2019年度|京都大学|理系数学|入試の解答例と考え方

京都大学
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2019年度の京都大学の前期入試の理系数学を全問(問1〜問6)解説します.

各問を考え方から解説しています.

第1問

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次の問に答えよ.

問1 $0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$とする.$\cos{\theta}$は有理数ではないが,$\cos{2\theta}$と$\cos{3\theta}$がともに有理数となるような$\theta$の値を求めよ.

問2 次の定積分の値を求めよ.

    \begin{align*}&(1)\quad\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{x}{\cos^2{x}}\,dx &(2)\quad\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{dx}{\cos{x}}\end{align*}

問1は三角比の問題,問2は定積分の計算問題ですね.

小問1の解答への筋道

2倍角の公式3倍角の公式を考えることはノータイムで気付きたい問題です.$\cos$の2倍角の公式・3倍角の公式

    \begin{align*}\cos{2\theta}&=2\cos^2{\theta}-1 \\\cos{3\theta}&=4\cos^3{\theta}-3\cos{\theta}\end{align*}

より,$\cos{2\theta}$と$\cos{3\theta}$の関係式

    \begin{align*}\cos{3\theta}=(2\cos{2\theta}-1)\cos{\theta}\end{align*}

が得られます.$\theta$が条件満たすとき,この等式は(有理数)=(有理数)×(無理数)の形になっていることに注意しましょう.

(有理数)×(無理数)はほとんどの場合で無理数になりますが,0×(無理数)の場合のみ有理数0になることは当たり前にしておきましょう.

有理数$r$と無理数$\alpha$について,$r\alpha$が有理数となるのは$r=0$の場合に限る.

$c:=r\alpha$が有理数であるとする.このとき,有理数の定義から

  • $r=\dfrac{q}{p}$($p$は0以外の整数,$q$は整数)
  • $c=\dfrac{b}{a}$($a$は0以外の整数,$b$は整数)

とおける.$\alpha\neq0$に注意すると,もし$r\neq0$なら$c\neq0$なので,

    \begin{align*}\alpha=\frac{r}{c}=\frac{qa}{pb}\end{align*}

となり$qa$, $pb$はともに整数だから,$\alpha$は有理数となって矛盾する.よって,$r\neq0$は誤りで$r\alpha=0$を得る.

よって,$\theta$が条件を満たせば$\cos{3\theta}=2\cos{2\theta}-1=0$となることが分かりますね.

小問1の解答例

$\cos$の2倍角の公式より

    \begin{align*}\cos{2\theta}=2\cos^2{\theta}-1 \iff2\cos^2{\theta}=\cos{2\theta}+1\end{align*}

なので,$\cos$の3倍角の公式と併せて

    \begin{align*}\cos{3\theta} &=2\cos^3-3\cos{\theta} =2(\cos{2\theta}+1)\cos{\theta}-3\cos{\theta} \\&=\{(2\cos{2\theta}+2)-3\}\cos{\theta} =(2\cos{2\theta}-1)\cos{\theta}\end{align*}

を得る.

ここで,$\theta$が条件を満たすとする.もし$2\cos{2\theta}-1\neq0$なら,

    \begin{align*}\cos{\theta}=\frac{\cos{3\theta}}{2\cos{2\theta}-1}\end{align*}

となり,条件から$\cos{2\theta}$, $\cos{3\theta}$はともに有理数だから右辺は有理数である.これは条件から左辺$\cos{\theta}$が無理数であることに矛盾する.

よって,$2\cos{2\theta}-1=0$を得る.$0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$より$0<2\theta<\pi$だから,

    \begin{align*}2\cos{2\theta}-1=0 &\iff\cos{2\theta}=\frac{1}{2} \\&\iff \theta=\frac{\pi}{6}\end{align*}

となる.逆に$\theta=\dfrac{\pi}{6}$のときは

    \begin{align*}&\cos{\theta}=\cos{\frac{\pi}{6}}=\frac{\sqrt{3}}{2}, \\&\cos{2\theta}=\cos{\frac{\pi}{3}}=\frac{1}{2}, \\&\cos{3\theta}=\cos{\frac{\pi}{2}}=0\end{align*}

なので条件を満たす.よって,求める$\theta$は$\theta=\dfrac{\pi}{6}$である.

小問2の解答への筋道

どちらの積分も教科書レベルと言ってもよく,確実に解き切りたい問題です.

部分積分の公式

$f(x)$, $g(x)$が微分可能であれば,部分積分の公式

    \begin{align*}\int f'(x)g(x)\,dx=f(x)g(x)-\int f(x)g'(x)\,dx\end{align*}

が成り立ちますね.部分積分の公式は積の微分公式$(fg)’=f’g+fg’$を移行して両辺を積分すれば得られますね.

