多項式2
たすきがけ因数分解の公式はこう使え!

前回の記事では展開因数分解についての基本の4公式

\begin{align*} &x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b), \\&x^2+2ax+a^2=(x+a)^2, \\&x^2-2ax+a^2=(x-a)^2, \\&x^2-a^2=(x+a)(x-a) \end{align*}

を説明しましたが,これらの式の形を見れば分かるように$x^2$の係数が1の場合にしか適用できません.

そこで,$x^2$の係数が1でない場合にも使えるたすきがけ因数分解の公式があります.

たすきがけ因数分解の公式は式の形が複雑で苦手意識を持つ人もいらっしゃいますが,この公式は暗記するものではなく使い方を知っていれば使える類の公式です.

この記事では

  • たすきがけ因数分解の公式
  • たすきがけ因数分解の公式の具体例

を順に説明します.

たすきがけ因数分解の公式

早速たすきがけ因数分解の公式を書いてしまいますね.

実数$x$, $a$, $b$, $c$, $d$に対して,次の等式が成り立つ.

\begin{align*} acx^2+(bc+ad)x+bd=(ax+b)(cx+d) \end{align*}

冒頭でも書きましたが,このたすきがけ因数分解の公式は$x^2$の係数が$1$でなくても使えるのがありがたい公式なのでした.

とくに$a=c=1$とすれば,公式

\begin{align*} x^2+(b+d)x+bd=(x+b)(x+d) \end{align*}

が得られるため,前回の記事で説明した基本公式$x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)$よりも広く使える公式になっていますね.

たとえば

  • $2x^2+7x+3$
  • $6x^2+7x-3$

などは,たすきがけ因数分解の公式を用いて因数分解することができます.

ただし,たすきがけ因数分解の公式は$x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)$より広く使えるようになっている一方で,係数が多く複雑な式になっています.

大切なことはたすきがけ因数分解の公式は暗記して使う公式ではないという点です(この記事の著者も公式は覚えていませんが,使い方を理解しているので問題なく公式を使うことができます).

次の節で考える具体例で,たすきがけ因数分解の公式の使い方を理解してください.

たすきがけ因数分解の公式の例

たすきがけ因数分解の公式は「2次の係数から候補を絞って考える」という考え方をすることがポイントです.

ここでは次の問題を考えましょう.

次の多項式を因数分解せよ.

  • $2x^2+7x+3$
  • $6x^2+7x-3$

例1

$2x^2+7x+3$の2次の係数が$2$であることから

\begin{align*} (x+\underline{\qquad})(2x+\underline{\qquad}) \end{align*}

の形に因数分解できることが期待できます.

さらに,定数項が3であることから,因数分解の候補として

  • $(x+3)(2x+1)$
  • $(x+1)(2x+3)$
  • $(x-3)(2x-1)$
  • $(x-1)(2x-3)$

が挙げられますね.これらを実際に展開すると

  • $2x^2{\color{blue}+7}x+3$
  • $2x^2{\color{blue}-7}x+3$
  • $2x^2{\color{blue}+5}x+3$
  • $2x^2{\color{blue}-5}x+3$

ですから,このうち$2x^2+7x+3$の因数分解になっているのは$(x+3)(2x+1)$ですね.よって,

\begin{align*} 2x^2+7x+3=(x+3)(2x+1) \end{align*}

と因数分解できます.

このように,たすきがけ因数分解の公式を覚えていなくても何も問題なく使えるわけですね(むしろ暗記して使おうとする方が無理がありますね).

慣れればこの程度なら1次の係数の$7$が$6+1=3\cdot2+1\cdot1$に見えて,$(x+3)(2x+1)$とほぼ瞬時に因数分解できるようになります.

例2

$6x^2+7x-3$の2次の係数が$6$であることから

\begin{align*} (x+\underline{\qquad})(6x+\underline{\qquad}) \end{align*}

または

\begin{align*} (2x+\underline{\qquad})(3x+\underline{\qquad}) \end{align*}

の形に因数分解できることが期待できます.

さらに,定数項が$-3$であることから,因数分解の候補として

  • $(x+1)(6x-3)$
  • $(x-1)(6x+3)$
  • $(x+3)(6x-1)$
  • $(x-3)(6x+1)$
  • $(2x+1)(3x-3)$
  • $(2x-1)(3x+3)$
  • $(2x+3)(3x-1)$
  • $(2x-3)(3x+1)$

が挙げられますね.これらを実際に展開すると

  • $6x{\color{blue}+3}x-3$
  • $6x{\color{blue}-3}x-3$
  • $6x{\color{blue}+17}x-3$
  • $6x{\color{blue}-17}x-3$
  • $6x{\color{blue}-3}x-3$
  • $6x{\color{blue}+3}x-3$
  • $6x{\color{blue}+7}x-3$
  • $6x{\color{blue}-7}x-3$

ですから,このうち$6x^2+7x-3$の因数分解になっているのは$(2x+3)(3x-1)$ですね.よって,

\begin{align*} 6x^2+7x-3=(2x+3)(3x-1) \end{align*}

と因数分解されることが分かります.

慣れればこの問題も1次の係数の$7$が$9-2=3\cdot3-1\cdot2$に見えて,$(2x+3)(3x-1)$と10秒足らずで因数分解できるようになるので,ぜひたくさん練習してくださいね.

最後までありがとうございました!

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