三角関数2
偏角の変換公式は覚えるな!簡単に導く方法!

三角関数
三角関数

$0^\circ\le\theta\le180^\circ$に対して定義される三角比$\sin{\theta}$, $\cos{\theta}$, $\tan{\theta}$について,以前の記事で

が成り立つことを説明しました.

前回の記事で説明したように三角関数$\sin{\theta}$, $\cos{\theta}$, $\tan{\theta}$は$\theta$が実数全体で定義されているので,この他にも$\tan{(180^\circ+\theta)}$や$\sin{(90^\circ+\theta)}$などの変換も扱えるようになる必要があります.

しかし,ほとんどの公式は覚える必要はなく,実は分かりやすい公式を少し覚えておくだけで,他の偏角の変換公式は全て導けるようになっています.

今回の記事では

  • 基本の変換公式
  • 他の変換公式の導き方

を順に説明します.

3タイプの基本の変換公式

以下の公式は図を考えれば一瞬で分かります.まずはこれらを理解しましょう.

実数$\theta$に対して,次が成り立つ.

  1. $\begin{cases}
    \cos{(\theta\pm180^{\circ})}=-\cos{\theta}\\
    \sin{(\theta\pm180^{\circ})}=-\sin{\theta}
    \end{cases}$
  2. $\begin{cases}
    \cos{(-\theta)}=\cos{\theta}\\
    \sin{(-\theta)}=-\sin{\theta}
    \end{cases}$
  3. $\begin{cases}
    \cos{(90^{\circ}-\theta)}=\sin{\theta}\\
    \sin{(90^{\circ}-\theta)}=\cos{\theta}
    \end{cases}$

公式としては6個ありますが,$\sin$と$\cos$でペアになっているので

  • タイプ1:$(\theta\pm180^{\circ})$型の公式
  • タイプ2:$-\theta$型の公式
  • タイプ3:$(90^{\circ}-\theta)$型の公式

の3タイプですね.

以下では,点$\mrm{O}$を原点,点$\mrm{P}$を単位円周上の偏角$\theta$の点$(\cos{\theta},\sin{\theta})$とします.

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三角関数1
三角関数と三角比の違いは?三角関数を定義しよう!
三角形の内角の和は180°なので,直角三角形から定義する三角比sinθ,cosθ,tanθは0°<θ<90°の範囲でしか定義できません.この記事では単位円を使って,全ての実数θに対してsinθ,cosθ,tanθを定義します.

タイプ1

単位円周上の点$\mrm{P}$と原点対称な点を$\mrm{Q}$とすると,点$\mrm{Q}$の偏角は$\theta+180^\circ$, $\theta-180^\circ$のどちらとも言えるので,点$\mrm{Q}$の座標は

   \begin{align*}\mrm{Q}(\cos{(\theta\pm180^{\circ})},\sin{(\theta\pm180^{\circ})})\end{align*}

ですね.

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点$\mrm{P}$と点$\mrm{Q}$について$x$座標も$y$座標もともに正負が逆になっているので,$(\theta\pm180^{\circ})$型の公式

   \begin{align*}\cos{(\theta\pm180^{\circ})}=-\cos{\theta},\quad \sin{(\theta\pm180^{\circ})}=-\sin{\theta}\end{align*}

が得られますね.

タイプ2

単位円周上の点$\mrm{P}$と$x$軸対称な点を$\mrm{Q}$とすると,点$\mrm{Q}$の偏角は$-\theta$なので,点$\mrm{Q}$の座標は

   \begin{align*}\mrm{Q}(\cos{(-\theta)},\sin{(-\theta)})\end{align*}

ですね.

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点$\mrm{P}$と点$\mrm{Q}$について$x$座標は等しく,$y$座標は正負が逆になっているので,$(-\theta)$型の公式

   \begin{align*}\cos{(-\theta)}=\cos{\theta},\quad \sin{(-\theta)}=-\sin{\theta}\end{align*}

が得られますね.

タイプ3

$(90^\circ-\theta)$型の変換公式が$0<\theta<90^\circ$の場合に成り立つことは以前の記事で証明しましたが,ここでも確認しておきましょう.

三角比3
実は当たり前!3つの(90°-θ)型の変換公式
三角比sin(90°-θ), cos(90°-θ), tan(90°-θ)はいずれも,角度θの三角比sinθ, cosθ, tanθに書き直すことができます.この変換公式を用いることで,角度が揃っていない三角比も計算できることがあります.

$\ang{A}=\theta$, $\ang{B}=90^{\circ}$の直角三角形$\tri{ABC}$を考えると,$\ang{C}=90^{\circ}-\theta$ですね.

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よって,三角比の定義から

   \begin{align*}&\cos{\theta}=\frac{\mrm{AB}}{\mrm{AC}}=\sin{(90^\circ-\theta)}, \\&\sin{\theta}=\frac{\mrm{BC}}{\mrm{AC}}=\cos{(90^\circ-\theta)}\end{align*}

が得られますね.