(1)の積分$\dint_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{x}{\cos^2{x}}\,dx$は,$(\tan{x})’=\dfrac{1}{\cos^2{x}}$が露骨に見えたいところです.被積分関数を

    \begin{align*}\frac{x}{\cos^2{x}}=x(\tan{x})'\end{align*}

とみることで,$\dint\frac{x}{\cos^2{x}}\,dx$が部分積分で計算できますね.

部分分数分解

(2)の積分$\dint_{0}^{\frac{\pi}{4}}\dfrac{dx}{\cos{x}}$は教科書にも載っている積分です.

    \begin{align*}\frac{1}{\cos{x}}&=\frac{\cos{x}}{\cos^2{x}}=\frac{\cos{x}}{1-\sin^2{x}} \\&=\frac{\cos{x}}{(1-\sin{x})(1+\sin{x})} \\&=\frac{1}{2}\bra{\frac{\cos{x}}{1-\sin{x}}+\frac{\cos{x}}{1+\sin{x}}}\end{align*}

となるので積分できますね.ただし,最後の等式では部分分数分解

    \begin{align*}\frac{1}{(a-x)(b+x)}=\frac{1}{a+b}\bra{\frac{1}{a-x}+\frac{1}{b+x}}\end{align*}

を用いました.部分分数分解は通分とは逆に分数$\dfrac{1}{(a-x)(b+x)}$を$\dfrac{1}{a-x}$と$\dfrac{1}{b+x}$に分解したいときに便利だったことを思い出しておきましょう.

右辺のかっこの前の$\dfrac{1}{a+b}$が分からなくなってしまうという相談をよく頂きますが,

    \begin{align*}\frac{1}{(a-x)(b+x)}=A\bra{\frac{1}{a-x}+\frac{1}{b+x}}\end{align*}

とおくと,右辺は

    \begin{align*}A\bra{\frac{1}{a-x}+\frac{1}{b+x}}&=A\cdot\frac{(b+x)+(a-x)}{(a-x)(b+x)} \\&=A\cdot\frac{a+b}{(x-a)(x-b)}\end{align*}

と通分できるので,これが左辺と一致するためには$A=\dfrac{1}{a+b}$であることが分かりますね.

この考え方が分かっていれば,別の形の部分分数分解$\dfrac{1}{(x-a)(x-b)}=\dfrac{1}{a-b}\bra{\dfrac{1}{x-a}-\dfrac{1}{x-b}}$なども自力で導けますね.

小問2の解答例

(1) 部分積分の公式より

    \begin{align*}\int\frac{x}{\cos^2{x}}\,dx &=\int x(\tan{x})'\,dx \\&=x\tan{x}-\int\tan{x}\,dx\end{align*}

であり,

    \begin{align*}\int\tan{x}\,dx &=\int\frac{\sin{x}}{\cos{x}}\,dx =-\int\frac{(\cos{x})'}{\cos{x}}\,dx \\&=-\log|\cos{x}|+C\end{align*}

なので,これらを併せて

    \begin{align*}\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{x}{\cos^2{x}}\,dx &=[x\tan{x}+\log|\cos{x}|]_{0}^{\frac{\pi}{4}} \\&=\bra{\frac{\pi}{4}\tan{\frac{\pi}{4}}+\log\abs{\cos\frac{\pi}{4}}}-\bra{0\tan{0}-\log|\cos{0}|} \\&=\frac{\pi}{4}+\bra{\log{\frac{1}{\sqrt{2}}}-\log1} =\frac{\pi}{4}-\frac{1}{2}\log{2}\end{align*}

を得る.

(2) 被積分関数は

    \begin{align*}\frac{1}{\cos{x}} &=\frac{\cos{x}}{\cos^2{x}} =\frac{\cos{x}}{1-\sin^2{x}} \\&=\frac{\cos{x}}{(1-\sin{x})(1+\sin{x})} \\&=\frac{1}{2}\bra{\frac{\cos{x}}{1-\sin{x}}+\frac{\cos{x}}{1+\sin{x}}}\end{align*}

となるから,

    \begin{align*}\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{dx}{\cos{x}} &=\frac{1}{2}\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\bra{\frac{\cos{x}}{1-\sin{x}}+\frac{\cos{x}}{1+\sin{x}}}\,dx \\&=\frac{1}{2}\brc{-\log|1-\sin{x}|+\log|1+\sin{x}|}_{0}^{\frac{\pi}{4}} \\&=\frac{1}{2}\brc{\log\abs{\frac{1+\sin{x}}{1-\sin{x}}}}_{0}^{\frac{\pi}{4}} \\&=\frac{1}{2}\bra{\log\abs{\frac{1+\sin{\frac{\pi}{4}}}{1-\sin{\frac{\pi}{4}}}}-\log\abs{\frac{1+\sin{0}}{1-\sin{0}}}} \\&=\frac{1}{2}\log\frac{1+\frac{1}{\sqrt{2}}}{1-\frac{1}{\sqrt{2}}} =\log{\sqrt{\frac{\sqrt{2}+1}{\sqrt{2}-1}}}\end{align*}

