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数列の基本4|階差数列の一般項と和の公式

前の記事「数列の基本3 ―1乗和,2乗和,3乗和の公式と導出―」 の続きです.

階差数列に苦手意識をもっている人は少なくないようです.

しかし,階差数列はそれほど難しいものではなく,階差数列に関する公式も自然な考えで導出されることが分かります.

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階差数列とは

階差数列を考えるにあたって,まずは1つ数列を用意します.

まず,自由に数列\{a_n\}をとります.この数列は等差数列でも等比数列でも何でも構いません.

この数列に対して,b_n=a_{n+1}-a_nとして数列\{b_n\}を定めます.つまり,

b_1=a_2-a_1,\ b_2=a_3-a_2,\ b_3=a_4-a_3,\ \dots

です.こうして数列\{a_n\}をもとにしてできた数列\{b_n\}「数列\{a_n\}の階差数列」といいます.

このことから分かるように,「階差数列だけが存在することはありえない」わけです.

つまり,階差数列を考えるときには,まず何か初めに数列\{a_n\}があって,その数列\{a_n\}に対して階差数列\{b_n\}が定まるのです.

階差数列はもとの数列について,一つ次の項に移るときにどれだけ増えているか,ということを表す数列なのです.

階差数列の例

階差数列はパズルの本などで目にします.たとえば,次のような問題です.

次のXに当てはまる数字を答えよ.

  1. 1,\ 5,\ 9,\ 13,\ 17,\ X,\ \dots
  2. 1,\ 4,\ 9,\ 16,\ 25,\ X,\ \dots
  3. 1,\ 5,\ 17,\ 53,\ 161,\ X,\ \dots

この問題はまさに階差数列の話なのです.

あえて階差数列の概念を用いて数学的に考えるならば,1,2,3の階差数列はそれぞれ

  1. 4,\ 4,\ 4,\ 4,\ X-17,\ \dots
  2. 3,\ 5,\ 7,\ 9,\ X-25,\ \dots
  3. 4,\ 12,\ 36,\ 108,\ X-161,\ \dots

です.これから,

1の階差数列は4が続く数列なのでX-17=4よりX=21

2の階差数列は初項3,公差2の等差数列なのでX-25=11よりX=36

3の階差数列は初項4,公比3の等比数列なのでX-161=324よりX=485

と分かります.

このように,階差数列はまったく難しいことは言っておらず,「数列の各項の差をとって考えよう!」というだけの話なのです.

もとの数列と階差数列

数列\{a_n\}の一般項a_nを,もとの数列\{a_n\}の階差数列\{b_n\}で表すことを考えます.

考え方1

階差数列は任意の自然数nに対して,b_n=a_{n+1}-a_nという関係をみたしていました.このことから次のように導出することができます.

\begin{matrix}  & a_n & - & a_{n-1} & = & b_{n-1}\\  & a_{n-1} & - & a_{n-2} & = & b_{n-2}\\  & a_{n-2} & - & a_{n-3} & = & b_{n-3}\\  &&&& \vdots &\\  +)& a_2 & - & a_1 & = & b_1\\  \hline  & a_n & - & a_1 & = & \displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}b_k\\  \end{matrix}

であり,a_1を移項して,

a_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}b_k

を得ます.

考え方2

「考え方1はよく分からん!」という人は次のように考えると,直観的に理解できるかもしれません.

b_n=a_{n+1}-a_na_{n+1}=a_n+b_nと少し変形してやると,a_{n+1}a_nb_nを足したもの」と考えることができます.

ですから,「a_2a_1b_1を足したもの」,「a_3a_2b_2を足したもの」「a_4a_3b_3を足したもの」,……と考えることができます.

これはa_{n+1}からa_nを引いたものがb_nだったわけですから,a_nb_nを加えてやるとb_{n+1}になるのはいたって自然なことでしょう.

さて,まず

a_n=a_{n-1}+b_{n-1}

です.また,a_{n-1}=a_{n-2}+b_{n-2}なので,

a_n=a_{n-2}+b_{n-2}+b_{n-1}

です.また,a_{n-2}=a_{n-3}+b_{n-3}なので,

a_n=a_{n-3}+b_{n-3}+b_{n-2}+b_{n-1}

です.分かりますね.これをa_1が出てくるまで繰り返すと,

a_n=a_1+b_1+\dots+b_{n-3}+b_{n-2}+b_{n-1}

となります.このままでも良いのですが,b_1+\dots+b_{n-1}の部分を\sumを用いて表せば,

a_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}b_k

となります.

注意

以上から,数列\{a_n\}の一般項a_nは,もとの数列\{a_n\}の初項a_1と階差数列\{b_n\}の一般項b_n

a_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}b_k

と表されることが分かりました.ただし,この式はn\geqq2の場合にしか意味をなしません.

もしn=1なら右辺の\sum\limits_{k=1}^{n-1}\sum\limits_{k=1}^{0}となってしまうからです.

\sum\limits_{k=i}^{j}i\le jの場合にしか意味を成さないことに注意してください.

なお,n=1のときのa_na_1です.a_1はもともと分かっていたはずですから,n=1のときも問題ありません.

次の記事「数列の基本5 ―部分分数分解を用いて計算する数列の和―」に続きます.

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