます.(笑)

ポイントは鉛\mathrm{Pb}も酸化鉛\mathrm{PbO_2}も硫酸鉛\mathrm{PbSO_4}に変化していることです.

また,「色」がよく問われます.

\mathrm{Pb}は「灰色」,酸化鉛\mathrm{PbO_2}は「褐色」,硫酸鉛\mathrm{PbSO_4}は「白色」ということは覚えておいてください.

次の記事「電池と電気分解5 ―電池と電気分解の違い―」に続きます.

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