となる.$\log$の中身は

    \begin{align*}\sqrt{\frac{\sqrt{2}+1}{\sqrt{2}-1}} &=\sqrt{\frac{(\sqrt{2}+1)^2}{(\sqrt{2}-1)(\sqrt{2}+1)}}=\sqrt{3+2\sqrt{2}} \\&=\sqrt{(1+\sqrt{2})^2}=|1+\sqrt{2}|=1+\sqrt{2}\end{align*}

だから,

    \begin{align*}\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{dx}{\cos{x}}=\log{(1+\sqrt{2}\bigr)}\end{align*}

を得る.

第2問

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$f(x)=x^3+2x^2+2$とする.$|f(n)|$と$|f(n+1)|$がともに素数となる整数$n$をすべて求めよ.

京都大学では頻出の素数が絡んだ整数問題ですね.

解答への筋道1

整数問題では具体的に整数を代入して実験することはとても大切です.具体的な整数$n$でいくつか実験すると

  • $|f(-4)|=|(-4)^3+2\cdot(-4)^2+2|=30$
  • $|f(-3)|=|(-3)^3+2\cdot(-3)^2+2|=7$
  • $|f(-2)|=|(-2)^3+2\cdot(-2)^2+2|=2$
  • $|f(-1)|=|(-1)^3+2\cdot(-1)^2+2|=3$
  • $|f(0)|=|0^3+2\cdot0^2+2|=2$
  • $|f(1)|=|1^3+2\cdot1^2+2|=5$
  • $|f(2)|=|2^3+2\cdot2^2+2|=18$

となり,たとえば$n=-3,-2,-1,0$で条件を満たすことが分かります.

この他にも$|f(n)|$と$|f(n+1)|$がともに素数となることがないかを考えるわけですが,いまの実験から$|f(n)|$は偶奇が交互に現れることが予想できますね.

この予想が正しければ$|f(n)|$と$|f(n+1)|$がともに素数となるには,偶数の素数が2のみであることから一方が2となるしかありませんね.

また,$f(x)=x^3+2x^2+2$は3次式なので,$x$が大きければ2よりも大きくなり,$n$が小さければ負となるので,$f(n)=2$となる整数$n$は0の近くにしかなさそうですね.

素数が絡んだ整数問題は京都大学では頻出で,2018年の第2問でも素数が絡んだ整数問題が出題されています.

解答例

整数$n$に対して,

    \begin{align*}f(n)=n^3+2n^2+2=n^3+2(n^2+1)\end{align*}

なので,$n$が偶数なら$f(n)$も偶数で,$n$が奇数なら$f(n)$も偶数である.よって,$|f(n)|$は$n$が1増加するごとに偶奇が切り替わる.

偶数の素数は2に限るから,$|f(n)|$と$|f(n+1)|$がともに素数となるとき一方は2でなければならない.整数$m$が$|f(m)|=2$を満たすとする.

[1]$f(m)=2$のとき

    \begin{align*}f(m)=2 &\iff m^3+2m^2=0 \\&\iff m^2(m+2)=0 \\&\iff m=0,-2\end{align*}

である.

[2]$f(m)=-2$のとき

    \begin{align*}f(m)=-2 \iff m^2(m+2)=-4\end{align*}

なので,$m^2$は4の約数だから$m=\pm1,\pm2$である.

一方,$m^2(m+2)=-4<0$かつ$m^2\geqq0$より$n<-2$でなければならないから,$f(m)=-2$を満たす整数$m$は存在しない.

[1][2]より,整数$m$に対して$|f(m)|=2\iff m=0,-2$であり,

  • $|f(-3)|=|(-3)^3+2\cdot(-3)^2+2|=7$
  • $|f(-1)|=|(-1)^3+2\cdot(-1)^2+2|=3$
  • $|f(1)|=|1^3+2\cdot1^2+2|=5$

はいずれも素数だから,$|f(n)|$と$|f(n+1)|$がともに素数となる整数$n$は$n=-3,-2,-1,0$である.

第3問

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鋭角三角形$\mrm{ABC}$を考え,その面積を$S$とする.$0<t<1$をみたす実数$t$に対し,線分$\mrm{AC}$を$t:1-t$に内分する点を$\mrm{Q}$,線分$\mrm{BQ}$を$t:1-t$に内分する点を$\mrm{P}$とする.実数$t$がこの範囲を動くときに点$\mrm{P}$の描く曲線と,線分$\mrm{BC}$によって囲まれる部分の面積を,$S$を用いて表せ.

