この記事では次の問題を考えます.
等式
この話題を初めて考えた人は「いやいや,どう見ても成り立たんやろ」「成り立ちそう」「うーむ,分からぬ……」と様々な考えが浮かぶと思います.
結論から言えば,実は
人によっては「いやいや,そんなことないやろ!」と受け入れ難い人もいるかもしれませんね.
この記事では
- 怪しい証明
- それっぽい証明
- 無限級数による説明
- 無限小数の定義
詳しくは無限級数の知識を使うことで
怪しい証明
まずは怪しい証明ですが,「成り立ちそう」ということを実感してもらうために1つ書いてみます.
[怪しい証明]例えば,
である.同様に,小数第
と
いま,
よって,
おお!怪しい!ものすごく怪しい!
ですが,
それっぽい証明
次に「それっぽい証明」を2つしてみます.
それっぽい証明1
[それっぽい証明1]
左辺を3倍すると
よって,
ううむ,確かにそれっぽい.しかし,煙に巻かれたような気もします.
なんとなく
そこまで考えると
同じくつぎの「証明」もそれっぽいですが,やはり少し気持ち悪いです.
それっぽい証明2
[それっぽい証明2]
と分かる.
こうして得られた方程式
ううむ,これもそれっぽいですが,やはり煙に巻かれた感がありますね.
その原因はやはり無限小数を
しかし,「それっぽい説明1」よりは,少し数学的になった気はします.
無限級数による説明
さて,ここからきちんと数学の話になってきます.
ここまで読まれた方は「
では,数学的に”
ここで,一番最初にした[怪しい説明]が生きてきます.
たとえば,
これを使って
となります.これは
と表せますね.
これをずっと続けていくと,
となります.これは等比数列の無限級数
の部分和です.どうでしょう.見えてきましたか?
無限小数とは
ここで,「なんだか
の定義
しかし,この書き方だと「
では,どうするか.
実は「
無限級数は数学IIIの範囲ですが,数学IIIを履修していなくてもこのずっと続く気持ちは理解して頂けると思います.
小学校では「
さて,
いま,数列
と計算されます!
おお!たしかに
無限小数の定義
一般に無限小数は次のように定義されます.
各項が0から9までのいずれかの整数をとる数列を
で定まる実数を
任意の正の整数
後半の「任意の正の整数
いままで何気なく使ってきた無限小数が,実は無限級数で定義されるということが理解できたでしょうか?
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