この証明は$0<\theta<90^\circ$の場合のみの証明となっていますが,任意の実数$\theta$に対して成り立つことが証明できます(証明はこの記事の最後を参照).

他の変換公式の導き方

他のタイプの偏角の変換公式は,上でみた3タイプの基本の変換公式から導けます.

(再掲)実数$\theta$に対して,次が成り立つ.

  1. $\begin{cases}
    \cos{(\theta\pm180^{\circ})}=-\cos{\theta}\\
    \sin{(\theta\pm180^{\circ})}=-\sin{\theta}
    \end{cases}$
  2. $\begin{cases}
    \cos{(-\theta)}=\cos{\theta}\\
    \cos{(-\theta)}=-\sin{\theta}
    \end{cases}$
  3. $\begin{cases}
    \cos{(90^{\circ}-\theta)}=\sin{\theta}\\
    \sin{(90^{\circ}-\theta)}=\cos{\theta}
    \end{cases}$

慣れれば数秒で導けるようになります.具体的にみていきましょう.

変換公式の例1

$\cos(-180^{\circ}-\theta)$を簡単にせよ.

$(\theta-180^\circ)$型の変換公式と$(-\theta)$型の変換公式を使います.

   \begin{align*}\cos(-180^{\circ}-\theta) =-\cos(-\theta) =-\cos{\theta}\end{align*}

変換公式の例2

$\sin(\theta-90^{\circ})$を簡単にせよ.

$90^\circ$が絡む三角関数では$(90^\circ-\theta)$型の公式に持ち込むのが鉄板です.

   \begin{align*}\sin(\theta-90^{\circ}) =&\sin\{-(90^{\circ}-\theta)\} \\=&-\sin(90^{\circ}-\theta) =-\cos{\theta}\end{align*}

変換公式の例3

$\sin(90^{\circ}+\theta)$を簡単にせよ.

今回も$90^\circ$が絡むので,やはり$(90^\circ-\theta)$型の公式を使います.

   \begin{align*}\sin(90^{\circ}+\theta) =&\sin\{90^{\circ}-(-\theta)\} \\=&\cos(-\theta) =\cos{\theta}\end{align*}

変換公式の例4

$\tan(180^{\circ}-\theta)$を簡単にせよ.

$\tan$の変換公式は$\tan$の定義$\tan{\theta}=\dfrac{\sin{\theta}}{\cos{\theta}}$を用いて$\sin$, $\cos$を使って表してから,それぞれで変換公式を使えば良いですね.

   \begin{align*}\tan(180^{\circ}-\theta) =&\dfrac{\sin{(180^{\circ}-\theta)}}{\cos{(180^{\circ}-\theta)}} \\=&\dfrac{\sin{(-\theta)}}{\cos{(-\theta)}} =\dfrac{-\sin{\theta}}{\cos{\theta}} =-\tan{\theta}\end{align*}

一般の場合の$(90^\circ-\theta)$型の公式の証明

先ほどの$(90^\circ-\theta)$型の公式

   \begin{align*}\cos{(\theta+90^{\circ})}=-\sin{\theta},\quad \sin{(\theta+90^{\circ})}=\cos{\theta}\end{align*}

は$0<\theta<90^\circ$の場合のものでしたから,任意の$\theta$に対しても成り立つことを示しておきましょう.

(再々掲)実数$\theta$に対して,次が成り立つ.

   \begin{align*} &\cos{(90^{\circ}-\theta)}=\sin{\theta}, \\&\sin{(90^{\circ}-\theta)}=\cos{\theta} \end{align*}

さまざまな証明方法がありますが,ここでは$(\theta+90^{\circ})$型の変換公式を経由することで示しましょう.

単位円周上の点$\mrm{P}$を原点中心に$90^\circ$回転させた点を$\mrm{Q}$とすると,点$\mrm{Q}$の座標は

   \begin{align*}(\cos{(\theta+90^{\circ})},\sin{(\theta+90^{\circ})})\end{align*}

である.

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この図から$(\theta+90^\circ)$型の変換公式

  • $\cos{(\theta+90^{\circ})}=-\sin{\theta}$
  • $\sin{(\theta+90^{\circ})}=\cos{\theta}$

が成り立つ.これを用いれば,$(90^\circ-\theta)$型の変換公式

   \begin{align*} \cos{(90^\circ-\theta)} =&\cos{(90^\circ+(-\theta))} \\=&-\sin{(-\theta)} =\sin{\theta}, \\\sin{(90^\circ-\theta)} =&\sin{(90^\circ+(-\theta))} \\=&\cos{(-\theta)} =\cos{\theta} \end{align*}

が得られる.

一般の$\theta$に関する証明は少し手間がかかりますが,直角三角形の場合を考えれば公式自体はすぐに導けますね.

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