曲がった曲線をもつ領域の面積を考えるので,$xy$平面上に図形をおいて積分法を用いることで解けます.

解答への筋道

もとの問題に座標は設定されていませんが,面積が簡単に分かる図形にならないので自分で座標上に置けるかがポイントです.

問題の捉え方

例えば,$t=\dfrac{1}{3}$なら

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のようになり,$t=\dfrac{3}{5}$なら

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のようになります.$t=\dfrac{n}{16}$($n=1,2,\dots,15$)の場合は以下のようになります(濃い部分は$n=6$).

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座標の設定

自分で座標を設定する際には計算しやすいように座標を置くことが大切で,本問では下図のようにおくと良いでしょう.

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このとき,$\tri{ABC}=\dfrac{bc}{2}$であり,ベクトルの内分の公式より

    \begin{align*}\Ve{BP}&=t\Ve{BQ}=t\{(1-t)\Ve{BA}+t\Ve{BC}\} \\&=\begin{pmatrix}at+(-a+c)t^2\\bt(1-t)\end{pmatrix}\end{align*}

となり,点$\mrm{P}$の座標が$t$で表されますね.

媒介変数表示の関数の積分

$\mrm{P}(x,y)$とおくと

    \begin{align*}(x,y)=(at+(-a+c)t^2,bt(1-t))\end{align*}

です.$x$は$t$に関して単調増加となるので,点$\mrm{P}$の描く曲線と,線分$\mrm{BC}$によって囲まれる部分の面積は$\dint_{0}^{c}y\,dx$となります.

いま$x$と$y$はともに$t$の式で表されている($t$の媒介変数表示となっている)ので,$ydx$を$t$と$dt$で表せば積分を計算することができますね.

$y=bt(1-t)$は分かっており,一方$x=at+(-a+c)t^2$より

    \begin{align*}\od{x}{t}=a+2(c-a)t\end{align*}

なので,点$\mrm{P}$の描く軌跡と辺$\mrm{BC}$で囲まれる領域の面積は

    \begin{align*}\int_{x=0}^{x=c}y\,dx=\int_{t=0}^{t=1}bt(1-t)\{a+2(c-a)t\}\,dt\end{align*}

となり,これは実際に計算できますね.

解答例

$xy$平面上に$\tri{ABC}$の各頂点が$\mrm{A}(a,b)$, $\mrm{B}(0,0)$, $\mrm{C}(c,0)$となるようにおく.

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内分の公式より,

    \begin{align*}\Ve{BP}&=t\Ve{BQ} \\&=t\cdot\frac{(1-t)\Ve{BA}+t\Ve{BC}}{t+(1-t)} \\&=t(1-t)\Ve{BA}+t^2\Ve{BC} \\&=t(1-t)\begin{pmatrix}a\\b\end{pmatrix}+t^2\begin{pmatrix}c\\0\end{pmatrix} \\&=\begin{pmatrix}at+(c-a)t^2\\bt(1-t)\end{pmatrix}\end{align*}

となる.ここで,点$\mrm{P}(x,y)$とすると

    \begin{align*}x&=at+(c-a)t^2 \\&=(c-a)\bra{t+\frac{a}{2(c-a)}}^2-\frac{a^2}{4(c-a)}\end{align*}

だから,

  • $\tri{ABC}$が鋭角三角形であることから$0<a<c$であること
  • $0<t<1$であること

に注意すると$x$は$t$に関して単調増加と分かる.

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よって,点$\mrm{P}$と辺$\mrm{BC}$に囲まれる領域の面積は

    \begin{align*}\int_{x=0}^{x=c}y\,dx &=\int_{t=0}^{t=1}bt(1-t)\{a+2(c-a)t\}\,dt \\&=ab\int_{0}^{1}(t-t^2)\,dt+2b(c-a)\int_{0}^{1}(t^2-t^3)\,dt\end{align*}

である.第1項の積分は

    \begin{align*}\int_{0}^{1}(t-t^2)\,dt &=\brc{\frac{1}{2}t^2-\frac{1}{3}t^3}_{0}^{1} \\&=\frac{1}{2}-\frac{1}{3} =\frac{1}{6}\end{align*}

であり,第2項の積分は

    \begin{align*}\int_{0}^{1}(t^2-t^3)\,dt &=\brc{\frac{1}{3}t^3-\frac{1}{4}t^4}_{0}^{1} \\&=\frac{1}{3}-\frac{1}{4} =\frac{1}{12}\end{align*}

なので,

    \begin{align*}\int_{x=0}^{x=c}y\,dx &=\frac{1}{6}ab+\frac{b(c-a)}{6} =\frac{bc}{6} \\&=\frac{1}{3}\cdot\frac{bc}{2} =\frac{1}{3}S\end{align*}

が求める面積である.

最後の積分$\dint_{0}^{1}t(1-t)\,dt$, $\dint_{0}^{1}t^2(1-t)\,dt$はいわゆる$\dfrac{1}{6}$公式,$\dfrac{1}{12}$公式を使っても求められますが,公式としてどこまで認められるか不明なので解答ではきちんと計算しました.

第4問

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1つのさいころを$n$回続けて投げ,出た目を順に$X_1,X_2,\dots,X_n$とする.このとき次の条件をみたす確率を$n$を用いて表せ.ただし$X_0=0$としておく.

条件:$1\leqq k\leqq n$を満たす$k$のうち,$X_{k-1}\leqq4$かつ$X_{k}\geqq5$が成立するような$k$はただ1つである.

テーマは確率ですが,計算では数列の知識を用いることになります.

解答への筋道

場合の数・確率の問題では「どのようなパターンがあるかもれなく重複なく考える」のが基本で,この問題も例外ではありません.

問題の意味を捉えられれば,きちんと基本に立ち返って丁寧に考えれば解くことができます.

問題の捉え方

条件は「4以下の出目の次が5以上となるようなところがちょうど1回存在する」と言い換えられ,これには

  1. 4以下から始まって,途中から5以上になって,再び途中から4以下
  2. 4以下から始まって,途中から5以上
  3. 5以上から始まって,途中から4以下
  4. 5以上から始まって,最後まで5以上

の4パターンが考えられますね.具体的に$n=6$のときを考えると,それぞれ例えば

  1. $(X_0,X_1,\dots,X_6)=({\color{blue}0,1},{\color{magenta}5,5,6},{\color{blue}4,3})$
  2. $(X_0,X_1,\dots,X_6)=({\color{blue}0,1},{\color{magenta}5,5,6,6,5})$
  3. $(X_0,X_1,\dots,X_6)=({\color{blue}0},{\color{magenta}6,5,5,6},{\color{blue}4,3})$
  4. $(X_0,X_1,\dots,X_6)=({\color{blue}0},{\color{magenta}6,5,5,6,6,5})$

ということですね.そこで事象「さいころの出目が4以下」を$A$とおき,事象「さいころの出目が5以上」を$B$おくと,これらは

  1. ${\color{blue}A}\to{\color{magenta}B\to B\to B}\to{\color{blue} A\to A}$
  2. ${\color{blue}A}\to{\color{magenta}B\to B\to B\to B\to B}$
  3. ${\color{magenta}B\to B\to B\to B}\to{\color{blue} A\to A}$
  4. ${\color{magenta}B\to B\to B\to B\to B\to B}$

という順で事象$A$, $B$が起こっています.最初と最後の事象$A$が0回でもよいと考えると,事象$A$, $B$が

    \begin{align*}{\color{blue}A\to\dots\to A}\to{\color{magenta}B\to\dots\to B}\to{\color{blue}A\to\dots\to A}\end{align*}

の順に出れば起こればよいということになりますね.

このようにまとめることに気付ければ良いですが,排反なのでそれぞれのパターンの確率を求めて足し合わせても同じ答えになります.

和の表し方

最初の事象$A$が起こる回数が$k$,途中の事象$B$が起こる回数が$j$の確率は

    \begin{align*}\Bigl(\frac{2}{3}\Bigr)^{k}\Bigl(\frac{1}{3}\Bigr)^{j}\Bigl(\frac{2}{3}\Bigr)^{n-k-j}=\frac{2^{n-j}}{3^n}\end{align*}

となりますね.事象$A$は1回も起こらなくても構いませんが,事象$B$は少なくとも1回は起こらなくてはならないので,$k$は$k=1,2,\dots,n-1$の範囲を動き,この$k$に対して$j$は$j=0,1,\dots,n-k$の範囲を動きますね.

よって,求める和は

    \begin{align*}\sum_{k=0}^{n-1}\sum_{j=1}^{n-k}\frac{2^{n-j}}{3^n} =\frac{2^n}{3^n}\sum_{k=0}^{n-1}\sum_{j=1}^{n-k}\frac{1}{2^j}\end{align*}

となり,これは等比数列の和の公式を用いて計算することができますね.

解答例

1回さいころを投げる試行において,

  • 事象「さいころの出目が4以下」を$A$
  • 事象「さいころの出目が5以上」を$B$

とおくと,条件を満たすのは

    \begin{align*}A\to\dots\to A\to B\to\dots\to B\to A\to\dots\to A\end{align*}

の順で事象$A$, $B$が起こることと必要十分である.ただし,最初の$A$と最後の$A$は0回でもよい.

また,事象$A$, $B$が起こる確率はそれぞれ$\dfrac{2}{3}$, $\dfrac{1}{3}$である.

最初の事象$A$が$k$回続き,事象$B$が$j$回続くとすると,$k=0,1,\dots,n-1$, $j=1,2,\dots,n-k$であり,このときの確率は

    \begin{align*}\bra{\dfrac{2}{3}}^{k}\bra{\dfrac{1}{3}}^{j}\bra{\frac{2}{3}}^{n-k-j}=\frac{2^{n-j}}{3^n}\end{align*}

である.よって,$k=0,1,\dots,n-1$, $j=1,2,\dots,n-k$の場合は排反なので,求める確率は

    \begin{align*}\sum_{k=0}^{n-1}\sum_{j=1}^{n-k}\frac{2^{n-j}}{3^n} =\frac{2^n}{3^n}\sum_{k=0}^{n-1}\sum_{j=1}^{n-k}\frac{1}{2^j}\end{align*}

である.あとはこれを計算すればよい.

等比数列の和の公式より

    \begin{align*}\sum_{j=1}^{n-k}\frac{1}{2^j} =\frac{1}{2}\cdot\frac{1-\frac{1}{2^{n-k}}}{1-\frac{1}{2}} =1-\frac{1}{2^{n-k}}\end{align*}

であり,再び等比数列の和の公式より

    \begin{align*}\sum_{k=0}^{n-1}\frac{1}{2^{n-k}} =\frac{1}{2^n}\sum_{k=0}^{n-1}2^{k} =\frac{1}{2^n}\cdot\frac{2^n-1}{2-1} =1-\frac{1}{2^n}\end{align*}

なので,求める確率は

    \begin{align*}\sum_{k=0}^{n-1}\sum_{j=1}^{n-k}\frac{2^{n-j}}{3^n} &=\frac{2^n}{3^n}\sum_{k=0}^{n-1}\Bigl(1-\frac{1}{2^{n-k}}\Bigr) =\frac{2^n}{3^n}\biggl(n-\sum_{k=0}^{n-1}\frac{1}{2^{n-k}}\biggr) \\&=\frac{2^n}{3^n}\brb{n-\Bigl(1-\frac{1}{2^n}\Big)} =\frac{(n-1)2^{n}+1}{3^n}\end{align*}

である.

第5問

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半径1の球面上の$\mrm{A}$, $\mrm{B_1}$, $\mrm{B_2}$, $\mrm{B_3}$, $\mrm{B_4}$は,正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$を底辺とする四角錐をなしている.この5点が球面上を動くとき,四角錐$\mrm{AB_1B_2B_3B_4}$の体積の最大値を求めよ.

テーマは空間図形ですが,体積の最大値を求める際に微分法を用います.

解答への筋道

どこかを文字において四角錐の体積の最大値を求めるだけなので,確実に得点したい問題です.

問題の捉え方

球の中心を$\mrm{O}$とし,正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$の対角線の交点を$\mrm{B}$とおきましょう.

正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$を止めて点$\mrm{A}$を動かすときは,半直線点$\mrm{BO}$と球との交点が点$\mrm{A}$となるときに,四角錐$\mrm{AB_1B_2B_3B_4}$の体積が最大になりますね.

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このとき,四角錐$\mrm{AB_1B_2B_3B_4}$の体積は$\frac{1}{3}\cdot\mrm{AB}\cdot\mrm{B_1B_2B_3B_4}$で求められますね.

正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$による球の断面が球の中心$\mrm{O}$を通るとき,正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$の面積が最大となりますが,このときの高さ$\mrm{AB}$はそれほど長くないですね.

そこから少しずつ$\mrm{AB}$を長くしていくと,正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$の面積は小さくなっていきます.

それでは高さ$\mrm{AB}$の長さがどれくらいのときに体積が最大になるのかというのがこの問題で問われているわけですね.

四角錐の体積

いま考えたように,球の中心を$\mrm{O}$とし,正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$の対角線の交点を$\mrm{B}$とおくとき,半直線点$\mrm{BO}$と球との交点が点$\mrm{A}$となるときを考えれば十分ですね.

条件から球の半径が1と分かっているので,線分$\mrm{OB}$の長さを$x$とおけば高さ$\mrm{AB}$の長さは$1+x$となります.

また,2点$\mrm{B}_1$, $\mrm{B}_3$は球面上にあるので,

    \begin{align*}\mrm{OB_1}=\mrm{OB_3}=1\end{align*}

ですから,$\tri{OB_1B_3}$は二等辺三角形で,$\mrm{B_1B_3}$を底辺とみると高さは$\mrm{OB}$となります.

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よって,三平方の定理から$\mrm{BB_1}=\sqrt{1-x^2}$となるので,正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$の面積を$x$で表すことができ,四角錐$\mrm{AB_1B_2B_3B_4}$の体積も$x$の式で表せますね.

解答例

球の中心を$\mrm{O}$,正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$の対角線の交点を$\mrm{B}$,$x=\mrm{OB}$とおく.このとき,$0\leqq x<1$である.

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このとき,2点$\mrm{B_1}$, $\mrm{B_3}$は球面上にあるから$\mrm{OB_1}=\mrm{OB_3}=1$より$\tri{OB_1B_3}$は二等辺三角形で,$\mrm{B}$は$\mrm{B_1B_3}$の中点だから$\mrm{OB}\perp\mrm{B_1B_3}$である.同様に,$\mrm{OB}\perp\mrm{B_2B_4}$である.

よって,直線$\mrm{OB}$は正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$に垂直である.

また,球と正方形の対称性から正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$を決めれば,半直線$\mrm{BO}$と球との交点を$\mrm{A}$とするとき四角錐$\mrm{AB_1B_2B_3B_4}$の体積が最大となる.

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三平方の定理より

    \begin{align*}\mrm{B_1B_2}&=\sqrt{2}\mrm{B_1B} \\&=\sqrt{2}\sqrt{\mrm{OB_1}^2-\mrm{OB}^2} \\&=\sqrt{2(1-x^2)}\end{align*}

だから,四角錐$\mrm{AB_1B_2B_3B_4}$の体積は

    \begin{align*}\frac{1}{3}\cdot\mrm{B_1B_2B_3B_4}\cdot\mrm{AB} &=\frac{1}{3}\cdot2(1-x^2)\cdot(1+x) \\&=\frac{2}{3}\bra{1+x-x^2-x^3}\end{align*}

となる.ここで,$f(x)=1+x-x^2-x^3$とすると,

    \begin{align*}f'(x)&=1-2x-3x^2 \\&=(1-3x)(1+x)\end{align*}

だから,$f'(x)=0$の$0\leqq x<1$での解が$x=\dfrac{1}{3}$であることに注意して,$f(x)$の増減表は

    \begin{align*}\begin{tabular}{c||c|c|c|c} $x$ & 0 & $\dots$ & $\frac{1}{3}$ & $\dots$ \\ \hline $f'(x)$ & $+$ & $+$ & 0 & $-$ \\ \hline $f(x)$ &  & $\nearrow$ & $f(\frac{1}{3})$ & $\searrow$ \end{tabular}\end{align*}

である.

    \begin{align*}f\Bigl(\frac{1}{3}\Bigr) &=1+\frac{1}{3}-\Bigl(\frac{1}{3}\Bigr)^2-\Bigl(\frac{1}{3}\Bigr)^3 \\&=1+\frac{1}{3}-\frac{1}{9}-\frac{1}{27} \\&=\frac{27+9-3-1}{27} =\frac{32}{27}\end{align*}

なので,四角錐$\mrm{AB_1B_2B_3B_4}$の体積の最大値は

    \begin{align*}\frac{2}{3}\cdot\frac{32}{27}=\frac{64}{81}\end{align*}

である.

正方形$\mrm{B_1B_2B_3B_4}$の一辺の長さを$x$とおいても解けますが,この場合の四角錐$\mrm{AB_1B_2B_3B_4}$の体積は$\frac{1}{3}x^2\Bigl(1+\sqrt{1-\frac{x^2}{2}}\Bigr)$となるので,$y^2=1-\frac{x^2}{2}$などの置き換えをして処理が軽くしたいところです.

第6問

開く問題の表示/非表示

$i$は虚数単位とする.$(1+i)^n+(1-i)^n>10^{10}$をみたす最小の正の整数$n$を求めよ.

問題用紙で小数第4位までの常用対数表が与えられています.

 複素数が含まれていますが,メインは桁数を求める対数関数の問題です.

解答への筋道

複素数の$n$乗が絡むときは,ド・モアブルの定理が第一感ですね.

問題の捉え方

$1+i$と$1-i$は互いに共役複素数なので,任意の正の整数$n$に対して$(1+i)^n$と$(1-i)^n$も互いに共役複素数となります.

そのため,これらの和$(1+i)^n+(1-i)^n$は実数となり,これが$10^{10}$より大きくなるような最小の$n$を求める問題です.

また,$|1+i|=|1-i|=\sqrt{2}$なので,ド・モアブルの定理から$|(1+i)^n|=|(1-i)^n|=2^{n/2}$ですから,だいたい

    \begin{align*}2^{n/2}+2^{n/2}>10^{10}\end{align*}

となる最小の$n$くらいから考察していきたいところですね.

ド・モアブルの定理

複素数の$n$乗はド・モアブルの定理を使うのが定石ですね.

[ド・モアブルの定理]複素数$z$を極形式で表して$z=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})$となるとき,任意の整数$n$に対して

    \begin{align*}z^n=r^n(\cos{n\theta}+i\sin{n\theta})\end{align*}

が成り立つ.

極形式を用いると

    \begin{align*}1\pm i=\sqrt{2}\brb{\cos{\bra{\pm\frac{\pi}{4}}}+i\sin{\bra{\pm\frac{\pi}{4}}}}\end{align*}

なので,ド・モアブルの定理を用いると

    \begin{align*}(1\pm i)^{n}=\sqrt{2}^{n}\bra{\cos{(\pm\frac{n\pi}{4})}+i\sin{(\pm\frac{n\pi}{4})}}\end{align*}

となりますね(複号同順).よって,

    \begin{align*}(1+i)^{n}+(1-i)^{n}=2\sqrt{2}^{n}\cos{\frac{n\pi}{4}}\end{align*}

が成り立ちますね.

概算

いま得られた等式

    \begin{align*}(1+i)^{n}+(1-i)^{n}=2\sqrt{2}^{n}\cos{\frac{n\pi}{4}}\end{align*}

から,与えられた条件は

    \begin{align*}2\sqrt{2}^{n}\cos{\frac{n\pi}{4}}>10^{10}\end{align*}

であり,$\cos{\dfrac{n\pi}{4}}\le1$ですから,少なくとも$2\sqrt{2}^{n}>10^{10}$を満たしている必要があります.

この式は常用対数を用いて$n>\dfrac{20}{\log_{10}{2}}-2$と変形できるので,$\dfrac{20}{\log_{10}{2}}-2$の概数を求めることで$n$の必要条件が得られますね.

解答例

ド・モアブルの定理より

    \begin{align*}(1+i)^n+(1-i)^n &=\brb{\sqrt{2}\bra{\cos{\frac{\pi}{4}}+i\sin{\frac{\pi}{4}}}}^n+\brb{\sqrt{2}\bra{\cos\bra{-\frac{\pi}{4}}+i\sin\bra{-\frac{\pi}{4}}}}^n \\&=2^{n/2}\bra{\cos{\frac{n\pi}{4}}+i\sin{\frac{n\pi}{4}}}+2^{n/2}\bra{\cos\bra{-\frac{n\pi}{4}}+i\sin\bra{-\frac{n\pi}{4}}} \\&=2^{n/2}\bra{\cos{\frac{n\pi}{4}}+i\sin{\frac{n\pi}{4}}}+2^{n/2}\bra{\cos{\frac{n\pi}{4}}-i\sin{\frac{n\pi}{4}}} \\&=2^{(n/2)+1}\cos{\frac{n\pi}{4}}\end{align*}

である.$\cos{\frac{n\pi}{4}}\le1$だから,$(1+i)^n+(1-i)^n>10^{10}$となるためには,

    \begin{align*}2^{(n/2)+1}>10^{10} &\iff\log_{10}2^{(n/2)+1}>10 \\&\iff\bra{\frac{n}{2}+1}\log_{10}{2}>10 \\&\iff\frac{n}{2}+1>\frac{10}{\log_{10}{2}} \\&\iff n>\frac{20}{\log_{10}{2}}-2\end{align*}

が必要である.常用対数表より$\log_{10}{2}$を小数第5位で四捨五入すると$0.3010$だから$\log_{10}{2}<0.302$である.計算により

    \begin{align*}\frac{1}{0.302}=3.31\dots>3.3\end{align*}

だから,

    \begin{align*}\frac{20}{\log_{10}{2}}-2>20\cdot3.3-2=64\end{align*}

が成り立つ.よって,$(1+i)^n+(1-i)^n>10^{10}$となるためには,$n\geqq65$でなければならない.

[1]$n=65$のとき,

    \begin{align*}\log_{10}\brb{(1+i)^n+(1-i)^n} &=\log_{10}\bra{2^{(65/2)+1}\cos{\frac{65\pi}{4}}} \\&=\log_{10}2^{33}=33\log_{10}2 \\&<33\cdot0.302=9.966<10\end{align*}

なので,$(1+i)^n+(1-i)^n>10^{10}$を満たさない.

[2]$66\leqq n\leqq70$のとき,$\cos{\dfrac{65\pi}{4}}\leqq0$なので,$(1+i)^n+(1-i)^n>10^{10}$を満たさない.

[3]$n=71$のとき,

    \begin{align*}\log_{10}\brb{(1+i)^n+(1-i)^n} &=\log_{10}\bra{2^{(71/2)+1}\cos{\frac{71\pi}{4}}} \\&=\log_{10}2^{36}=36\log_{10}2 \\&>36\cdot0.3=10.8>10\end{align*}

なので,$(1+i)^n+(1-i)^n>10^{10}$を満たす.

以上より,求める最小の$n$は$n=71$である.

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